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鬼人幻燈抄  作者: モトオ
明治編

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『面影、夕間暮れ』・2




「ずるい」


 廃寺の本堂で合流してから、いつものように東菊と町を練り歩く。

 昼食時を過ぎても未だ喧噪に満ち満ちた通り。人混みの中、軽い雑談を交わしていると、少女は膨れ面でそんなことを言いだした。


「ずるい。一人だけ美味しいもの食べてる」


 東菊は子供のような怒り方で睨み付けてくる。睨むといってもそこに悪意はない。単純に平吉が羨ましいだけである。


「そらしゃあないやろ。お前つれてく訳にもいかんし」

「……私が遊びに行ったらいろいろ御馳走してくれたり」

「どんだけ腹すかせとんのやお前は……」


 平吉は呆れたように溜息を吐く。

 初めて会ってから二年、まだ彼女の探し人は見つからない。特別な感情はないが付き合いも長くなり、友人と呼んでも差し支えない程度には親しくなれた。

 ちらりと東菊の横顔を盗み見る。普段は意識していないが、やはり鬼だ。彼女は二年前と寸分違わぬ容姿のままだ。

 中身の方も寸分違わず、相変わらず明るく、よく笑い、若干食い意地が張っている。

 睨み付けている理由もそこにあり、牛鍋屋でたらふく肉を食べた話をすると、見るからに不機嫌そうな顔で平吉に文句を言い始めたのだ。


「でもいいなぁ。その人、お蕎麦屋さんだったっけ?」

「おう。俺に体術教えてくれたりもしとる。ちなみにお前が好きな野茉莉あんぱんの名前付けたんもそいつや」


 もっとも、命名に関しては親馬鹿の結果ではあるのだが。

 菓子に自分の娘の名を付けるなど、あの男らしいと言えばそうなのだろうが、行き過ぎていると思わなくもない。


「へぇー、会ってみたいなぁ。……あれ? そう言えば宇津木さんって私のこと知り合いに全然紹介してくれないよね?」

「そらそうやろ。癒しの巫女様を紹介して騒ぎになったら嫌やし」


 しれっと嘘を吐く。本当の所は、彼女が鬼女であり、信頼に足るかが判断できなかったからだ。

勿論それは最初だけ、今ではそれなりに親しくなり、紹介することもやぶさかではない。

 ただ親しくなったからこそ、今度は別の理由で紹介し難い。唯でさえ長い長い片思い、野茉莉の前で別の女と親しくしている姿などさらす訳にはいかなかった。


「しかしなんかあれやな。俺、二股かけとるみたいや。……やばい、紹介できん理由もいっこ増えたわ」

「どうしたの? ぶつぶつ独り言言って」

「いや、いつの間にか命の危険が近付いとったことに今更気付いただけや。下手するとほんまに肉塊やな、俺」


 東菊は「なにそれ?」と呑気に笑っているが、案外と平吉には死活問題である。

 あの男は冗談など言わないだろう。やると言ったら間違いなくやる。別に付き合っている訳ではないが、野茉莉と東菊を両天秤にかけているなどと思われでもしたら割合本気で命が危ない。

 やはり彼女と一緒に鬼そばへ近付くのは止めておいた方が無難だろう。

 うむ、と決意を新たに一つ頷き。


「じゃ、久しぶりに三橋屋さんいこっか?」


 僅か数秒、平吉の考えは簡単に崩れ去った。


「い、いやぁ、あんぱんやったらまた買うて来たるから、今日はやめとかん?」

「えー、滅多に行けないんだからいいでしょ? さ、はやくはやく」


 腕を取られ引き摺られる形で三条通を辿る。

 見た目は少女だが、そこはやはり高位の鬼。思った以上に膂力は強く、振りほどくこともできない。全力で抵抗すればできるかもしれないが、流石に女相手ではそんな真似も出来ず、殆どなすがままになっている。

 

