間話18 イブリーヌと皇妃と皇女
お待たせしました。間話第18弾です。
それは、イブリーヌが春風に告白した翌日の夜のことだった。
「まぁ! ではイブりん様は、既に春風様に告白した上にキスまでしたのですね!?」
「ええ、そう言ってしまえば、そうなのですが……」
イブリーヌは現在、第2皇女アンジェリカの部屋にて、本人と2人きりでいた。
イブリーヌは15歳、アンジェリカは14歳と歳が近い事もあって、2人共とても仲は良かった。といっても、そこは王族と皇族だけあってお互い「様」をつけることを忘れていないのだが(ただしアンジェリカはイブリーヌをニックネームらしき名で呼んでいる)。
ともあれ、そんな2人は今、イブリーヌが春風に告白とキスをしたことについて話し合っていた。
何故そんなことになっているのか?
それは、告白とキスをした翌日、イブリーヌが春風に気まずそうな態度をとっていたのを見たアンジェリカが、何が起きたのだろうと心配になって、その夜、イブリーヌを自身の部屋に招いたからだ。
「それで、春風様からの返事はどうなのですか? 聞いたのですか?」
理由を聞き終えたアンジェリカがグイグイとそう尋ねると、
「……いえ、それについては、まだです」
と、イブリーヌはシュンとなって答えた。
その反応に、アンジェリカは、
「な、何ですって!? ゆ、許せません、女の子から告白とキスを受けておいて返事をしていないとは! これは、皇女として、イブりん様の友達として、そして、同じ女の子として何とかしないといけませんね!」
と、勢いよく立ち上がって両目をメラメラと燃やしながらそう叫んだ。実際には燃えてないのだが。それを見てイブリーヌは、
「え、あ、あの、アンジェリカ様? なにもアンジェリカ様が手を煩わせるようなことでは……」
と、何とかアンジェリカを宥めようとすると、
「その通りよ、アンジーちゃん!」
「「……え?」」
突然の声にイブリーヌとアンジェリカが何とも間の抜けた声を漏らすと、2人が座っているベッドの下から、
「はぁい、アンジーちゃんにイブりんちゃん」
と、ヌッと皇妃であるエリノーラが現れて、
「「キャアアアアアアア!」」
2人は思わず悲鳴をあげた。
それから暫くして、
「驚かせてごめんね、2人共」
と、エリノーラは穏やかな笑みを浮かべてそう謝罪した。
「い、いえ、大丈夫ですお母様」
「はい、寧ろ大きな声をだして申し訳ありませんでした」
2人は申し訳なさそうに頭を下げてそう返すと、エリノーラはちょっと慌てて、
「あらあら、そんな頭を下げなくて良いのよ」
と、2人に頭を上げるよう促した。
「ありがとう。それでね、さっきアンジーちゃんが言っていたことなんだけど……」
「「?」」
「それ、私にやらせてくれないかしら?」
突然のエリノーラの提案に、イブリーヌは「え!?」と驚くと、
「あの、お母様が何か行動を起こすという事でよろしいのですか?」
と、アンジェリカがエリノーラにそう尋ねた。
「ええ、そうよ。春風ちゃんの返事がまだなのは、私にも責任があるからね。だから、その償いの為に、イブりんちゃんの力になりたいのよ」
そう答えたエリノーラに、イブリーヌはハッとなって、
「そ、そんな、エリノーラ様! あなたがわざわざ行動を起こす程ではありません! それに、春風様は今、決闘の準備で忙しいのです!」
と、エリノーラを止めようとすると、
「だからこそよ、イブりんちゃん」
「え?」
「大事な決闘の前だからこそ、春風ちゃんには肉体的にも精神的にも万全にしなくてはいけないの。だから、ここでハッキリとさせておかなくちゃ!」
と、エリノーラに正論(?)の様なものを説かれて、イブリーヌは「むぐぐ……」と呻くと、
「わ、わかりました。よろしくお願いします」
と、諦めて了承した。
「よし、それじゃあ早速……」
と、エリノーラが立ち上がると、
「あぁ、それとなのですが……」
と、何か言いたそうな様子のイブリーヌは、スッとベッドから立ち上がって、
「その、いい加減わたくしを『イブりん』と呼ぶの、やめてくれませんか?」
とエリノーラとアンジェリカにそう頼み込むと、
「嫌よ!」
「嫌です!」
と、2人にそう返された。
「何でですかぁ!?」
イブリーヌは怒って抗議しようとすると、
「「可愛いからですが?」」
と、2人に返されてしまい、イブリーヌは、
「そ、そんなぁあ!」
と、がっくりと肩を落とした。
というわけで、今回はイブリーヌ様が主役(?)の話でした。




