シルフィードの秘密
「ゲイル様っ!ゲイル様っ!」
俺はシルフィードに身体を揺さぶられてトリップから戻った
「どうしたの?そんなに慌てて?」
「あ、良かった。何度呼んでも動かなくなってしまったので心配したんです」
「ごめん、ごめん。ちょっと考え事してた」
「な、何が見えたんでしょうか?」
「うん、見えた物を話す約束だったね。まず名前なんだけど、シルフィード・グローリアだった」
「グローリア?」
「多分、家名だね。俺のディノスレイヤと同じ。元の国ではみんな家名があるの?」
「い、いえ・・・」
「お母さんに家名あった?」
「多分無かったと思います。」
「じゃあお父さんの方だろうね。何か知ってる?」
「いえ、何も知りません」
「でも植物魔法は教えて貰ったんでしょ?詠唱が古代エルフ語だと知ってたのもお父さんに教えて貰ったんじゃないの?」
「あれ?そういえばそうですね。いつ教えて貰ったんだろ?あれ?」
んー、母親が目の前で殺されたショックで記憶が一部無いんだったよな?これ以上追求していくと殺された情景とかフラッシュバックしてしまうんじゃなかろうか?ちょっと危険だな。
「まぁ、その件はおいといて、魔力の事なんだけど。魔力はめっちゃあるよ」
「えっ?ゲイル様と同じくらいありましたか?」
パアッと顔が明るくなる
「同じぐらいどころか倍くらいあったよ。6000越えてた。」
「そ、そんなにですか?だとすれば魔力の最適化がまったく出来てないのでしょうか?」
「最適化もまずまずだと思う。1つの植木鉢を苗にするのに魔力80使ってた。俺は40だったから、理論上は俺とシルフィードは同じぐらいの数の苗を作れる」
「えっえっえっ?どういうことですか?」
「シルフィードは魔力が5000以上残ってるのに魔力が無くなりそうと感じてたんだよ。」
「魔力切れをおこす感覚は私の勘違いと言うことですか?」
「シルフィードは子供の頃とか魔力切れで倒れたことあるか?」
「1度か2度あります。」
一部の記憶がないからあてにならないか。
「魔力が大量に残ってるのに魔力が切れそうにと感じる理由はいくつか考えられる。1、勘違い。2、トラウマ。これなら俺が魔力残量を見ながら魔力が無くなりそうな感覚を無視して使わせることで解決出来る」
「トラウマ?」
「昔とても嫌な事があって、それを避けるために自分でブレーキを踏んでしまうんだよ」
「ブレーキを踏むって何ですか?」
あー、確かにこの世界にない表現だな。ちょいちょいあるんだよな。もう誰も何も言わないけど。
「えっとね、嫌な事が起こらないように途中で止めてしまうとかの意味。」
「じゃあ、ゲイル様に見てもらいながらやればもっと魔力が使えるようになるんですね?」
「精神的なものならね。原因として考えらるのはまだある。3、制限。4、呪い。だ」
「呪い? わ、私がハーフエルフだから誰かに呪われてるんですか?」
「呪いって言ったけど、本当に呪いたかったら魔法使えなくするだろうから、呪いの可能性は消していいかもしれないね」
「では制限ですか?」
「精神的なものか制限かこの2つの可能性が高いと思う。」
「じゃあ、見てもらいながら魔力使って、使えたら精神的なもの、使えなかったら制限ということでしょうか?なら一度試してみれば・・・」
「ダメだ! もし制限だったとしたらそれを越えてしまった時に何が起こるかわからない。シルフィードが自分で魔力切れそうと感じる本能を無視するというのは危険なんだよ」
「じゃ、じゃあずっとこのままなんでしょうか?」
「俺にはこれ以上調べる事が出来ないんだよ。シルフィードがなんとかしたいというなら父さん達に相談しないといけない。この話は父さん達にしていいか?」
・・・
・・・・
・・・・・
「はい、お願いします。自分に何がおこってるのか知りたいんです」




