責任取れ
「アッ♥️ ゲイルの熱い物が・・・」
ゴンっ
「黙ってやれっ」
「す、すまぬ」
「植物魔法に集中しろっ。いつまでたっても覚えられんぞっ」
ったく、何度も何度も変な声出しやがって。人に聞かれたら誤解されるじゃないか。
「次に変な声出したらやめるからな。」
「うむ、が、がまんする」
魔力を流すと口を手で押さえてがまんするミグル
「ほら、いい加減慣れて集中しろ。俺の魔力が腕を通して指先から出てる感覚が分かるか?」
コクコク
「種を植えた所をよーく見てろもうすぐ発芽する」
ひょこんと芽を出す白菜
「ほら発芽した。このまま成長させるからな」
少しずつ魔力量を増やして成長させていく。だんだんと大きく育ち葉を巻いていく白菜
「よし、これで完了。次は俺の魔力に今のを想像しながら自分の魔力を乗せろ」
ずっと口を押さえたままのミグル。先生におしゃべりを叱られた幼稚園児みたいだ。
「よし、発芽させるから自分の魔力を乗せろ」
ミグルの身体が白く光だす
「はいもっと白菜の発芽と成長をイメージして。さっき俺がやったのを思い出して」
そういうとうっすらと光が緑色を帯びていく。
「良い感じだ。そのままどんどんイメージを強くしていって。白菜がどんどん大きくなるよ」
それに従いミグルの光も緑色が強くなっていく。
2つめの白菜が食べ頃になったので次だ
少し弱めに魔力を流してミグルの魔力の方が多いように調整していく。
それから少しずつ俺の魔力を抜いていく。いつものやり方だ。
完全に魔力を抜いても白菜が育っていくのでもう大丈夫だな。
4つ目は初めだけ少し流して後はミグルにやらせる。集中しているミグルは気付かない。
「ミグル、もうお前だけで白菜育ててんぞ。」
「何っ?」
「俺は初めだけしか魔力を流していない。後はお前がやったんだ」
「う、嘘じゃろ?」
「試しに隣の種を自分で育ててみろよ。さっきみたいに集中して強くイメージ持てよ」
「うむ、やってみるぞ」
集中したミグルは自分の力だけで白菜を育てた。その後も植えた種を次々に育てあげる。
「ゲイル、出来たぞ。ワシにも植物魔法が出来たぞっ」
大声で叫んで俺に抱き付きながら喜ぶミグル。
「おめでとう。これでコンプレックスが一つ無くなったね。」
「コンプレックスとはなんじゃ?」
「劣等感とか言えば分かるかな。自分が人より劣っていると感じてそれが心の負担になってる状態のことだ。それがバネになって克服しようと努力して成長したりもするから必ずしも悪い事ではないんだけどね。」
「ワシの心の負担?」
「そう。グリムナさんに植物魔法が使えない事を馬鹿にされたように見られたって言ってたけど、グリムナさんはミグルが植物魔法を教えてもらえなかった背景をすぐに理解したんだと思うよ。自分にもハーフエルフの子供がいるんだ。ハーフエルフを馬鹿にしたり、蔑んだ目で見たりするはずがない。ミグルは自分が植物魔法を使えない劣等感からそんな曲がった感じ方をしただけだ」
「ワシの勘違いじゃと?」
「他の事もよく思い出して考え直してみな。勘違いだったこと多いと思うぞ。それにスキルも影響してんじゃねーか?」
「スキルも見たのか?」
「見えたんだよ。自分でも知ってるのか?そのスキルのこと」
「小さい頃から周りの者はワシにすぐ怒る。それが何故だかまったくわからんかった。捨てられたのもそれが原因かもしれぬ。」
イラつかせスキルは生まれ持ったやつなのか。
「いつしかワシも言い返すようになり、どんどんそれが酷くなっていった。ワシは本当に皆から嫌われておるのだろうか?なぜ自分はこんな言い方しか出来んのだろうか知りたくなった。」
うん、子供の頃もそんな奴がいたし、社会人になってもいたな。もしかしたら元の世界に魔法は無くてもスキルはあったのかもしれん。そう思うとイラつかせスキルはポピュラーなのかもしれんな。
