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ぶちょー、今度の人事異動は異世界ですって  作者: しゅーまつ


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米が食えるのはまだ先

うへぇ、身体が痛い


いつもの時間に目が覚めたら身体中が痛い。この硬いテーブルで寝たからだ。小屋にベッドルームも作れば良かったな。


ミーシャはすでに起きたようで隣にいなかった


「ぼっちゃまおはようございます、いつの間にか寝ちゃったみたいですね」

コイツ、昨日のこと覚えてねーな



小屋の外に出ると男4人がくっついて寝ていた。地獄絵図だ。とっとと起こそう


「おーい、朝だぞ」


4人がんあっと起きる


「昨日は良く飲んだわい」

あれだけ飲んで二日酔いにもなってないドワーフ兄弟とダン。

ブリックだけがちょっと気分悪そうだ


水に少々の塩とハチミツを入れてレモン汁を垂らす


「ほれ、これ飲んどけ」

ブリックになんちゃってスポーツドリンクを渡す


ングング

飲み干すブリック

「ぼっちゃんこれは・・・」


「ただの水より早く吸収するんだよ。酒が抜けるの早くなるぞ」


「そうなんですか。とっても美味しいです」


「お、なんだ旨そうだな。ワシにもくれ」

ドワーフ兄弟とダンも欲しそうにしている


ったく、お前らは水でいいだろうにと思いながら作ってやった。

ついでにミーシャにもハチミツ多めで作って渡した


「甘くて美味しいです」

へへへとミーシャは嬉しそうに飲んだ



後片付けはミーシャとドワーフ兄弟にお願いし、ブリックと朝飯を何にするか考える


え~っと残ってるのは、小麦粉、トマト、タマネギ、ベーコン、チーズ・・・


これはもうアレしかないな。

そうピザだ。俺は朝っぱらからピザなんぞ食わんけど、みんなタフだからいけるだろ。


俺は焼いたシャケと卵かけご飯が食いた・・・


あ、ミゲルに米の生えてる場所に連れてってもらうんだった。後から聞こう


「ブリック、小麦粉こねて」


「ぼっちゃん、すいませんパン種が・・・」


「使わないからいいよ。前のパンみたいにして、そこにオリーブオイル入れるから。あ、小麦粉こねる前にトマトとタマネギ細かく刻んで炒めてソース作らないとな」



「ぼっちゃん、なんか手伝うことあるか?」


「ダンは土魔法の練習してて、朝飯の準備終わったら俺も剣の稽古するから」


「ぼっちゃん、トマトとタマネギ刻みました」


「じゃ、それを軽く炒めて塩で味付けして。終わったら小麦粉こねてね」


ブリックに手順を指示したあと、オーブンに薪をくべて温め始める


「これくらいですか?」

こねた小麦粉を見せるブリック


「そのままもう少しこねるよ」

生地にオリーブオイルを加えてさらにこねる


あ、ピザを窯に入れるでっかいヘラみたいのないな。土魔法で作るか。

にょにょんと形を作って硬化させる


ヘラに洗浄魔法かけてから小麦粉を振っておく


「ブリック、このヘラの上に生地を薄く丸く伸ばして」


薄く丸く伸ばすやり方を教えてヘラに乗せる


ソースを生地に塗って、ベーコンとチーズをパラパラ乗せたらオーブンに入れる


「オーブンに入れて。入れたら焼きムラが出来ないようにヘラで少しずつ動かしてね」


オーブンの中でチーズがグツグツし出す


「はい、ちょいちょいっと動かして」


生地のふちに焦げ目が付いてきた


ミゲルに教えて貰って作ったオーブンは優秀だ。熱の対流がいいのか焼けるのが速い


「もういいよ!はい、完成。あと2~3枚くらい焼けるから頑張ってね」


とブリックに残りを任して、ミーシャに焼き上がったピザをテーブルへ運んで貰う


「朝ご飯出来たよ~」

大声で叫ぶとドワーフ兄弟が先にテーブルに着く


遅れてやって来たダンは土まみれだった


「また爆発させたの?」

と呆れ顔で洗浄魔法をかけてやる


「土魔法はな難しいんだよ」


「火魔法も爆発させたくせに」

そう言われて悔しそうな顔しながらテーブルについた


「適当に切り分けて食べて」


朝からピザはいらんと思っていたが、旨そうだったので1/8ほどのサイズを一つ食べた。

バジルが無いとイマイチだなと思いつつ食べる


「熱つっっ、けど旨いなこれ」

ダンががっついて口を火傷しながらも頬張る


ミーシャがじっと見ている


「もうすぐ次が焼けるから」

そう言われてホッとするミーシャ


「焼けたよ!」

ブリックがキッチンから叫ぶ


ミーシャが運んで来て一緒に食べ始めた。


「おいひいでふぅ」

もう突っ込んでやらん



結構デカ目のピザ。合計4枚があっと言う間に無くなった。みんな朝から良く食うね


腹ごなしに俺は剣の稽古、ダンは土魔法の練習、他のみんなで後片付けの続きをして貰った



後片付けもすっかり終わったので剣の稽古も終わるとしよう。


ダンに洗浄魔法をかけた後、ミゲルに米の事を聞いた


ここから歩いて2時間くらいでいけるらしい。往復4時間、向こうでの作業入れたらギリギリ行けそうだ。


「今から連れてってくれる?昼飯抜きになっちゃうけど」


「昨日の晩から食い詰めだからな、飯抜きでも構わんぞ」

ミゲルは了承してくれたので、他のみんなは帰る・・・


付いてくる気満々だね


「じゃみんなで行こう!」



ぞろぞろと米探しに出た。

2時間くらい歩くと草原の中にやや泥濘んだ場所がある。


「坊主、ここらへんだ。探してみろ」


そう言われて見回してみるけど米らしきものが見当たらない。

こう身体が小さいと見回せる範囲が狭いのだ。




「おーい、坊主。これじゃねーのか?」

ミゲルが呼ぶ


よちよちと走って見に行く


「あ、これだよこれ!」

そこには夢にまで見た稲が鎮座していた





しかし


「ほとんど実が落ちてしまってるな」


来る時期が少し遅かったようだ

2割程度しか稲に米が残ってない


くそっ、ここに米があったというのに・・・


「こっちにもありましたよ~」

ミーシャも見つけてくれたようだが、同じく2割くらいしか残って無かった


みんなで散々さがして、5キロ程の米が集まった

全員で食べたら一回分くらいしか無い。しかしこれ以上探してもほとんど増えないだろう



「みんなありがとう。遅くなるしもう帰ろ」


「坊主、これっぽっちで足りるのか?」


「これ食べたら一回で無くなると思う。だから来年までお預けだね」


「来年、もう少し早い時期に取りにくればいいさ」

そうダンが慰めてくれる


「いや、この米を栽培してみるよ」


「栽培?」

全員の声が揃う


「田んぼ作って米作れればいつでも食べられるようになるし、新しい酒とか作れるかもしれないし」


「何っ?酒じゃと?」


「作れるかどうかはわからないけど、栽培に成功したら可能性はある」


「よし、人雇って開墾しよう。お前は田んぼとやらを作れ」

ドワンがやる気満々になってくれた。

しかし、開墾か。自分で開墾したら土地も自分の物になるんだったよな。商会の土地として確保するのもいいかもしれないな。



土地持ちの2歳児


異世界っぽくていいねぇ


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