品種改良ぽいこと
やれやれだ。
一つやることが終わったな。
ちょっとイチゴ見に行こう。
今年は実をならせずに苗を育てる事に専念してあるからな。もうランナーが出てるだろう。
「あ、ゲイルちゃま」
「ポポ、ちゃんと面倒みてくれてた?」
「おっきくなってるよ!」
おお、大きくなったな。ランナーも充分伸びて、3番目まで根付いてるな。
「ありがとうね、ポポ。今から違う作業をするよ。ここから伸びてるやつをこっちに植えて行くから」
元々の株が20程。2番目と3番目のランナーを植え替えていく。全部で100株くらいに増えたのでミーシャとダンも呼んで来て貰った。
「今から何するんですか?」
「育てて実を生らすから、手伝って」
棒の先にフワフワの棉を付けた物をそれぞれに渡す。
「今から花を咲かせる所まで育てるから、花が咲いたらこうやって受粉させてね、テキトーにやると変なイチゴが出来るからね」
うにょうにょと育てるとポポは大喜びして見ていた。
花が咲いたので棉でポンポンしていく。非常に面倒くさい。
「じゃ実を生らすからね」
再び植物魔法をかけていくと実が大きくなって赤くなる。取りあえず大きな実を付けたものに印を付けていく。
「食べて甘い奴を教えて。一つの株から一つだけ食べてね。」
わーいと喜ぶミーシャとポポ
あまーい、スッパーい、味があまりなーいとか感想を言いながら食べていく。
「味が無かったのはどれ?」
これ、と全員が指をさす。食べてみると確かに味が薄いので引っこ抜く。それが20本ほど。大きく実を付けてるやつもあるけどポイだ。
酸っぱいのは40本ほど。これは一旦キープする。
甘いのは10本ほど。その中で大きな実の奴に印を打つ。それが2本。
極甘のが1本で実は小さい。残りのは甘いのと中間だった。
「この甘くて大きいのと極甘いのは全部食べていいよ。」
嬉しそうに食べるミーシャとポポ
その大きくて甘い2本と極甘いのを再び育てるとランナーが出るので切りながら育て続けるとまた花が咲く。
大きな実の花の雌しべを切り、極甘の花は雄しべを切る。大きな実の花にポンポンしてから極甘の花にポンポンして育てていく。
やった、大きな実が出来た。
「食べてみて」
みんなで食べてみると極甘より若干甘味は落ちたが大きくてとても甘いイチゴになった。
「協力ありがとう。酸っぱい実はジャムにするから全部実を取って。普通のは今食べる?それとも明日にする?」
明日にするとのことだったので、冷蔵庫にいれておいてもらった。
株を増やすのは明日からでいいな。
昼御飯を食べて森へむかった。
「わぁ、草ぼうぼうだね。ちょっと来ない間にこんなになるんだね。」
荒れ地と呼ぶにふさわしい場所になっている。
シルバー達も食べきれないだろう。
小屋に入ると下水のスライムが居ない
「ダン、スライムが居なくなってる。死んじゃったかな?」
「3ヶ月くらいで死ぬとは わっ!」
小さくなったスライムが飛び掛かろうとびょんっと跳ねた。
「驚かしやがって。よっぽど腹減ってんだろな。取りあえずそこら辺の草を刈って投げ入れよう。」
ダンが剣で草を狩り俺がスライム下水槽に投げ入れるとすぐに消えて無くなる。小屋周りを刈っては入れ刈っては入れを繰り返したがすぐに消化されていく。
「これキリが無いね。」
「そうだな。取りあえずはこれで襲って来ないだろうから、明日もここに来て食い残しとか入れてやろう。」
「じゃあ明日はトウモロコシをここで育てようか。どんな種類があるか試さないとね。」
「また俺が毟るのか?」
嫌そうな顔をするダン。お前ひと掻きで出来るじゃん
「おやっさんに機械作って貰うよ」
そうしてくれと答えたダン。やっぱり嫌だったのか。
帰りに商会に寄ってドワンに依頼だ。
「まったくお前は次から次へと」
ぶつぶつが止まらないドワン
「別にいいんだけどね。酒用のトウモロコシを作ろうと思ったんだけど、食べる奴だけにしておくよ。」
「どんな物を作るんじゃっ?」
相変わらずチョロい
こんな風にと説明する。仕組みはさほど難しくはない。1本ずつ入れて回して芯からガリガリと外すだけだ。
取りあえず明日に一つ作っておくとのことだった。
「近々モツ焼きパーティーするけど、いつがいい?」
3日後だとミゲルもこれるとのことだったのでその日に決めた。アーノルド達も翌日休みで丁度いい。ブリックにも手伝わせよう。
翌日も大きくてとても甘いイチゴの株だけどんどん増やしておいた。それだけ別に分けて特別なイチゴとしよう。甘いのは高級品、普通品、酸っぱいのはお菓子用として苗を売り出すか。
お昼ご飯のデザートとして昨日収穫したイチゴに練乳を掛けて出してもらった。アイナが絶賛していたので、しょっちゅう食卓に出ることになるだろう。
森に移動してトウモロコシを育てる。
出来たトウモロコシの皮を剥いて中身を確かめると、ぷっくりと綺麗な形をしているものと、少しへこんだ物がある。両方食べ比べると少しへこんだ方はあまり甘くない。ドワーフの国で食べたやつと同じだ。ぷっくりとした方はちゃんと甘かった。
「ダン、わかったよ。こっちが飼料や酒になるやつ。こっちが食べる奴だよ。」
「食べる奴はうめぇな。」
「だろ?でも飼料用の方が数が必要になるけどね。取りあえずこのままおいておくよ。明日にでも成長させて種にしよう。」
育てた人間用の奴を一つずつとって食べて、美味しかったやつ以外は切り倒してスライムにあげた。
イチゴとトウモロコシはちょっと進んだな。後はサトウキビか。自然環境で確認していくのは時間がかかるなぁ・・・




