80 森の戦闘植物姉妹
私、植物モンスター幼女のアルラウネ。
こっちは妹分のアマゾネスである枯れ木のトレント。
どうやら私たち、かなり武闘派だったようです。
メジロを大きくしたような鳥型モンスター、ヴァイスアオゲンの群れに襲われた私とトレント。
植物2本対鳥30羽でしかも相手は空を制しているという不利な戦いだったけど、テッポウウリマシンガンを使用したことによって形成は逆転しつつあるの。
ごきげんようメジロさん。
森の植物姉妹が主催するお茶会へお越しいただき、ありがたく存じます。
さっそくですが、わたくしのお菓子のお味はいかがでしょうか。
最近流行の麻酔種ですの。
しかも、このテッポウウリマシンガンによって空を飛ぶ皆さまへ素早く大量のお菓子を提供することができるのです。
気に入っていただけたでしょうか。
麻酔種を体で味わってくださったメジロさんたちが、全身を硬直させるほど喜んでくださりながら降りてくださります。
どうやら皆さん空を飛ぶのは得意でも着地するのは苦手のようですね。
だって、どう見ても墜落しているようにしか思えませんよ。
そんな不格好な動きでは、レディーとアフターのダンスを踊ることもできないですね。
そんな中、まだお菓子が貰えていないメジロさん方がわたくしに目掛けて集まってくださりました。
仲間のメジロさんたちがわたくしの種をいただいたお礼を、代わりにしてくれるみたい。
どうも、わたくしに花粉をプレゼントしようと画策しているようです。
ご厚意は嬉しいですが、ご遠慮させていただきますわ。
わたくし、どこのどなたとも存ぜぬ殿方の花粉を受粉するつもりはないのです。
そもそも、お茶会で女性を強引に受粉させようとするなんて、紳士の風上にもおけませんね。
おいたはいけませんことよ。
わたくしがその曲がった根性をたたき直してあげましょう。
蔓を四本構えて、銃口をメジロさんたちに向けます。
それでは皆さま、よろしくて?
スポポポポンッ!
四丁のテッポウウリマシンガンによる掃射に、紳士なメジロさんたちがどんどんと墜落していきました。
あぁ、なんだか快感……。
わたくし、癖になっちゃいそうですわ。
地面に落ちたメジロさんたちは、体を硬直させてごめんなさいのポーズを取っているみたい。
反省できるのならよいのです。
でも、後のことはわたくしの妹分に任せておりますの。
皆さま、ごめんあそばせ。
私の妹分であるアマゾネストレントが、空から落ちてきたメジロさんたちを容赦なくトドメをさしていく。
羽を引きちぎったり、首の骨を折ったり、木を引き抜いて槍のようにメジロさんに刺したりしているの。
みるみるうちに、メジロさんたちを血祭りにあげていきます。
私の妹分、思っていた以上に強いみたい。
気がつくと、メジロさんたちはいなくなっていました。
全てテッポウウリマシンガンで撃墜してしまったみたい。
地上には、三十羽ほどの鳥モンスターの残骸が落ちていました。
もう一面真っ赤。
かなり惨劇の光景です。
トレントは女狂戦士というにふさわしい仕事をしてくれたね。
さすがは私のアマゾネス。
私とアマゾネストレント。
二人でかかれば、どんなモンスターが来ても撃退できそうだよ。
あ、クマパパみたいな大物は例外ね。
それにしても、疲れました。
テッポウウリマシンガンは使ってみてわかったけど、かなり強い武器になる。けれども代償も大きい。
なにせ、大量の麻酔種と汁を飛ばすテッポウウリマシンガンは、とんでもなくエネルギーを消費するの。
しかもメジロさんに襲われる前に、私の分身である子アルラウネを受粉して作っていたからね。どちらも気軽にはできないくらい体力を失うわけ。
もうかなりの栄養と水分不足です。
お水ほしい。
でも、まずはこの場のお掃除をしましょうか。
魔女っこが帰ってきたら、惨劇の光景に驚いちゃうからね。
普段は私、毒殺しているせいで辺りが血まみれになることはないから、こういうのは珍しいの。
蔓でメジロさんたちを一個所へと集めていきます。
そうしてメジロさんをゴミ収集です。
もちろん収集場所は私の下の口。
可能な限りはパクリとしちゃうよ!
