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Zero  作者: 山名シン
第2章
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悪魔復活

この世には『天界てんかい』『下界げかい』『冥界めいかい』という3つの世界が平行している。この内下界と冥界は繋がっており、1000年に1度2つの世界はぶつかり合い支配し合う。

ただし、冥界にだけは条件があり、彼らの主である『(サタン)』が命じなければ下界に上がってきてはならない。


*


「いいかい? アンタ達。サタン様の命令通り、私達は……分かっているね?」

舌のペロリと出した女がいうと、眼前の男衆は大きな唸り声をあげて一気に駆け出した。ドスドスと足音を立てて向かう先は、『闘星終大会』、クライム会場のど真中。




リング上では、2人の猛者が互いの神に誓い審判の合図と共に激しい闘いを繰り広げていた。

剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。会場にいる選手達は一切言葉を発さず黙って闘いを見ていた。そして、5分後に審判の太鼓のような声で、止めい、と言ったのを聞いた瞬間、その場の全員が『ドクンッ!』という奇妙な音を感じとった。


現れたのは、岩のような男と、10mはあろう巨大な男、そして、蛇の髪をした女……。

突然リングが吹き飛び、噴火のように石が選手達を襲いっていったのだ。先程まで闘っていた2人の選手は、今のリングの崩壊により即死した。

「グゴゴゴ。メ"ドゥーザ、おでだぢ何"ずでばい"い"ん"だ?」

「そんなの決まってるじゃない……皆殺しよ……」

「殺す、ここ、いる、全員、殺す」

岩男は巨岩を持ち上げて、会場の選手に目掛けて岩を投げ付けた。

メドゥーサと呼ばれた女は、蛇を操り選手を丸呑みしていく。

大男は自身の腕が無数に枝分かれしていき、選手の頭や、腕を引きちぎる。


他にも様々な者がリングの下から現れる。天狗、吸血鬼等のもはや誰もが知っているような魔物。四つ頭に八つ腕八つ脚の化物に、黒いボロボロの羽根がはえた堕天使等の化物達。


今、この場にいる者達は『冥界の民』<悪魔>だ。


クライム会場に集まった世界中の猛者が剣や斧、弓や槍を持ち悪魔と闘う。火や水、風や雷を操り闘う者もいる、が、悪魔にはそれらは何一つ効きやしなかった……。


5分後、クライム会場に集まった1億人もの選手達は誰1人存在しなかったという。

「さぁ。アンタ達。『悪魔の群がる(ヒール)大陸(タウン)』を取り戻すよ……」

メドゥーサの指示に従い、悪魔達がクライム会場を後にした。


*


時を少々遡り、幻獣がサンタウンを襲った2日後、薬膳やくぜんメディスはサンタウンの現状を知り驚愕した。炎と氷の刃が町を覆い、見るも無惨な光景になっていたからだ。

メディスは一目散に、デンとリンの兄妹と、つるぎの無事を確認するべく駆け回った。彼らの家へ足を運び、部屋中を探した。穴ボコが酷く、探すのに手間がかかったが寝室に兄妹の姿を認めた瞬間、メディスは安堵し、倒れ込むように力を抜いた。


「よかった……デン、リン……無事だったのね?」

兄妹は抱きつき身をかがめながら震えていた。そして、メディスの姿を見ると、わんわんと泣きじゃくったのだった。

「メディさん。大変なんだよ! 剣くんが連れ去られちゃったんだ」

デンが声を震わせながら言った。

その言葉に目を見開き驚いた、メディスは詳しくその事を聞こうとしたが、リンが怪我をしているのを見つけると彼らをおぶさって、ゲリラの待つ、物置小屋へと走っていった。




物置小屋に着き、リンの怪我の治療をし寝かせてあげた。それから約3週間後に零が来て、自然の森林ナートゥーラ・シルウァへと入って、また出ていった後に、薬膳一族の使いの者が物置小屋に来たのだ。

「メディスさん。今すぐ帰って来て下さい。ヒールタウンが大変な事になりました」

悪魔の猛威を聞かされた、メディスとゲリラは急いでヒールタウンへ渡るべく準備を整えようとしていたが、メディスは医者だ。ここに寝ている兄妹を置いていく訳にはいかなかった。


「なら、わしが行こう……」

ゲリラがか細い声で言った。

「メディス。お前は、この子らを連れてゆっくりと寒熱橋かんねつきょうを渡って来ればええ。わしは雅王拳がおうけんで飛んでいく。2日あれば行ける」

「雅王拳!? や、止めてくださいゲリラさん! それならば私が行きます!」

メディスは、必死でゲリラを止めたが、この辺は『剣山の英雄』と呼ばれる所以だろうか、ゲリラは自分の考えを変えようとはしなかった。

そして、結局ゲリラは薬膳一族の使いの者を背中に乗せて、ヒールタウンへと飛んでいったのだった。


雅王拳、みやびな獣のあつかう拳法。

樹力きりょくと同じでその能力は身体能力の向上が主で、その力の対象が自然ではなく、『けもの』であること。

『獸』を【想像イメージ】する事で、力を借りる事が出来、そして、【創造クリエイト】する事で、実際に獸の特徴などを自身の体に宿し攻撃する事が出来る技が、雅王拳である。

ただ、この雅王拳は樹力と違い、借りた力を返す事はそのまま寿命を縮める事()()に方法はない、ということ。

つまり、雅王拳を使えば使う程、命を削り続けるのだ。


*


ゲリラは、()()()()鷹の羽根をはやし、飛んでいった。

その後、メディスも急いで準備を整え、デンとリンを連れて、故郷

ヒールタウンは薬膳一族へと帰るのであった。

10/26(月)、修正しました。

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