「何か人の心が分かる魔法は無いか。自分の事を知る魔法は無いかと探して見付けたのが鑑定魔法じゃ。残念ながら人の心は見えなんだが、自分にスキルがあるのを見付けたんじゃ」
「なるほどね。それさぁ、父さん達に話した方がいいんじゃない。相手に理解があるとマシになると思うぞ。お前も憎まれ口とかやめればこうやって普通に俺も話せる。」
「そ、そういえばゲイルはワシに怒って喋っとらん・・・」
「素直に話せばイラッともせんよ。小さいのもツルペタなのもコンプレックスなんだろ?そんなお前がドヤ顔でワガママボディとか言うからイラッとするんだよ。」
「わ、ワシはまだ成長途中じゃ」
「魔力増加が止まってんだ。成長も終わってる。諦めろ。まぁ、胸はツルペタだが、か、可愛いとは思うぞ。」
初めて見た時はイラッとする奴だったが、こうやってしおらしくしてると、タレ目の童顔でなかなか可愛い。エルフの血を引いてるのは伊達ではない
「わ、ワシが可愛いと思うのかっ!」
「少しな。少しだけだぞっ」
「フッフッフ。そうかやっぱりワシは可愛いのか。自分でもそうじゃとは思っておったがの。見よ!我が美貌!そしてワガママボディをっ!」
ゴンっ
「だから調子に乗んなっていってんだろ。そういうのが人をイラつかせんだよ。可愛いと言われたら少しはにかんでありがとうと言え。それで人はイラつかん」
「はにかむ?こ、こうか?」
ニチャア
「気持ち悪い顔をすんな。恥ずかしそうに微笑むんだよっ」
「む、むむ、・・・」
俺は一体なんのレクチャーをしてんだよ・・・
「ち、父上っ母上っ大変だっ!」
「どうしたジョン?」
こっそりとゲイルとミグルを覗いていたジョンとアル
「ゲイルがミグルって人を後ろから抱き締めてるっ」
「泣いてるミグルを慰めてんだろ?」
「その後、ミグルって人が変な声を何回も出して、ゲイルの熱い物がとか・・・それでその後抱き合ってた。ねぇ、あれ何してるの?ねぇ、何してるのっ?」
思春期真っ只中のジョンとアルは興奮状態だ。
アーノルド達もまさかとは思うが念のためにゲイルの元に向かう。
そして慌ててゲイル達の元に向かうと・・・
「ゲイル、よく分かった。ワシはお前の嫁になろう。それにあんなに優しくワシに熱い物を流したのじゃ。もう元の身体には戻れん」
はぁーーーーーー?×9
「な、なんだよっ、父さん達どうしたの?大きな声を上げて」
「いま、み、ミグルがお前の嫁にとか・・・。な、何やってたんだっ?」
「何って植物魔法を教えてただけだよ」
「抱き締めたり、抱き合ったり、ミグルがへ、変な声出してとか・・・、お前まさかっ」
またアーノルドが変な妄想を爆発させてやがる。お前昔、庭でアイナとやるとか言ってた時も真っ赤になってやがったよな。
「抱き締めてもいないし、抱き合ってもいない。こうやって後ろから手を持って植物魔法を流してだけだ。植物魔法を覚えて喜んだミグルが俺に抱き付いただけだ。」
「嫁とか・・・」
「ゲイルはワシの初めてを奪ったのじゃ。」
ゴンっ
「初めて覚えた攻撃魔法だろ。変な言い方をすんなっ!」
デバフを攻撃魔法と呼ぶのか知らないが、それを俺が使えた経緯とレジストした方法とか魔法の色が見えるとか説明してるときにアーノルド達が来たのだ。
「よ、嫁とは?」
「今勝手にこいつが言い出したんだよ」
「熱いものは?」
「俺が流した魔力。父さん達も経験あるだろ」
「変な声は?」
「俺が魔力を流す度にミグルが声出すんだよ。」
「初めての経験じゃ」
ゴンっ
「いい加減にしろっ。それより父さん達に話すことあるんだろ?食堂に戻るぞ」
スキルイラつかせが発動してやがる。
無性にイライラした俺はジョンにもげんこつを落としておいた。離れて見てたの知ってるんだからなっ。




