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ぶちょー、今度の人事異動は異世界ですって  作者: しゅーまつ


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アーノルドお前もか

いつもの稽古場に着くと土のコンテナを見て全員が驚いた。


「ゲイル、この土の塊はお前がやったのか?」


「塊じゃないよ。箱になってるんだ」


「魔法で作ったのか?」


「毎日少しずつ盛り上げて作っていったんだよ。ミーシャが森に来たときに安全が確保出来るように壁は厚目に作ってあるんだよ」


「こ、これをぼっちゃまが私の為に・・・」


目をうるうるさせるミーシャ


「本当は全部出来てから見せるつもりだったんだけどね。今日完成するから」


そう言うとミーシャは何度もコクコクとうなずいた


「おい、坊主。これはどうやって扉付けたらいいんだ。出入り口ないぞ」

親方が聞いてくる


「今から作るから、大きさを指定してくれる?」

どんな扉になるかわからないからまだ出入り口を開けてないのだ


「今から作るのか?間に合うか?」


「まだ硬化させてないから穴を開けるのは簡単だよ」


「ほう、そうなのか。じゃあ・・・」と言って扉の大きさを指定した


うにょうにょと指定された部分をくり貫いていく


「これくらいで大丈夫?」


「見事なもんだな、もう出来たのか」

そう言って中に入る親方


「窓はどうするんだ?真っ暗だぞ」


あ、窓考えてなかったな


「どこに窓作ったらいい?」


窓2箇所指定しされ、そこをくり抜く。


「今日はガラス持って来てないから明日はめるとして窓枠だけ作っておくぞ」


「ワシも手伝ってやろう」

おやっさんも大工仕事を手伝ってくれるようだ。


ダンが用意してあった木材を持ってくるとさっそく作業に取り掛かってくれた。


「ぼっちゃん、トイレどうする?」


「そうだね、もう中に作っちゃおうか?」



部屋の隅に2畳程度の仕切りを土魔法で作る。外壁より薄く作るので一気に作る


「親方ごめん、扉と小窓追加お願い」


トイレ部分を見ておうっと答える親方


「ぼっちゃん、ここに縦穴掘れるか?これぐらいの穴で一番下はこれくらいのスペースがあればいい」


直径40cm程の縦穴を3mほどと一番下はバスタブぐらいの大きさだ。


うにょうにょとくり抜いていく


「出来たよ」


「おう、バッチリだ。じゃちょっくら探してくるわ」


そう言ってダンがどこかへ行ってしまった。



そうするとアーノルドが

「ゲイル、ちょっといつもやってる剣の稽古を見せてくれないか?」

と聞いてきた


「いいよ」


いつもの幅広木剣を持って稽古場に移動するとアイナとミーシャも付いてきた


いつも使ってる剣を見て


「ゲイル、なんだそのヘンテコな剣は?」


「ダンが特別に作ってくれたんだ。変な当て方すると折れるようにしてあるって」


「ほう」


「この剣を使って、この板の隙間に・・・」


シュパッ


続けて左右、斜め切りで隙間に通して行く


「お前、もうそんなに剣を振れるようになってるのか・・・」


俺から剣を受け取り、手に取ってマジマジと剣を見つめ、ヒュパッと片手で縦切りをするアーノルド


さすがに一発で隙間に通したな。しかも尋常じゃないスピードで


「なるほど、こういう意図か」


「剣がブレたら隙間に引っ掛かるし、変な所に当たったら折れるんだって」


「これはダンが考えた稽古なんだな?」


「そうだよ。綺麗に振れない内は勝手に剣を振るなって言われてる。剣がブレたまま稽古したら変な癖が付いて下手になるからって」


「そうか、よく考えてあるな。ダンにゲイルを任せたのは正解だったな。ゲイルも真面目に稽古してたのが良くわかったぞ」



「ぼっちゃま、真面目に稽古されてたんですね。楽しそうとか思ってて申し訳ありません・・・」

拗ねた自分を責めるミーシャ


「剣の稽古も楽しいから、楽しんでたのは間違いじゃないな」

そうフォローしておく



そうこうしている内にダンが帰ってきた。細い枝をカゴのようにして何かを持ってる


「何それ?」


「スライムだぞ。トイレにはこいつが必要だからな」


そう言って見せてくれた

バケツゼリーみたいだな。


小屋の中に入りスライムをトイレの穴にほりこんだ


「コイツら何でも食うから、こうやっとけば問題無しだ」


スライム浄化槽か。なるほど。


しかし、この世界のトイレって穴空いてるだけなんだよね。ちゃんと座ってしたいし、便器も作るか。


魔力大丈夫かな?


