表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶちょー、今度の人事異動は異世界ですって  作者: しゅーまつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

409/717

発展の一歩

翌朝小屋を片付けて商会に立ち寄る。ファムにエルフの(くに)で手に入れた種を渡して砂糖の生産を依頼しておいた。紙はいくつか試作品が出来ていたが書き物に出来るような品質には至ってなかったが、食べ物を包んだり出来そうな物があったので量産を依頼する。これで屋台でコロッケとか出せるようになるな。


芋の酒やら米の酒が出来ているのに驚いた。味見を頼まれたが朝っぱらからテイスティングする気にならなかったので、ブリックの料理教室の見学が終わったらもう一度来ると約束する。



屋敷に戻るとアーノルドとアイナは仕事に行った。


「俺はブリックの料理教室に行くけどみんなどうする?」


全員付いてくるとのことだったので料理教室にむかった。場所はアーノルドの職場のすぐ近くだ。



「おー、結構繁盛してんじゃねーか」


「本当だね」


「お前が里でやってたよりずいぶんと道具が多いな。」


「魔法使えないからね。その分道具が必要なんだよ。」


「あ、ぼっちゃん。お待ちしてました。今日はラーメンを作るんですよ。」


やった!久々のラーメンだ。


「ラーメンとはなんだ?」


「麺料理のひとつだよ。何ラーメンだろ?」


「いろいろあるのか?」


「そうだね、塩、味噌、醤油・・・あっ!ブリック、何ラーメン作るんだ?」


「味噌ですよ。」


「じゃあ、もうひとつ作ろう。醤油をもらって来たんだ。」


「醤油?」


「そう。じゃあ醤油のは俺が作るよ」


グリムナを見てキャッキャ喜ぶ女性陣。それは無視して鶏ガラをグツグツと煮ていく。チャーシューは味が染み込むのに時間がかかりそうなのでバラ肉のローストポークで代用しよう。煮卵も無理だから半熟卵でいいか。スープに加える野菜も煮込むのに時間が必要だからダンにすりおろしてもらって時間短縮だ。

シルフィードにはスープの灰汁取りをしててもらって俺は麺作り。

手分けして準備していく。


「ずいぶんと手間がかかるんだな」


「本当はもっと時間かけてスープ作ったりするんだけど、家で食べるならこれくらいでいいかな。商売をするならもっと工夫していかないとダメだね。家で食べられないものじゃないとお客さんは来ないから」


「なぜだ?」


「自分で作った方が安いからね。商売しようと思ったらそれより何か得する事を足さないとダメなんだよ。美味しいとか手軽とか安いとかね」


「なるほどな。」


「料理を商売にするならやっぱり美味しいが一番いいかな。手軽や安いは真似されやすいけど、美味しいはなかなか真似されないから。」


教室に来ている人達はブリックの教える事を板に書いていく。やっぱり紙が手軽に手に入るようにしないとな。あんなのちょっとしか書けないや。


そうこうしている内にラーメンが出来上がってくる。俺達は出来た醤油ラーメンを食べる。


「わぁ、初めて食べる味です。これも美味しいですねぇ」


ミーシャは醤油ラーメンが気に入ったようだ。


「うむ、旨い。手間隙かけただけの事はあるな。」


「いや、この肉をとろけるようなチャーシューにしたり、卵に味が染み込んでたり、スープにもっとコクを出したりとかしないとね。醤油があるから今までより美味しい物がたくさん作れるようになるよ」


