第201話 少年と王女の「誓い」
遅くなりました、1日遅れの投稿です。
春風とアデレードの戦いは、春風の勝利という形で幕を下ろした。
それから少しして、場所は帝城内の一室。そこに備え付けられたベッドの上で、アデレードは眠っていた。
「う、うーん……」
と、小さく唸った後、アデレードは目を覚ました。
「こ、ここは?」
目覚めたばかりのアデレードがそう口にすると、
「ここは、帝城にある客室の1つです」
「え?」
その声を聞いて、漸く視界がハッキリとしたアデレードが、声がした方に顔を向けると、
「……あ、春風君?」
そこには、先程まで自分が戦っていた少年、春風がいた。
そして、春風を見た瞬間、頭がズキンとなったのを感じたアデレードは、全てを思い出して、
「そっか、私、君に負けたんだね?」
と、春風に尋ねた。
「……はい」
春風は気まずそうに返事すると、アデレードは、
「そっか。君、凄く強いんだね」
と、優しい笑顔で言った。
だが、
「……いえ、全然そんなことありません」
春風は表情を暗くすると、アデレードの言葉を否定した。
「え?」
アデレードは目を大きく見開いてそう言うと、春風は更に表情を暗くして話を続けた。
「正直言いますと、今回のあなたとの戦い、内心では全然勝てる気がしませんでした。どうすれば勝てるかと考えてたら、その、言いたくはないんですけど……」
もの凄く言いにくそうな様子の春風を見て、アデレードはクスッと笑うと、
「もしかして、私があまりにも品性がなかったから、ついカッとなった……かな?」
と、意地の悪そうな笑みを浮かべてそう言ったので、図星をつかれた春風は、
「うぐ! は、はい」
と、胸を押さえながらそう返事した。
その後、ますます表情を暗くした春風を見て、アデレードは「アハハ」と笑うと、
「ごめんね、春風君。私、[狂人化]のスキルを使うと、あんな感じになっちゃうんだ。だから、多少の事は大目に見てほしいな」
と、困った様な笑みで謝罪した。
それを聞いて、春風は「フゥ」と一息入れると、
「わかりました、そういうことにしておきます。で、話を戻しますが、俺は、そんなあなたの姿にブチっとキレて、思わず必殺技をぶっ放したんですが、『あ、やべぇ。これ効かないかもしれない!』と思ったところで、タイミングよくあなたのスキルがきれて、弱まったところへ技が決まりました。つまり、言ってみれば『運が良かった』ってだけのことです」
と、説明した。
アデレードは「へぇ、そうなんだ」と小さく呟くと、ガバッと勢いよく上半身を起こして、
「いやいやいや、『運が良かった』って何!? 女神を潰した技で、白金級ハンターの私を倒しておいて『運が良かった』って何!?」
と突っ込みを入れた。
だが、そんな彼女を無視して、春風は説明を続ける。
「あの時は、あいつが意識だけの状態な上に、アレス様がダメージを与えてくれただけじゃなく、水音……俺の決闘の相手が固有職保持者に覚醒したっていう事態に、精神的な余裕を失くしたから、技を決めることが出来たってだけです」
「えぇ?」
春風の説明に、アデレードは開いた口が塞がらなかったが、すぐに「ハァ」と溜め息を吐いて、
「あのねぇ、春風君」
「何ですか?」
「仮に今君が言った事が全部本当の事だとしても、君が女神マールを潰したっていう事実は変わらないし、白金級ハンターの私に勝ったっていう事実も消えることはないんだよ?」
「それは、そうですが……」
「だったら、そんなふうに自分を下げる様なこと言わないでよ。そんなんじゃあ、負けた私が馬鹿みたいじゃないか」
「ですが、俺は、今回の勝利は全然納得出来ませんし……」
そう言って、春風はまた表情を暗くすると、アデレードは、
「あ、そうだ!」
と何かを閃いて、
「なら、こうしよう。今の君は、まだ自分に自信が持てないみたいだから、君が今以上に『強くなった』って思ったら、その時はもう一度勝負をしよう」
と提案した。
それを聞いて、春風は「うーん」と考え込むと、
「なら、水音も一緒に良いですか?」
と質問すると、アデレードは表情を明るくして、
「良いね! 君だけじゃなく、彼とも戦いたいって思ってたんだ!」
「では、水音を交えて話し合いですね」
「うんうん! で、お互い強くなったら……」
アデレードは春風の前にスッと拳を差し出して、
「もう一度、勝負しよう!」
と言った。
それを見て、それまで暗い表情だった春風は、
「はい」
と、笑顔でアデレード拳に、軽くコツンと自分の拳をぶつけた。
謝罪)
大変申し訳ありません、この話の展開を思い描くのに結構時間がかかってしまいました。