【魔力】6/70


便器作るとヤバいかもな。

複雑な形は思ったより魔力使いそうだし


「母さん、マジックポーション持ってる?」


「用意してあるわよ。まだ何か作るの?」


「ちょっと試したいものがあるんだ」


ポーションを貰ってごくごく飲む


【魔力】74/75


あれ?また5増えてる。

マジックポーション飲んだら増えるのかな?それとも・・・


まぁ、いいや。便器作ろ



トイレまで移動して、洋式便器をイメージして魔力を流す


うにょうにょと土が盛り上がって便器の形を作りだす

もっと表面を滑らかにツルツルになるように・・・


出来た!ついでに硬化させておく


土に座ると冷たいから便座は後で木で作って貰おう。


「ぼっちゃん、なんだこれ?」


「便器だよ。座って用がたせるんだ」


「どれどれ」


あっまだ・・・


ズボッ


「うわっ、助けてくれ」


ダンが便器にはまってしまった

罠に掛かった熊だな


「父さん呼んでくる」


アーノルドに引っ張りあげて貰ったダンが聞いてくる


「旦那様、申し訳ねぇ。ぼっちゃん、こんな危ねぇもんで用がたせるのか?」


「まだ完成してないんだよ。何も考えずに行動するの止めた方がいいよ」


2歳児に言われて複雑な顔をするダン。


「おやっさん、ちょっと作って欲しい物があるんだけど」


「また変なもん考えたのか?」


へんなものなんか考えた覚えないぞ


「木でこういう形のものを作って欲しいんだ」


「これくらいならすぐ出来るな。何に使うんだ?」

と、聞かれたのでトイレに案内する


「これ、便器ってものなんだけど、ここに座る為のものだよ。土だと冷たいから木で作って欲しいんだ」


じっと便器を見つめるドワン


スタスタと外に出て無言で便座と蓋を作りだした。


「おい、ミゲルここにカンナ掛けてくれ」

親方が便座と蓋にシュッシュッっとカンナがけしてくれる


「坊主、出来たぞ」


出来た便座と蓋の根本に作って貰った突起を可動するように土で固める


これで上げ下げ出来るな


「ありがとうおやっさん。ダン、もう座っていいよ」


「お、おう」

罠に怯える熊のように恐る恐る座るダン


「お、ちゃんと座れるぞ」


それを見ていたドワンが

「坊主、これ商会に戻ったら同じもの作れるか?」


「今日は魔力がヤバそうだから明日なら出来るよ」


「よし、これも売り出そう。トイレ革命になるぞ」


これも売るの?


「坊主が作った物を参考に量産出来るか試してみる」


これが普及したらどこでもトイレの心配無くなるからぜひ量産に成功してもらいたい





「そろそろ飯の準備するか」

ダンが弓矢を手に持つ


「よし、俺も行こう」


お、アーノルドも行くのか


「旦那様と一緒に狩りが出来るなんて光栄でヤンス」


ヤンスってなんだよ


「アイナ達はここで待っててくれ」


「大丈夫よ。ドワンもいるし安心して行ってらっしゃい」


そうか、ダンに加え元英雄パーティーが3人いるんだな。そう考えると豪勢なメンバーだ



アーノルド、ダン、俺の3人で狩りに向かう。



「しっ、獲物の気配がするぞ」

アーノルドがいち早く気配を察知した。ダンより鋭いとは凄いな


俺はそれを聞いてフワフワと浮かんで木に登った


目を見開いて驚くアーノルドだが声は出さない


ススッと足音もたてずに進む二人。

ダンがシュパッっと矢を射つ

その瞬間アーノルドが飛び出しズバっと剣を振る


ドサッ


やった。瞬殺だ


今日の獲物は鹿のようだな


なんの打ち合わせも無く息ピッタリの連携だ

冒険者ってみんなこんなのかな?



感心してると鹿を抱えて戻ってきた。


フワフワと降りる


「二人とも凄いね。息ピッタリじゃん」


「まぁ、鹿だからな。襲われる心配も無いし楽勝だ」

嬉しそうに笑うアーノルド


息子に良いところ見せれてまんざらでも無いようだ



「おーい、戻ったぞ~」


「あら、鹿が捕れたのね。これなら全員で食べても足らないってことはなさそうね。じゃ後は任せて」

お、アイナもさばけるのか


「奥様、お手伝いします」

ミーシャも平気なんだな。そういや冒険者の娘だったからこういうのが当たり前の生活だったのかもしれん


「水はどうするのかしら?」


「お、俺がやってみよう」


ん?アーノルドが立候補したぞ?


「ゲイル、魔法教えてくれ」

鼻息が荒い


あぁ、これが今回の目的だったっけ?めっちゃワクワクしてんな


「いいよ、父さん。今から試しに水出すから良く見ててね」


まだ解体途中だが血が出ているところにじょぼじょぼ水を出してかける


「じゃ、父さん。闘気を出す時と同じ感じで魔力を指先に流して。力じゃなくて今見た水をイメージして」


「よし、わかった。やってみるぞ」


ムムムっ


ムムムっ


顔を真っ赤にするアーノルド


だぁっー!



あっ!




ザッパーン


大量の水をアイナとミーシャにぶっかけた


「ア ナ タ・・・・」

アイナ激おこ







アーノルド、お前もか

















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― 新着の感想 ―
[良い点] ちょうどいい塩梅のノリの軽さでサクサク読み進められる、気疲れなくて楽しめます
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