「いやー、これはどこの戦場なのかなー?」
木の影から、妖精キーリが現れました。
呆れたようにしながら、戦闘の跡地を見渡します。
どうやら森のパトロールから戻ったみたいだね。
「アルラウネを初めて見た時もそうだけど、いつもモンスターに襲われているよね」
「初めて、見た、とき?」
「池でワニに襲われていたでしょう。もうバケツで池に流されていくのが面白くて、笑っちゃったよ」
「その前の、夜、じゃなくて?」
「夜? あたしがアルラウネを見つけたのは昼間だし、あの池と川の時が最初だよ」
あれ、ちょっとおかしい気がする。
私が池で溺れる前夜、ホタルのような光を目撃したの。
その小さな光は眠る私に水のようなものをかけて、どこかへ去っていったよね。
てっきりあの光は妖精キーリのものだと思っていた。
でも、どうやら違うみたい。
なら、あの光の正体はいったいなんだったのか。
ただの私の夢だったのかな。
それとも別の何かが飛んでいたの……?
──あ、あれは。
白い鳥さんが森の上空を通過するのに気がつきます。
メジロ軍団に襲われたばかりだから、上空を警戒していたおかげで見つけることができたの。
でも、ちょっと待って。
魔女っこ、どこへ行くんだろう。
私たちがいる場所を素通りして、どこかへ飛んで行っちゃった。
うーんと私が空を見上げながら悩んでいると、耳元から聞き慣れた声がしました。
「アルラウネただいま」
「うわっ!?」
気がつくと、私の真横に魔女っこが人の姿で立っていました。
え、早っ!
いま空の上を飛んでいたはずなのに、いったいどうやったんだろう。
いつもの見慣れた鳥さんだったから、別の野生の鳥さんというわけではないと思うし。
まるで瞬間移動でもしたみたい。
いつの間にそんな早移動できるようになったのかな。
もしかして魔女の黒魔法にはそういった魔法も存在するの?
魔女っこの隠し技だったりするのかもね。
魔女っこが戻ったことにより、他のメンバーは解散となりました。
妖精さんはドライアド様に用事があるらしく、聖域へと向かったみたい。
私の妹分であるアマゾネストレントも、どこかへ狩りに行っちゃった。
私と魔女っこの二人きりになりました。
魔女っこは周囲の血の惨劇に顔を引きつらせながら、蜜の売り上げ報告をしてくれます。
なんと、本日も完売です!
どうやら昨日蜜を買ってくれた女の人と偶然再会したみたいで、また蜜を全て買い取ってくれたみたい。
売り切れた喜びもあるけど、私は同時にその女の人が心配だよ。
だって昨日バケツ一杯の蜜を手に入れたばかりなのに、もう追加購入したの?
え、その人、大丈夫?
まさか一日で全部舐めきったわけじゃないよね……?
新たなペロリストが街で誕生してしまったのではないかと体を震わせながら、魔女っこバケツで水やりをしてもらいました。
地面から生えているいまの私は、魔女っこに川へ水くみに行ってもらうことしか水を大量に得る方法がないの。
あぁ、お水おいしい!
それにしても、妖精さんの話が気になるね。
西の森で私が眠っている間に水やりをしてくれたあの小さな光。
てっきり妖精キーリが水をかけてくれたと思っていたのに、まさか違っていたなんて。
そういえば夢の中ではお水おいしいと感じたけど、翌朝になったら私は枯れかけていたね。
あの時は水不足で本当に危ないところだったから、枯れそうになるのも仕方なかったのだけど。
結局、あの夜の光はなんだったのか。
謎は残るけど、なんだかわからないのだからいまは気にしてもしょうがないね。
「そうだ、今日もお土産があるんだよ」
魔女っこが蜜の売り上げでなにかを買ってきてくれたみたい。
さすがにまた肥料ということはないかな。
「じゃじゃーん、野菜買って来たの。アルラウネも野菜食べれるよね?」
「もちろん、食べる!」
魔女っこは野菜を二つ買ってきてくれました。
野菜は食用の植物。
つまり私が野菜を食べれば、今後はその野菜を生成することができるようになるの。
やったよ、これで魔女っこの食生活の問題が大幅に向上させることができる!
そうと決まればと、私は魔女っこの野菜を食べることにしました。
野菜を食べたら、蔓に大量に生産しましょう。
それで魔女っこに野菜料理を振る舞うのだ。
私、公爵令嬢だったから料理は一度もしたことはないけど、お姉さんとして頑張っちゃうよ!
お読みいただきありがとうございます。
次回、アルラウネ流野菜料理です。







