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ステータスが見えるようになった俺は君を絶対に救い出す! ~俺と天使の事件捜査ファイル~  作者: 藤原ゴンザレス
優しい悪魔

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人殺しを見分ける目

 ステージが始まった。

 これは犯人を割り出すためのフェイクイベントだ。

 もともとあったイベントを捜査専用にしたのだ。

 見せつけるように予算書が送られてきて、数百万円かかったと書いてあったが決して俺のせいではない。

 今、会場にいるのはざっと数百人。

 デビューするアイドルのプレイベント。

 しかもフェイクイベントにしては規模が大きいような気がするが俺は知らん。

 絶対に責任取らないからな!

 きっと7割は警察関係者だ。

 絶対にそうだ。うん。

 テレビ局や有名動画投稿者の姿もチラホラ見かけるが、俺は現実を見ないし考えない。

 北条め! はめやがったな!


 俺はキレながらも今回のミッションを整理する。

 エージェントファルコン今日のミッションだ。

 まずはステータス画面から犯人を特定し通報。

 俺が殺人鬼を潰すことは神様も推奨していると考えられる。

 なにより俺の気分が悪い!

 殺人鬼は全員ぶっ潰してやる!

 最悪の場合、俺と北条の名前を出せば調べないわけにはいかないに違いない。

 これにはさらに複数の効果がある。

 皆川と遠藤さんを復讐という因果からから解き放つのだ。

 アイドルとかはまあいいや。適当で。

 もう二度と女装をすることなんてないはずだ!

 ……神様。もしまた女装するはめになったら手段を見つけて殴りに行きます。これは決定事項です。

 てめえ、これから安心して眠れると思うなよ!


 センターは北条だ。

 北条はアイドル枠とされているが、アイドルではない。

 本業は女優だ。

 二時間ドラマに出まくりなのだ。

 だが俺への友情半分、女装する俺見たさの面白半分で歌って踊ってくれている。

 半分は全力で感謝しようと思う。

 俺や吉村、美香はレッスンをほとんど受けていないので隅っこで目立たないようにしている。

 目立たないように……

 観客の声が聞こえてくる。


「おい……一人やたらキレッキレで踊っているよな……」


「ヒューッ! 見ろよあの娘のケツを……まるで肉まんみたいじゃねえか。ありゃ伝説になるかもな」


「あれってメスゴリラのHIKARUちゃんじゃね?」


「メスゴリラ?」


「ほら、ナイフ持ってたやつをボコボコにした」


「あー、あの格闘技やってる娘……すっげえ運動神経」


 俺は大きなお友だちの声援を受けながら踊る。

 ヒャッハー! 男の娘の栄える時代が来たぜええええええ!

 ここで決め顔。きらん★


「ど、どうして、い、いけないことをしてる気になるんだー!」


「な、なんでゴザルか? ……この胸のときめきは。アイドルにときめいているだけなのになぜか妙な背徳感が……ああ……らめ!」


「はあはあはあはあ……」


 ふはははははは!

 大きなお兄ちゃんたちよ!

 俺の魅力に撃沈したな!

 と、俺は調子に乗っていた。

 だが俺は暗号名(コードネーム)ファルコンなのだ。

 俺は会場にいた穴戸大地を見た。

 近くには知人と思われる連中がつまらなさそうな顔をしていた。

 穴戸だけが目を輝かせている。

 なにせ俺は連中を脅迫して呼び出した。

 こんなものを見せられても楽しむ余裕なんてないだろう。

 俺は容赦なくステータスを開く。

 人権? 知らんなあ!



 名前  : 武藤浩一

 ヨミ  : むとうこういち

 AGE : 19

 職業  : 解体業

 所属  : 西島解体

 LV  : 35

 HP  : 589/589

 MP  : 0/0

 STR : 789

 INT : 23

 DEF : 673

 AGI : 33

 DEX : 53

 LUK : 11



 スキル :


 ハンマー LV99

 強盗 LV43

 喧嘩 LV393

 殺人 LV163



 魔法  :


 なし



 バッドステータス:


 逮捕歴(傷害・強姦)

 高校退学



 備考  :


 借金取り、内縁の妻、その息子の計三人をハンマーで殺害。その後県境に遺棄。

 未解決です。あとはお願いします。(神様)



 ……おい。聞いてねえ。

 いきなりシャレにならねえのが来たぞ。

 当たりとかそう言うレベルじゃねえだろ!

