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おまけ:ある日の登校日(二条視点)後編

授業が終わると、さっきまで集まっていた男子生徒が俺を見ながらに笑っていた。

その姿に苛立ちが募るのだが……、頭に浮かんだ一条の姿はいまだ消えていない。

あんなもんを見せるから……くそっ……。

はぁ……てか俺、何してんだろう……。

いや、それよりも……こんな事ばかり考える俺は変態か!!

あぁもう、消えてくれ……頼むから!!!

心の中でどれだけ悪態をつこうとも、笑顔で笑いかける一条は俺を見つめたままだ。

俺は強く首を横に振ると、邪心を振り払うよう必死に教科書を目で追っていった。


そうして次の授業が始まったが……俺は一人悶々とし続けていた。

集中しようと何度思っても、ふと気が付けば一条の事を考えている。

そういえば……もうすぐ海の家に行くな……。

一条も誘えば来るだろうが……、やはり水着……あああああ、ダメだ!

今は授業中だぞ!!!

そう言い聞かせるも、ビキニ姿のあいつが俺の脳裏に焼き付き離れないままだった。


何度も何度もため息を繰り返し、心の中で発狂する中、気がつけば……授業が終わり放課後になっていた。

はぁ……嘘だろ……。

まったく授業に集中できなかった……。

てかこんな事を考えていると歩さんに知れたら……殺されるだろうな……。

歩の顔が一瞬頭をよぎると、ブルっと身が震える。

しかしまたすぐに一条の姿が浮かび上がると、俺は項垂れるように机に突っ伏した。

ダメだ……さっさと帰って頭を冷やそう……。

水風呂にでも入るかな……。


俺は騒がしい教室から一人廊下へ出ると、校門まで足を進めていく。

校内を歩くと、女たちの甲高い声が頭に響き、煩わしさに苛立ちがつのっていった。

そんな不機嫌オーラを出す俺に、集まってきた女子生徒はチリチリなって去っていく。


校庭に出ると、グラウンドを走る運動部の掛け声が響いていた。

走る生徒を横目に校門を抜け家路を進んでいると、ふと透き通った彼女の声が耳に届く。

とうとう幻聴まで……?

俺は徐に立ち止まり、恐る恐るに振り返ると、そこには嬉しそうに微笑みを浮かべる一条の姿があった。

その姿に顔に熱が高まると、俺は落ち着かせるように大きく息を吸い込んだ。

なんでこんな時に……ダメだ、考えるな、考えるな……。

そう心の中で何度も唱える中、彼女は俺に大きく手をふると、急ぎ足でこちらへ駆け寄ってくる。

そんな姿にまた先ほどの妄想がバッと蘇ると、俺は慌てて彼女から視線を逸らせた。


「二条、今日は早いね?学校ではあまり話せないし……ねぇ、一緒に帰ろう!」


彼女はそう言いながら、ニコニコと嬉しそうに俺の隣へと並ぶ。

そんな彼女の様子に顔を向けると、自然とブレザーの膨らみに目が釘付けになった。

歩くたびに彼女の胸がゆさゆさと揺れるのがわかると、全身の熱が高まっていく。

ちょっと待て、あぁもうっ!!

俺は何を考えているんだ……。

もうあの姿は忘れろ、記憶から消し去るんだ!!!!

そう自分を言い聞かせるも……彼女の水着姿が頭にチラつくと、もう彼女にまともに視線を向ける事が出来ない。

やばい……これは……。

俺は一条から少し体を離すと、静かに目を伏せる。

隣から響く楽しそうな声を馬耳東風に、俺は曖昧な態度で相槌を返していると、彼女は不安げな様子を見せながらに、俺の腕を引っ張った。


「二条、どうしちゃったの?体調悪い?顔が……真っ赤だね……?」


その言葉に俺は焦って立ち止まると、心配そうな瞳を見せる一条と視線が絡む。

その姿がなぜか妄想の()()と重なった。

夕日で頬が赤く染まり、瞳がキラキラと輝いて見える。

潤んでいるように映るその姿に、思わず息をのむと、彼女は俺の方へそっと手を伸ばした。


彼女の手がゆっくりと近づいてくると、俺の思考は停止した。

固まる俺を余所に伸ばされた手が額に添えられると、彼女はうーんと難しい表情を浮かべている。

額から感じる彼女の手は冷たくて、俺は咄嗟に我に返ると、恥ずかしさのあまり思わず彼女の手を思いっきりに振り払った。


バシッ


「えっ、あっ……えっと……ごめんね」


彼女は驚いた表情を浮かべながらに、サッと手を引くと、弱弱しい笑みを浮かべて見せる。


「ちっ……違う!今のは……その……悪い、いや、むしろ……っっ、あぁぁ、だから違うんだって!」


なんて言えばいいんだ!!!

お前の邪な姿を想像してドキドキして……あぁもう!

むしろ触ってくれた方が嬉しいんだ!!!

……なんてこと言えるわけねぇだろう!

こんなの只の変態じゃねぇか!!!

いや考えている時点で……すでに変態か……?


自問自答する中、俺は言葉を詰まらせると、気まずげに視線をそらせた。


「いいよいいよ、私の方こそごめんね」


彼女はそう乾いた笑みを浮かべると、そっと体を離し俺に背を向け歩き始める。

やばい、これは……。


「悪かった、違うんだって、ちょっと待てって!」


彼女は俺の声に振り返ることなく、一人スタスタと進んでいく。

あぁもう俺は何をやってるんだ……!

俺は慌てて彼女の背中を追いかけると、自分のバカさ加減に頭を抱えていた。

この後どうやってフォローするべきなのか……。

華僑にでも相談するか……。

あぁ、もう……今後一切グラビア雑誌なんて見ないからな……。

そう心に誓うと、俺は必死に一条を引き留めていた。

ここまでお読み頂きまして、本当にありがとうございます。

前回の活動報告にて、次話より文化祭編とご報告しておりましたが……。

許してください、どうしてもこのお話を書きたかったんです(´;ω;`)

大分温めていた話でしたが、ここで投稿しないともう投稿する機会がないと思い……無理矢理ねじ込む形になってすみませんでした( TДT)

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