成敗
(フォール・ベンジャミン?新しい衛兵団長は貴族なんだな?)
(はい)
(フランクさんは平民だったよね?)
(団長は唯一平民出身の団長でした)
(他にもいるの?)
(衛兵団は東西南北の4つに分かれてましてそれぞれ団長がいます。その上に衛兵総長がいる組織です)
(ここは西の団ってことだね?)
(そうです)
(衛兵も入れ替わったって聞いたけど他の所に異動したの?)
(はい、新しい団長の息が掛かったものと入れ替えが進んでいます)
(ベンジャミン家の爵位は?)
(法衣貴族で、男爵の爵位もお持ちです)
(何やってる貴族なの?)
(そこまでは・・・)
(わかった。色々ありがとう。後は自分でなんとかするよ)
(お力になれず申し訳ありません)
(いやいや、助かったよ。もう持ち場に戻って。怪しまれるといけないから)
(はっ、ゲイル様の御武運をお祈りしております)
「法衣貴族のロードン・ベンジャミンです」
「ベンジャミン家?爺知ってるか?」
「調べて参ります」
「ダン、後はこちらで調べる。お前はその宿に戻れ。」
「はい」
ゲイルは牢屋で一晩過ごした翌朝
「出ろ、取り調べだ」
「衛兵さん、フランク団長は知ってる?」
「ぐちゃぐちゃ余計な事をしゃべらずに出てこいっ」
こいつはあちら側か
「衛兵さん、俺って貴族なんだよね。こんな扱いしてるのバレたら大変な事になるよ。大丈夫?」
「いいから早く出ろっ」
「わかったよ。自分で歩くから俺に触るなよ。悪人だとバチが当たるからな」
「いいからさっさと」
バチンッ
うぎゃぁぁぉぁ
「だから言ったろ、悪人が俺に触るとバチが当たるんだよ。さっさと案内しろ」
あちら側と確認した衛兵に極弱めの電撃を食らわしてやる。これで触らんだろ。
「きさまっ、何をしたっ!」
「お前、衛兵のクセに法を犯してるだろ?だからバチが当たったんだよ」
「訳のわからんことを」
バチバチバチバチッ
うぎゃぁぁぉぁぁぁぁ
「次俺に触ったら死ぬからな。黙って案内しろっ」
すっかり大人しくなった衛兵の後を歩いていく。
「こ、この部屋に入れっ」
俺の背中を押そうとしたが手を引っ込める衛兵。
扉を開けて中に入ると大きなテーブルの椅子に座った男、横には衛兵が2人、扉に2人か。
座ってるのが新しい衛兵団長だろう
「お前、そんなに小さいのにずいぶんと凶悪な犯罪を犯したもんだな」
「犯罪なんて犯してないから誤認逮捕ってやつだ。今なら間違いでしたスミマセンで許してやってもいいぞ」
「ずいぶんと生意気な口を叩くな。聞いていた通りだ。」
聞いていた通りか・・・、もうボロだしやがった。アホだな。
「で、俺はなんの容疑でここに連れて来られたんだ?」
「善良なる市民を殺害しようとした罪、傷害及び殺人未遂だ。耳を切り落としたそうだな」
「俺はディノスレイヤの者でね、賊はゴブリンと同じだから討伐する事にしてる。まぁ、俺に斬りかかってきたから不敬罪で殺してもよかったんだが女の子の前だったから耳だけで済ませてやっただけだ」
「不敬罪?」
「お前、俺の事を何も知らずにこんな目に合わせてるだろ?」
「何をほざく、凶悪犯と同じ牢で一晩過ごして頭がおかしくなったんじゃないのか?どこの商会の子供かしらんが、不敬罪とは笑わせる。身の程をしれ」
「身の程ねぇ・・・」
「成人してないとはいえ、殺人未遂は重罪だ。牢から出られると思うなよ」
「俺を閉じ込めてどうするつもりだ?」
「さぁな、まぁ子供と言うことで罪を軽くすることも考えてやれんこともない。」
「ふーん、何をすればいいんだ?」
「簡単なことだ。あの潰れる寸前だった宿をたった数日で繁盛させたようだな。何をしたんだ?」
「衛兵さんには関係の無いことを聞くとはずいぶん商売熱心だな?」
「治安維持の為に必要だからさ。」
「もう一度聞くけどさ、俺の名前とか知ってるか?」
「罪人の名前なんぞ知らん。お前は聞かれたことだけ答えればいい。」
「そうか、なら教えてやろう。俺の名前はゲイル、ゲイル・ディノスレイヤだ。聞いたことないか?フォール・ベンジャミン」
「なぜ私の名前を・・・、ゲイル・ディノスレイヤだと?」
「ベンジャミン家って男爵らしいな、うちの爵位を知ってるか?」
「何デタラメをっ!貴族の息子があんな所で焼き鳥なんぞ焼く訳が無かろうっ」
「お前さぁ、俺と牢屋に一緒にいた元盗賊の事は知ってるよな?」
「それがどうしたっ?」
「あいつら盗賊の見張りをする前どんな目に合ってたか知ってるか?」
あっ、と後ろの衛兵が声を出す
「なんだっ?」
ガタガタっと震え出す声を出した衛兵
「あ、あの盗賊どもの身体に書かれていた・・・討伐したのはゲイル・ディノスレイヤ・・・」
「なんだ知ってるじゃないか。」
「どういうことだっ!」
「こういうことだよっ」
俺はフォール・ベンジャミンを土魔法で拘束し水魔法で顔を包んだ
ぐぼぼぼぼぼっ
大分水を飲んだ所で半分くらいに減らしてやる。
「きっ、貴様何をぐぼぼぼぼぼっ」
「上向いてないと死ぬぞ。おいそこの衛兵、今からこいつの取り調べをはじめるから記録しろ」
ガタガタと震えていた衛兵を記録係に指名する。残りの衛兵が剣に手をおいた
「今、剣に手をやったやつ、同罪な」
ぐぼぼぼぼぼっ
ぐぼぼぼぼぼっ
ぐぼぼぼぼぼっ
同じように手足を拘束し水で顔を包む
「おい、お前はフランクの事を知ってるか?」
「ふ、フランク団長の事でしょうか?」
前からの衛兵みたいだな。
「お前は勘弁してやる。さっさと記録を取れ」
衛兵3人の水を半分まで減らす
「さて、フォール・ベンジャミンよ。今から取り調べだ。お前、今まで何人殺した?」
「きさま・・私がそんな事を・・ぐぼぼぼぼぼっ」
「この水、嘘つくと増えるんだよね。それと舌が伸びる。」
水を減らして少し舌を引っ張っる
「さてもう一度聞こう。今迄何人殺した?」
「こ、殺しなんかっ・・・こぼぼぼぼ」
記録係にされた衛兵はガタガタと震えている。ちゃんと文字書けるのか?
「俺ね、人を殺したやつの気配が分かるんだよ。お前が直接殺ったんじゃ無くて命令したやつとかもな。それなら身に覚えがあるだろ?」
「し、知らんっ ごぼぼぼぼぼ」
ゲイルが取り調べをしている同日の朝、ゴーア商会裏口に手足を拘束され顔と肩を潰された盗賊が捨てられていた。




