筆頭護衛との和解
短めです
明るいうちに屋敷に戻った。
護衛達は天幕を持ってきており、牧場の隣にそれを設置し、ドン爺もエイブリックも今晩はそこに泊まるとのこと。うちの屋敷が小さいことを知っており準備してきたようだ。
今サーカスみたいなものを設営中である。
「ゲイル様、本日の数々の非礼をお詫び申し上げたい。それと陛下と共に同じテーブルで話しながら食事を共にする貴重な経験をさせて頂き深くお礼を申し上げる。」
「筆頭護衛さん。こちらこそ申し訳無いことしちゃったなと思ってたから気にしてないよ。王様の護衛なんて大変な仕事勤まる人なんてほとんどいないからね」
「私はナルディック・トロールと申します。ナルとでもお呼び下さい。」
「じゃあナルさんて呼ぶね。俺もゲイルでいいし、敬語も様もいらないよ。父さんは領主だけど俺はただその家に生まれただけで偉いわけでもなんでもないからね。」
「その様な訳には・・・。」
ずいぶんと態度が軟化したな。普通に接したらまともな人だな。
「じゃあゲイル殿とかでいいよ。でも敬語はいらない。俺も父さんくらいの歳の人に敬語使われるのも窮屈だし、俺も敬語を使うの苦手だからね」
「ありがたいお言葉に感謝するゲイル殿。それでは敬語はなしで話させてもらう。」
「いいよ。それで」
「ひとつ無理を承知で願いを聞き届けて貰うことは出来ぬだろうか?」
「なに?」
「陛下の釣りに同行させては貰えぬだろうか?勝負に負け、陛下にも邪魔だと言われても俺は俺は・・・」
涙を堪えて一緒に行きたいと言う。使命がなんたらとか言ってたけど、王様の事が好きなんだろうな。
「じゃ一緒に行こう。ナルさんだけでしょ一緒に来るの?」
「か、構わぬのか?」
「ドン爺もいつも一緒にいる人に大物釣って自慢したいんじゃない?ナルさんがボアを褒めてるのめっちゃ嬉しそうだったしね。頑張って大物釣って貰うからさ、また王様の話を喜んで聞いてあげてよ」
「げ、ゲイル殿っ!」
筆頭護衛改めナルディック・トロール。男泣きしながら抱き締めるのやめてくれ・・・
ナルが同行することは俺から王様に言っておくと伝えた。
他の護衛達はここで待機してもらおう。たまにはゆっくり休むのも良いだろう。釣りにはブリックも連れて行くつもりだったけど、屋敷に残って護衛達の食事を提供してもらうか。王様と同行させたら死にそうだからな。今晩のメニューはヨルドと決めてくれと言っただけで泡吹いてたからな。
夕飯は昼飯からそんなに時間が経ってないのでベント以外は酒のつまみ程度で良いだろうということでチーズフォンデュになった。ブリックは肩透かしをくらったかと思ったがほっとしたようだ。
俺はナルが同行する旨を伝えた。俺が良いなら問題無いって。そうか俺が反対してただけだった。
ミーシャとシルフィードも連れていく。ベントは行きたかったみたいだがセバスと外せない用件を入れていたようで来れないみたいだ。明後日出発なら行けたらしい。運の悪いやつめ。
アルは屋敷に泊まり、ドン爺とエイブリックは天幕に寝に行った。
明日は釣りか。ルアーもフライも出来てるし、スピニングリールに糸も巻いた。準備完了だ。しかし、今日は本当に大変な一日だった。早めに寝よう。




