冬の訪れと雪女-参-
「えっと……雪女って、熱いの苦手なんですか?」
「うむ。基本は苦手やの」
「ん? 白雪さんも雪女、でしたよね?」
「うむ」
「…………」
何が何だかわからなくなり頭痛してきた真司は黒縁眼鏡を少し上げ、眉間を軽く揉む。すると、その種を解決してくれるように、お雪が真司の裾を引っ張り菖蒲の代わりに答えてくれた。
「あのね、あのね~。白雪お姉ちゃんは、特別なんだよー」
「え、そうなの?」
「白雪は雪女じゃが、熱いのが好きらしくてな。特別というよりかは、物好きな変わった雪女じゃの」
「……はぁ」
真司は曖昧な返事する。
(やっぱり、よくわからないや……)
そんな真司を見て菖蒲は「なに。実際に会えばわかるよ」と、微笑みながら言うと台所へと向かった。
真司は、ハンガーを掛けると白雪についてまた考え始めた。
(白雪さんかぁ……本当に、どんな人なんだろう?)
熱いのが好きな雪女――それは、真司にとってはどういう妖怪なのか全然想像出来なかった。
そして、真司はその雪女に少し興味を持ったのだった。
「ほれ、真司。お前さんも手伝いんしゃい」
少し離れたところから菖蒲が真司の名前を呼ぶ。
「あ、はい!」
真司は慌てて返事をすると台所へと向かい、菖蒲と一緒にお鍋の下準備にとりかかった。
菖蒲と真司は一通り鍋の準備が出来上がると、炬燵に入りまったりとしていた。
時刻は、そろそろ五時になる。空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
「ふんふ~ん♪ ふふふーん♪」
真司と菖蒲の間で、お雪は寝転び鼻歌を歌いながら落書き帳に絵を描いていた。
(平和だなぁ~)
炬燵のテーブルに頬を付け、温かさと平和さに自然と口元がニヤける。その隣で、ズズズーッと音を立てながら菖蒲がお茶を飲んでいた。
のんびりとした時間に真司は心地良さを感じ、次第に眠くなった。
(温かいし何だか眠くなってきたかも……)
「ふぁ~ぁ……」と、伸びをしつつ大きく欠伸をすると、ふと、目の前に冷たい冷気が漂った。




