表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Zero  作者: 山名シン
第4章
43/60

雌雄別コンビ

砕く。再生。砕く。再生。

煙り、爆発し、炎玉を吐く。

アイスアウィスの無限の再生に無限の羽根攻撃。

ガルーダの三色の炎玉に加え紫の炎はどこまでも届き、威力を変えない。


「ふぅ……こいつはしんどいのぉ……」

「大丈夫ですか?ゲリラさん。次は僕がいきます!」


「ガルウゥゥゥゥダァァァァ!!!」

炎の化け鳥、ガルーダは両手に巨大な剣を持ち、火を吹きながら突進し、さらには飛行能力も持ち合わせている。

悪魔とは違った、また異質な強さを兼ねている。

それに加え、回りの悪魔達も同時に相手せねばならない。

上にいる竜の軍勢はビーストの雅王の戦士達に任せているとはいえ、上からも竜が来ない訳ではない。

竜の吹く炎の威力は、ガルーダの紫の炎ともひけを取らない程だからだ。


ゴロゴロ……


雷雲が見え始め、雨が降り注いだ。

風や雨が突如と強くなり、ゲリラ達の体力を奪う。


悪魔の片鱗を見せながら腕や足を飛ばし、アウィスの体を粉々に砕いていくも意味はなく、すぐに再生する始末。

「いつになったら倒れてくれるのよ!メディス!あんたも少しは戦いなさいよ!」

「うるさいわね。もう少し頑張って。今アレの弱点を探してるところ。ああ言う再生する奴に限ってどこかに『核』があるものよ!それさえ叩ければ!」

「『核』を探せばいいんだね?じゃあ!」


ヘラクレスは宙を舞い、高速でアウィスの体を貫いた。

まるで矢のように、体を飛ばし歯を尖らせ、氷を噛み砕く。

[海飢歯(ハングシートゥー)!!]

その歯は口にあるだけでなく、腕や足、胴体の全てがヘラクレスの口になり対象物を完全に食い尽くすまで逃がさない。

「孤独な海で飢えた者が全身を凶器に変えて喰らい尽くす歯」、それが海飢歯(ハングシートゥー)だ。

アウィス体が穴が開き再生も追い付かない速さで氷を貪っていく。

たとえ、氷の羽根で善戦してもそれら全て身体中の歯に食い潰され技の効果も意味を無くす。

しかし、それでもアイスアウィスは再生し続ける。

四方八方から飛び抜け、氷を貪っていくも、衰えを感じないでいる氷の化け鳥を見て、ヘラクレスは少しの恐怖さえ覚える。


「さてと、そろそろいいかねぇ。あの辺いっつも砕けないで一定の大きさを保っている氷があるのね。怪しいわ……」

[雅王拳…極犀(キョクサイ)痛点犀(ツウテンサイ)]

犀を極めし姿、それは幻とも伝説とも言われる、史上最強の犀、「痛点犀(ツウテンサイ)

幻獣と対を為す存在、[霊獣]の一角である。

メディスの体が次第に白く染まっていき、鼻の角はしなりがあり伸縮自在である。

硬い甲羅が体の表面を覆い被さり、顔に龍のような紋様が浮き上がる。

瞳の色は樹力により濃い緑色に染まっている。

「人型の霊獣・雅王拳痛点犀メディス…さぁ行くわよ!」


頭を捻り、角を鞭のようにしねらせ岩を叩く。

叩く度に、大地が縦に揺れ動き波立たせる!

しかしいくら地震を起こしても相手は鳥である以上空中にいかれては当たらない。

(……凄いわね。あれがメディスの本気。私より強烈な顔してるわ……でもどうするつもり?凄いけどそんなの空を飛ぶあの化け鳥に効かない)

ヘラクレスも空を飛んでいるのでよく分かる。

アイスアウィスは自分とメディス、両方に羽根を飛ばしている訳ではない。

たとえそうだとしたら、先程まで呑気に座って見ていたメディスはとうに殺られている。

つまり、アウィスは敵を選んでいるのだ。

そしてそれは、何も考えのない獣だと馬鹿にしていては決してあの化け鳥には勝てない事を二人は知っている。


「強い冷気を感じる……霊獣がいるのか?いや、雅王の戦士か貴様…」

鉄を叩いたような響いた声がヘラクレスとメディス、二人の耳に冴え渡る。

「…喋れるのね。あなた、性格(タチ)悪いわね…後悔すんなよ…」

大地の波が物凄い勢いを増していく。

しならせる角の鞭と同じように、大地が上に下にと盛り上がったり盛り下がったりしている。

そして、メディスが思いきり頭を振り上げた時、波立つ大地が急激に膨張し、噴火した!

「はぁぁぁ!!!!!!!喰らえや‼化け鳥がぁぁぁ!!!!」

メディスが叫んだ!

ドゴゴゴゴゴゴゴン!!!!!!!


ブォォォォォォォォン!!!!!!


何十m、何百mの大地が吹き飛んだのだろうか?

そして何十m、何百mの巨石が空を襲ったのだろうか?

アイスアウィスの200mの巨体に何万発の巨大な岩が当たり、為す統べなく砕け散ったかに見えた。

だがーーーーー。


「無氷空間」


鉄が響いた声が聞こえ、メディスとヘラクレスに痛みだけを伴う無数の氷の刃が襲う。

「…そうくる事は分かってたのよ!1000年前の愚物が!」

メディスが見ていたのは先程の大地の大噴火によって出来た穴ボコだった。

そこに一足飛びで近付き、角を最大限に尖らせた!

「世界最強!!・世界一の先進国!!・世界一の医学大国!!ヒールタウンは世界の頭脳だ!!・最強の名前嘗めんじゃねえぞぉぉ!!!!!!!」


「一犀合犀!!大粉犀!!大玉犀!!!!!!」

伸縮自在の痛点犀の大角が鋭角に変わり、雅王拳の灰の力も加わり、白炎を纏う!

「キングライノセラス!」

その間メディスの体に痛みだけを伝える氷の刃が八つ裂きに貫いているが、それは痛点犀の持つ、硬い甲羅が全て守ってくれていた。


ビシビシビシビシ!!!!


穴ボコにヒビが入り塵のように砕け散る!

その瞬間に、雅王拳の灰の力により、その塵が完全に灰に変わった。

「ヘラクレス!!!全部喰らい尽くしちゃいな‼」

「改めて言わせてくれない?…………アンタ最高よ!」

[海飢歯(ハングシートゥー)!!]

砕け散った氷の塊を灰に変え、それを海飢歯で完全に喰らい尽くし、アイスアウィスは生涯を終えた。


「はぁ………ヘラクレス、あなたはさっきの氷の刃、大丈夫だった?」

「…凄く痛かったけど我慢した。今はそんな事言ってられないしね!」

アイコンタクトを取り互いに笑う。

「向こうのも手伝わないと…アンタのコレも待ってるよ…………」

親指を立てたメディスに、一瞬ヘラクレスは頬を赤く染めた。


雌雄別コンビvs幻獣氷鳥(アイスアウィス)、勝者雌雄別コンビ・メディス、ヘラクレス!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