「ぼ、ぼっちゃん。自分にもそのラーメンを食べさせて下さい」


俺達もブリックの味噌ラーメンをもらい、ブリックには醤油ラーメンをわたす。


「う、旨いです」


「ブリックの作った味噌ラーメンも旨いよ。ちょいとニンニク入れてネギをたくさん入れてもいいと思うよ」


ニンニクネギ味噌ラーメンは旨いのだ。今度作ろう。


ブリックは教室に来ている人達の作ったラーメンを味見して麺が茹で過ぎとかアドバイスをしていた。俺達はラーメン2ハイ食べて満腹だ。


ブリックは忙しそうなので見学を終了して商会へ向かった。



「おう、先に酒の味見をしてやれ」


朝やらなかったやつから片付ける。


まず芋の酒


「お、ちょいと癖があるがいけるぞ」


「うむ、土産に貰った酒みたいな強さがあるが風味というか匂いが全然違うな」


俺はテイスティングでも酔いそうだから水で割って味見をする。うん芋焼酎だね。


次は米のお酒だ。


「これ、蒸留する前の奴もある?」


ジョージはアルコール度数を高めるのが好きだからな。これ米焼酎だろ。


蒸留前のも持ってきてくれたのでテイスティング。おぉ、純米酒だ。飲み干したいのを我慢してペッとする。


「ジョージ、でかした。これは特産になるぞ。これ米をもっと削って半分くらいに小さくしてから酒を作ってみてくれ」


「米を小さくするんですか?」


「そうだ。削り具合を変えた米で作ると同じ米からでも違う風味の酒が出来る。」


イメージは純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒だ。くーっ、早く酒が飲める身体になりたい。


「ぼっちゃん、この米の酒はなんに合うんだ?」


「合わない料理が思い付かないくらいだけど、特に魚料理、しかも刺身に合うよ。キリッと冷やして飲んでもいいし、暖めて鍋とかで飲んでもいいし。」


俺がそう言うとダンがタラーっとヨダレを垂らす。


「坊主、こいつは温めて飲んでも旨いのか?」


ドワンが熱燗に興味を持ったので、試しに土魔法で徳利と盃を作る。


それを湯煎して人肌より少し熱いくらいにして入れてやる。


クッと飲むみんな


くーーーっ


なんでシルフィードまでおっさんみたいになってんだよ


「刺身とはカルパッチョと違うのか?」


ドワンが聞いてくる


「似て非なるものだね。カルパッチョにしたのはワサビと醤油が無かったから。今回両方手に入ったんだよ」


「よし、明日釣りに行くぞ」


「ダメだよ。エイブリックさんの所にも行かないといけないし、俺は西の街のこともあるんだから。」


「数日遅れた所で何も変わらん。」


「明日はダメだって。ブリックがグリムナさんの歓迎料理を作るんだから。」


「じゃあ明後日出発じゃ。これは決まりじゃ」


マジかよ・・・


「俺は構わんぞ」


グリムナも反対しなさい。


最終的に4日後に出発することになってしまった。取りあえずエイブリックには帰って来たことと10日後ぐらいにそちらへグリムナと共に行くことを手紙で知らせておこう。



屋敷に戻ってグリムナの歓迎会だ。お決まりの鉄板焼きだがちょっと変わった前菜が出てきた。


「ブリック、これなに?」


「グリムナ様の歓迎会とぼっちゃん達の無事お戻りになられたお祝いに新しい物を作ってみました」


薄く小さく切って焼いたパンにチーズややや塩気が強めのベーコンとか色々な種類が乗せてある。あとこれなんだ?


薄茶色というかなんというか。それが一番気になったので一番先に食べてみた。


あ、これ


「肝をすりつぶして味付けしてるのか?」


「正解です。ぼっちゃんは肝が好きなので色々と試して作ってみました。」


レバーペーストやパテとか呼ばれるやつだな。まったく臭みもないし、丁寧に裏ごしもしてある。ニンニクや玉ねぎとかで付けてある味付けもバッチリだ。


「ブリック、めちゃくちゃ旨いよ。」


「本当ですか?嬉しいです」


「おう、ブリック。このちょいと甘いワインと良く合うな。旨ぇぞ」


「これはゲイルが考えたのか?」


グリムナも旨いと思ったらしく聞いてくる


「いや、ブリックが自分で考えたんだよ。こうやって皆が新しい物を考え出していくっていいよね」


「皆が新しい物を考え出していくか・・・」


俺が作ったものばかりじゃなく、皆が新しい物を考え出す。これが発展だな。うんうん。


ブリックが作ってくれた美味しい物を皆で楽しんで食べて満足だ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 醤油の使い道といえば醤油ラーメンがありましたね。 砂糖もあるしみたらしみたいなこともできそう。 楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