第199話 春風vsアデレード3 アデレード、猛攻
「な、何ですか、あの人のあのお姿は!?」
スキルによって見た目的にヤバそうな感じになったアデレード。そんな彼女の姿を見て、イブリーヌはギルバートを問い詰めた。
ギルバートは冷静に説明する。
「あれはな、[狂人化]のスキルを使った時のアーデの姿だ」
「狂人化?」
「あいつの職能『猛戦士』のスキルの1つでな、身体能力を大幅に上げるんだが、それと引き換えにああして理性がぶっ飛んじまうんだ」
「そ、そんな危険なスキルがあるのですか!?」
「ああ。しかもあいつ、あのスキルを最大まで強化しているから、身体能力だけじゃなく使える技の威力も上がってるんだ。まぁ最も、あの状態だと技を使うまでもなく相手を倒しちまうんだけどな」
「な、なんて事……」
ギルバートの説明を聞いて、イブリーヌはショックで顔を青ざめた。
一方春風は、アデレードの姿を見て心の中で呟く。
(うわぁ。生の『ヒャッハー』初めて聞いたよ)
内心かなりドン引きな春風。そんな春風の心境を知らないアデレードは、
「それじゃあいくよぉおおおおおおお!」
と、手に持っている大剣ビッグヴァイパーに魔力を通した後、大剣形態から鞭形態に変形させて、狂った様にそれを振るった。
刃を持つ巨大な鞭が、春風に向かって襲いかかってくる。
「っ!」
春風は当たる寸前でそれを避けるが、狂った様に振るわれた魔力を纏ったその攻撃は、まるで生きた蛇の様に春風を追いかけてきた。
「ほらほらほらほらほらほらぁっ! どんどんどんどんいっくよぉおおおおおおおっ!」
アデレードは更に高いテンションで何度もビッグヴァイパーを振るう。
そんな彼女の攻撃を春風は何度も避けるが、中々反撃のチャンスを掴めずにいた。
隙をついて魔術を発動しようと試みたが、それよりも早く攻撃が来てしまうので中々発動する事が出来ず、ただ疲労だけが溜まっていた。
そんな2人の戦いを黙って見守っていたリアナ達はというと、
「ちょっと、ギルバート陛下! あの人滅茶苦茶危なくなってませんか!?」
「そうです! あのままではハル様が殺されてしまいます! 何とかならないのですか!?」
と、ギルバートに詰め寄って文句を言っていた。それは、他の仲間達も一緒だった。ただ1人、凛依冴を除いては。
しかし、
「スマン、ああなったアーデは誰にも止められねぇ。止めようものならこっちも被害が出る覚悟をしなきゃならねぇんだ」
と、ギルバートは表情を暗くして諦めともとれるセリフを言った。
「そ、そんな……」
リアナ達は顔を真っ青にして絶望した。
そんな時、
「大丈夫よみんな」
と、それまで黙って戦いを見ていたエリノーラが、落ち着いた口調でそう言った。
その言葉に、リアナ達が『え?』と首を傾げていると、
「アーデちゃんが使った[狂人化]のスキルには制限時間がついていて、それを過ぎると一定の時間は全能力がダウンするってデメリットがあるの」
『そうなんですか!?』
「ええ。それにみんな、春風ちゃんを見てご覧なさいな」
『え?』
エリノーラにそう言われて、リアナ達は春風の方を見ると、疲れてはいるがその目は真っ直ぐアデレードを見ていた。
「ね? 春風ちゃん、全然諦めている様子はないでしょ? きっと春風ちゃんは、ああしてアーデちゃんの攻撃を避けながら、どうやって勝つかを考えているに違いないわ。だからみんな、春風ちゃんを信じましょ?」
優しく微笑みながらそう説明したエリノーラ。その彼女の言葉を聞いて、リアナ達は次第に落ち着きを取り戻すと、皆春風に視線を移した。
(ハル、頑張って!)
リアナ達は春風を見て心の中で祈る様に応援した。凛依冴はチラリとその様子を見ると、
「フフ」
と小さく笑って、春風に視線を戻した。
さて、リアナ達がそんな状況の中、肝心の春風本人はというと、
(うん、これは……)
執拗に迫り来るアデレードの攻撃を避けながら、
(全然、勝てる気しねぇえええええええっ!)
と、心の中で悲鳴をあげていた。
謝罪)
すみません。第188話のアデレードに関する説明に少し修正を入れました(といっても一部ちょっと加えただけなのですが)。




