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Zero  作者: 山名シン
第4章
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闇を照らす光

《我は風を操る神【風神(ヴァーユ)】》

《我は雷を操る神【雷神(ルーグ)】》

《我は水を操る神【水神(ヴァルナ)】》

《我は火を操る神【火神(フェニックス)】》

《我は万物を操りし神々の長【自然神(ザラズワトラ)】》

《我天災の権化【死神】龍神(ヴリトラ)である…神の名を持つ龍よ開祖に誓い善神アフラマズダ神に祈り捧げよ》


【大正義神アストライア】になった龍神は、 悪の権化と化した大黒神マハーカーラを討つべく正義を穿つ。


神々の戦いは異常に長い。

神々にとって1日で終わるものはほとんど人間が100年生きるのと同じ時間らしい。

それほどまで長くなる理由は、まず神には優劣が無いことだ。

其々の神が其々の得意とするものがある。

風なら風の、雷なら雷の、創造なら創造の、各々が得意とする技などが神格化されて神となる。

相性の善し悪しは多少あれど、神自身に差異はない。

だから、ぶつかるのだ。

風と雷で戦っても勝敗はつかない。

大地と海で争っても勝敗はつかない。

未来と過去で競っても勝敗はつかない。

だから己と己がぶつかり合い、体力が尽きるまで戦いを辞めないし、辞めれない。

必然と長くなる戦いは、地上の世界は天上の世界と鑑になっていると主張した開祖が告げるように、神が戦いを辞めない限り人間も戦いを辞めないのだという。

しかしそれは天と地の世界での話。

今回の戦いは既に、神々のみの戦いになっており、それに巻き込まれた人間はもはや生きてはいられない程の衝撃波が襲い、やがて世界中を破滅させてしまうだろう。


衝撃波が大地を揺らし風を起こし雲を遠ざける。

しかし今日の天気はずっと暗い、寒い、どんよりとした空気が余った人間を悪魔を竜をビーストを恐怖で包む。


[今日は日蝕…神々が最も個の能力を高められる時]


大黒神マハーカーラと大正義神アストライアの激しいぶつかり合いは続く。

其々の武器や技はこの二柱の神には効かない。

「ただ、ぶつかるのみである」

激昂しあった神は己の体を省みず体当たりし滅ぶまで戦い続ける。


多少なりとも、雅王の長[ライアン]も参戦するも、大黒神(マハーカーラ)大正義神(アストライア)には何一つ意味がない。

ライアンは一旦地に降り立ち、近くの雅王拳の使い手を探した。

すぐ側にいたのは[零(ぜろ)]、最後の雅王の戦士だった。


フレアは恐怖で震えおののいている。

それをなだめるヘラクレスとメディスは、不死鳥が用意してくれたという、船に乗り込み、空を見上げていた。

「花火が打ち上がってもこんな壮大な轟音は聴いたことないわね…」

メディスはヒール大陸(タウン)の伝統祭の「インドラ祭」を思いだし震えた。

ヘラクレスは「花火」という単語を初めて聞いたらしく何も口を挟まないでいたが、恐怖は誰よりも敏感に感じていた。


轟音と衝撃波が鳴り響く中、(つるぎ)はまだヘカトンケイルと戦っていたが決着はつかないでいる。

時々衝撃波が強すぎて二人とも体が痙攣したように、震えて、戦いの中断は多々あった。

一旦戦いは中断し、空で激しくぶつかり合う神達を見上げていた。


大和は不適な笑みを浮かべながら、冷や汗をかいている。

メドゥーサとゴーレムはまだ生きていたが既に戦意消失して、降参の構えをとっていた。

(フフ…凄い戦いが見れるけど、あれを仕止めたらどれだけ快感だろうかねぇ?)

メドゥーサはマーラに取り付いていた右側上半身の蛇の毒をいつでも解放出来る。

つまり、この二柱の神の戦いはメドゥーサによってあっさりと覆されてしまうのだ。

メドゥーサの毒は神でさえ殺す事が出来る。

(にしても……この男はどうして死なないのさ?毒は確実に当たったはずなのに…)

大和の頬をかすめた蛇矢の毒は既に全身に回ってもおかしくない頃だ。

だが大和は平然とした顔をしていた。


「零、お前に私の力を授けるーーーーーーーー」

ライアンは零に何か話していたが、零はそのほとんどを聞いていなかった。

精神的にも肉体的にも疲労しきっていて、もはや指一本動かせぬほどの脱力感を感じている。

いや、これは樹力の上げすぎによる硬直だ。


以前一度だけ、硬直状態に陥った事がある。

シュウと旅をしていた頃、風の村を超獣猪から守る為に、樹力を上げて、30頭いた猪を全員操り彼らの怒りを鎮めた時だ。

その後零は1時間、硬直し動けないでいた。

ダークとの戦いで、自然神の継承者でなくなった零は樹力を使いすぎて、硬直したのだ。

この状態が長く続けば死に至る場合もある。


その時ドンッという地響きと共に、龍神、いや、大正義神アストライアが落ちてきた!

傷付きボロボロだったが、直ぐに再生し、また飛び立とうとした所を、ライアンが止めた。

「待て、龍神(ヴリトラ)、また飛んでも勝ち目はないぞ?」

「何故だ?何故そう言い切れる!我は……」

ライアンが言葉を遮って言った。

「あなたは神だからだ!神同士であれば決着はつかん!それにこれ以上戦ったら、この(ウォールタウン)が持たん!そこで、どうだ?わしとお主が共闘するというのは?」



徐々に空が晴れてきた。

日蝕が終わりを迎えているのだ。

暗闇だった大地をゆっくりと照らしていく。

だが、その光は太陽だけではなかった。


[雅王長(ライアン)]・[大正義神(アストライア)]が神共闘(アンゲルス)状態に入り、その継承者に最後の雅王の戦士「剣山(けんざん)(ぜろ)」が地上から天上へ飛び立った!

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