第143話 旅立った後のあれこれ
お待たせしました。今日から新章開幕です。
それは、春風達がウォーリス帝国へと旅立ってから間もない時のことだった。
シャーサルでは戦いの最中に負傷したハンターや騎士の手当て、更には今回の戦いで起こったことをまとめる為、ギルド職員はその事情聴取に大忙しだった。
そんな中、
「そうですか。彼らは皆、ウォーリス帝国に行ったのですね」
「ああ、そういうこった」
と、ギルド総本部の総本部長室で、フレデリックは白金級ハンターのラッセルからそう報告を受けた。
春風達がギルバートに連れられてウォーリス帝国へ出発した後、その状況を見ていたラッセルは直ぐにフレデリックの下へと向かい、彼が見た全てーー春風の邪神の眷属との戦いや、その邪神の眷属に飲み込まれた鉄雄ら勇者達の救出、そして心が折れた彼らを勇気づけて、共に邪神の眷属を倒した事や、それを見たレイモンドに変装したギルバートが、春風達をウォーリス帝国に(かなり強引ではあるが)招待した事を、フレデリックに報告した。
全てを聞き終えたフレデリックは、「ハァ」と小さく溜め息を吐くと、
「報告ありがとうございました」
と、ラッセルにお礼を言った。
その後ラッセルは、
「じゃ、俺はこれで失礼」
と言うと、総本部長室を後にした。
1人になったフレデリックは、座っていた椅子からスッと立ち上がると、後ろの窓を向いて、
「やれやれ。ギルバート、相変わらずの『強欲』ぶりですね」
と、ボソリと呟くと、再び「ハァ」と溜め息を吐いて、
「春風さん達、どうかご無事で」
と、春風達の身の安全を祈った。
一方その頃、セイクリア王国にある五神教会本部の執務室では、
「そうですか、ではイブリーヌ様と勇者様方は、そのままウォーリス帝国に行ったというわけですね?」
と、教主のモーゼスが、通信用の魔導具越しに配下の神官達からの報告を受けていた。
その後、報告を聞き終えると、
「わかりました。では皆さんは、全ての準備が終わり次第、直ぐにこちらに帰還してください」
と命令して通信用の魔導具をきると、モーゼスは「フゥ」と一息入れて、静かに執務室の椅子から立ち上がった。
そして、
「うぉおおおおおおおっ! またか、またなのかぁあああああああ! どこまで、どこまで我々の前に立ちはだかるのだ、幸村春風ぁあああああああっ!」
と、この場にいない春風に、神官らしからぬ憎悪を込めた叫びをあげたのだった。
今回は新章のプロローグ的な話の為、いつもより短い文章になってしまいました。




