表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスが見えるようになった俺は君を絶対に救い出す! ~俺と天使の事件捜査ファイル~  作者: 藤原ゴンザレス
優しい悪魔

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/66

番外編 美香ちゃんとウサギさん 2

 この学校に寺島は私一人しかいない。

 どうやら私に関係のあることらしい。

 よし盗み聞きしよう。

 すると先ほど別れた二人が来る。


「美香ちゃん、やっぱり途中まで帰ろう……って、どうしたの?」


 様子をうかがう乃愛ちゃんへ私は口に指を当てるジェスチャーを見せる。シーッ!


「おっ、面白そうだな」


 由香里ちゃんは小声で言うと私の側に来る。

 盗み聞きに参加するようだ。


「……まったく、私は知らないから!」


 と、言いながら乃愛ちゃんも盗み聞き参加。

 こいつら……。いやよそう。今は助かる。

 私が呆れていると校長先生の声がする。


「いえ、まあ、大丈夫です。子どもへの被害はありません。それに明日にはニュースになるそうです。それまで不審者などに注意してください」


「注意ってアンタ、あんな悲惨な事件の後だろ! あの事件じゃ中学の教師までが亡くなったそうじゃないか!」


 若い男が怒鳴った。

 なんだっけ? いつもジャージでいる男の先生。


「緒方先生、興奮しないでください! 警察も巡回するので大丈夫です! それに被害はガラスが割られてウサギが連れさらわれたというものなんです!」


 ……うそ。私はいてもたってもいられなくなった。


「ちょっと、美香ちゃん」


 私は走る。

 クロちゃん! ブチ子ちゃん!

 校庭のウサギ小屋は無事だった。

 当たり前だ。さっき見たのだから。


「美香ちゃん! ほら帰るよ!」


 乃愛ちゃんと由香里ちゃんがやってくる。

 二人は私をつかまえると、そのまま校外に連行する。


「だってクロちゃんと、ブチ子ちゃんが!」


「いいから! 先生に任せるの!」


「いいから、いいから。帰るよ!」


 私が抗議をするが、二人は相手にしない。非情である。

 私はそのまま帰ることになったのだ。

 だけど心配で心配でたまらない。

 すると由香里ちゃんが仕方ないなあという顔をした。


「塾が終わったら様子を見に行ってやるよ」


「あ、私も行く!」


 すると乃愛ちゃんが怒鳴る。


「ちょっと二人とも、なに考えてるの!」


「ちょっと寄るだけだって」


「そうですよ! 危ないことはしませんよ!」


「うー……もう! 私も行くから!」


 私は乃愛ちゃんを勘違いしていたらしい。

 思ったより付き合いがいい。


「そうと決まれば、私は中学校に行って来るね」


 私は上機嫌になった。


「中学って……なにしに?」


「どうして中学に行くの?」


 そういや言ってなかったっけ。


「お義兄ちゃんと合気道の練習をするんだ」


「お()ちゃんって、あの相良光太郎?」


 由香里ちゃんは目を輝かせる。


「えー、光太郎さん!」


 乃愛ちゃんもだ。声のトーンがいつもより高い。

 やはり義兄は有名人だ。

 みんなヒーローかなにかと勘違いしている。


「えっと……お義兄ちゃんは、ただの変人……」


「そんなことないよ! 光太郎さんカッコイイじゃない!」


 乃愛ちゃんが拳を握る。

 困った。

 モテている。さくらんぼがモテている。

 美沙緒お義姉ちゃんと春香ちゃんだけでも厄介なのに。


「そういや……」


 由香里ちゃんが私の肩をつかむ。


「北条美沙緒さんと仲がいいんだよね……」


「ちょっと、由香里! それは禁句……」


「あ、大丈夫ですよ。お義姉ちゃんとは毎日SNSでやりとりしてますし」


「今度ドラマに出るって本当?」


 由香里ちゃん。近い。近いから!


「そういやそんな事を言ってたような……」


「キャー! それでさ、それでさ! どうなの? 北条美沙緒とお兄さんってつき合ってるの?」


「い、いや、たぶん。ないんじゃ……」


 否定したが、もう由香里ちゃんは止まらない。


「でもこの間、インタビューで愛してるって言ってたよ!」


 まったくお義姉ちゃんは……相変わらずギャグと本音の境がわからない。

 それに義兄の恋人に一番近いのは春香ちゃんだ。

 私は強引に話を変える。


「それじゃあ、終わったら集合ね! じゃ、私は合気道行ってくるね!」


「ちょっと、逃げるなー。ブラコン!」


 由香里ちゃんがなにか言ったようだが聞こえなかった。

 なんであの義兄はこんなにモテてるの!

 義兄の本性を知っている身としては不思議である。


    ◇◇◇


 中学校に着く。

 野球部の人たちが私に気づいて手を振ってくる。

 私も手を振り返す。

 義兄は有名人である。私も目立ってしまう。

 着替えのためにロッカールームに行くと、吉村春香ちゃんがいた。

 吉村春香ちゃんは事件で殺人鬼に拉致された子だ。

 そのせいで顔写真までネットにさらされてしまったが、やたら整った容姿のためモテまくっているらしい。

 なお本人は義兄に片思い中。恋人に一番近い存在だ。

 義兄がアホでよかった。


「美香ちゃん。こんにちはーッス」


「春香ちゃん。こんにちは」


 春香ちゃんは面倒見がいい。

 いきなりあらわれた私にも優しくしてくれる。

 これでこの容姿なのだから世の中は不公平だ。

 義兄は貧乳などと言ってたが、春香ちゃんはモデル体型なのだ。

 幼児体型の私としては、羨ましくて死にそうになる。


「どう? 小学校なれた?」


「どうなんでしょうか……なんだかみんな遠慮してくるし、先生は腫れ物を触るようですし……」


「あははははは。美香ちゃんかわいいから遠慮してるんだよ!」


「そうかなあ? ウサギさんのことも教えてくれないし」


「ウサギって?」


「あちこちの小学校で、ウサギさんが行方不明になっているらしいんです。クロちゃんとブチ子ちゃんが心配で心配で……」


「それは怖いね……光太郎に相談した?」


「さっき聞いたばかりですのでまだです。それにお義兄ちゃんに言ったら、全世界配信レベルの騒ぎになりそうで……」


「あー……そうね……でも言った方がいいよ。なんたって光太郎は最強だし」


 私は義兄に相談しようと素直に思った。

 着替えを終えて、体育館に行く。

 すると義兄が受け身を取っていた。

 やはりカッコイイ。しゃべらなければ。


「お疲れー」


 春香ちゃんが声をかける。

 すると義兄がにっこり笑って挨拶する。


「おう、お疲れーッス。美香も来たか」


「うん!」


 やはり義兄といると安心する。

 だからこそ、もし春香ちゃんとつき合ってしまったらと思うと……なんだか胸がむしゃくしゃする。

 でもなんでだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