 俺は動揺しながら、もう一人のステータスを開ける。



 名前  : 菊池龍一

 ヨミ  : きくちりゅういち

 AGE : 19

 職業  : 大学生

 所属  : テニスサークル

 LV  : 89

 HP  : 1024/1024

 MP  : 735/735

 STR : 666

 INT : 666

 DEF : 666

 AGI : 666

 DEX : 666

 LUK : 666



 スキル :


 絞殺 LV666

 刺殺 LV666

 撲殺 LV666



 魔法  :


 優しく殺して LV666



 バッドステータス:


 共感性の欠如

 幼女しか愛せない

 暴力と愛の違いが理解できない

 性的無能力

 悪魔



 備考  :


 絞殺によって悪魔に目覚めました。

 普通に戦ったら死にます。

 パニッシュメントが必要なのでよろしくお願いします。(神様)



 おい、最後。

 勝てないの連れてくるな。

 無茶振りすんな!

 俺は一生懸命考えていた。

 そうか……

 武藤浩一は最初に鈴木千穂ちゃんをプールに突き飛ばしたガキだ。

 その後で鈴木千穂ちゃんを材木で殴ったのが菊池だ。

 いや武藤かもしれない。

 最後にトドメを刺したのが菊池なのだ。

 そしてただ傍観していたのが穴戸とタケルさんだ。

 もう死んでしまったタケルさんのステータスを知ることはできない。

 だがこれだけは推測できる。

 穴戸は直接殺害したわけではないからステータス異常がなかったのだ。


 ……いや。

 穴戸の人殺しを傍観しておきながらステータス異常の一つもない異常さの方が俺には恐ろしかった。

 こいつら全員おかしい。


 俺は内心焦りながらダンスをした。

 北条の近くに来る。

 すると北条がぼそっと言った。


「会場に人殺しが2人いる」


 そう言って北条は妖しく、艶めかしく微笑んだ。

 俺は正直ゾクッとした。

 殺人鬼にエリート殺人鬼として育てられた女は人殺しの匂いを嗅ぎつけていた。

 ここにも尋常じゃないやつがいたのだ。


 だがそんな恐ろしい北条は俺にヒントをくれた。

 そうか、事件の全貌が見えてきたぞ。


 これはあくまで俺の現時点での推論だ。

 北条は直接手を下した殺人犯しか見分けられないに違いない。

 その点がステータスを読む俺との違いだ。

 つまりタケルさんは誰も殺していなかったはずだ。

 そして殺される原因は一つしかない。

 鈴木千穂ちゃんの事件だ。

 経緯こそわからないが、全員もしくは菊池の損になる行動を起こすところだったのではないだろうか?

 ここは正直言ってわからない。


 俺はターンする。

 そこで曲が終わった。同時に俺は結論を出した。

 よし!

 警察に助けを求めよう。

 もう国家権力の手を借りるしかない。

 無理だ。

 今回はマジで死ぬ。

 本当にヤバい。

 神様の任務なんて知らねえ!

 楽屋裏に戻ってからも俺はその危険性を反芻していた。

 そう皆川や美香、それに吉村と北条に取り囲まれても考えているほどに。


「あのな皆川」


 唐突に俺は言った。


「あいつらヤバいわ。ポリスメンに頼ろう」


 北条も同意する。


「そうね、二人は人殺しね」


 違う。たぶん三人だ。

 一番危険性がなさそうなやつは、状況だけ考えたら一番ヤバい。

 なにかあるに違いない。

 吉村は厳しい表情をしていた。爆弾事件を思い出したかもしれない。


「吉村、ごめん」


「光太郎。謝るなよ。正しいことをするんだろ?」


 そう言われたら言葉が続かない。

 皆川は無言で唇を噛んでいた。

 悔しいに違いない。

 俺は美香を見た。


「お兄ちゃん……いいんですか?」


「お前らを傷つけられるよりはマシだ」


 そして俺たちは控えていた警察の責任者を呼び出したのだった。

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