「……行ったらすぐ帰んで」


 自分の意志の弱さには呆れる。正直行きたくはないが、そんな嬉しそうな笑みを見せられては止められる筈もない。

 腕組んであの親娘がいる鬼そばの近くまで行くなど軽い自殺行為ではあるが、仕方ない、手早く買い物を済ませてさっさと帰ってこよう。


「ふふ、ありがと。なんだかんだ宇津木さんは優しいよね」

「どーでもええから手ぇ離せ」

「あ、ひどー」


 じゃれ合うような会話を交わしながら、ふらり二人連れ立つ。

 それを楽しいと思えるようになった自分が信じられない。以前はあんなにも鬼を嫌っていたというのに。


「……やっぱ、お師匠は凄いわ」


 ぽつりと呟き、平吉は知らず頬を緩めた。

 昔は悩んでいた、鬼を忌避する己は秋津染吾郎には相応しくないのではないかと。

 しかし今なら師の言葉を理解できる。

 鬼にも善鬼悪鬼がいる、だから“鬼だから”は討伐の理由にならない。

 人と鬼。種族が違い、寿命が違い、そもそも生き方がまるで違う。

 だとしても笑い合うことは出来るのだと。

 ようやく、心からそう思えた。


「何か言った?」

「なんでもない。ほら、さっさと行くで」

「はーい!」


 足取りは軽くなる。

 人の流れに沿って、鬼と並び歩く。それが何処かおかしくて、自然と笑う。

 柔らかな午後の日に心浮かれて。


「……え?」


 けれど隣にいる少女の、呆けた声に足を止められた。

 立ち止まり、目を見開く。

 肩が揺れ、わなわなと唇は震えている。

 あまりの動揺ぶりに視線の先を追う。鬼そばの店先には三橋屋の店主、三橋豊繁がいる。

 店から出てきた野茉莉と甚夜もだ。なにやら和やかに話しているようだが、それをまるでこの世の終わりとでも言わんばかりの表情で東菊は眺めている。


「どないした」


 流石におかしいと思い声を掛けるが反応はない。驚愕では生温い。恐怖ではちと毛色が違う。東菊は名状しがたい感情に体を心を震わせている。

 理由は分からない。ただ彼女は変わらず三人を見つめ、しばらく経ってからふと意識を取り戻しぎこちない笑みを浮かべた。


「……ごめん。宇津、木さん。私、これで、帰るから」


 待て、と止める暇もなかった。

 言い切るより早く東菊は踵を返し駈け出す。手を伸ばし、掴もうとして、するりと少女の細い腕は逃げた。振り返ることなく人混みに紛れ、後ろ姿も見えなくなる。


「おいっ! ……なんやあいつ」


 追い掛けるにも遅い。

 結局平吉は東菊の背中を見送ることしか出来ず、どうすればいいのか分からないままに悪態をつくしか出来なかった。











 だから走り去っていく東菊の呟きを聞き逃す。


「やっと、見つけた……」


 底冷えするような低温の声は雑踏に紛れ消えていく

 そこに籠められた熱は誰にも伝わらなかった。




 ◆




 甚夜は通りの方に目をやった。

 昼時を過ぎ、店内も落ち着いた。しかしまだ通りは行き交う人々で雑多な印象を受ける。それをただ凝視し続ける父を不思議に思い、野茉莉は僅かに首を傾げる。


「父様、どうしたの?」

「いや……」


 今、誰かがこちらを見ていたような。

 しかし辺りを見回してもその気配はない。

 単なる杞憂か、或いは逃げたのか。ともかく視線を送っていたであろう人物は既に去った後のようだ。


「如何やら勘違いだったようだ」


 そういうことにしておこう。いたずらに不安を煽ることもあるまい。

 なんでもないと態度で示し、肩を竦めて見せれば豊繁が僅かに口元を釣り上げた。


「葛野さん、疲れてるんじゃないか? もういい加減歳だな」


 甚夜の“皺の増えた顔”を見ながらそんなことを言いだすものだから、今度は野茉莉が柔らかく微笑む。


「そうだね、父様」


 幼さの抜けた、穏やかな笑み。悪戯っぽいのに大人びた印象を受けるのは、彼女が年相応の落ち着きを身に着けたからだろう。

 ふとした仕種、立ち振る舞い。もう子供扱いは出来ないな。甚夜は軽く頬を掻いた。


「しっかし、野茉莉ちゃんも悪いな。こっちの都合に付き合わせて」

「そんな。いつも楽しみにさせて頂いてますから」

「ははっ、そう言ってくれるとありがてぇ。こりゃ面倒だとか言ってる場合じゃないな」


 手渡された紙包み。中に入っているのは豊繁が手ずから作った菓子だ。

 あんぱんの一件以来、彼は時折新商品を持って鬼そばへやってくる。そこで味を確かめて貰い、御眼鏡にかなえば実際に店を出す。今日鬼そばを訪ねたのも、味見をしてもらう為だった。

 最近では妻である朔からせっつかれなくても新作の開発に余念がない。以前は面倒臭いと言って男が変われば変わるものである。

 

「っと、あんま引き留めてもなんだな。んじゃ、俺はこれで」


 そう言って挨拶代わりに軽く手を上げてから豊繁は背を向けた。

 甚夜らもそれに倣い店へ戻る。店内の一角にはどっかりと椅子に腰を下ろし、のんびり茶など啜っている老人が一人。


「お、もう終わった?」


 勝手知ったる他人の我が家、染吾郎は朗らかに笑っている。

 店内には親子二人に染吾郎しかいない。夜にはマガツメがいるであろう屋敷へ向かう。その為、今日は店を昼で閉めることにした。

 昼間でとはいえ大勢の客を捌き、流石に疲れた。それなりに体力はあるつもりだが、鬼を相手取るのと客の相手をするのでは疲れの種類が違う。客商売だ、気苦労はいつだって付き纏う。だからせめて、夜に備えて体を休めておきたかった。


「……そやけど、違和感あるわぁ」


 ふう、と一息吐いた甚夜を染吾郎は怪訝そうな目付きで観察していた。

 目の前には、“年老いた四十代前半の甚夜”がいる。

 視線に気付き甚夜はすっと目を伏せる。すると次の瞬間には普段と同じ、十八歳の青年の姿があった。


「そう言ってくれるな。これはこれで高等技術なんだ。自身の体に<空言>で造り出した幻影を重ねる。言葉にすれば簡単だが<空言>は使用者の記憶に依存する為、年老いた自身を細部まで明確に想定しなければ破綻してしまう。その上、仕事をしている間は常に行使していなければならないからな」

「ここまで無駄な<力>を使う鬼初めて見たわ」


 呆れか単に面白がっているのか、染吾郎はにまにまと口元を動かしている。

 無駄とは言うがこれも必要なこと。いつまでも歳を取らない店主というのは流石に怪し過ぎる。野茉莉と此処で生活を続けるには、こういった小細工もしなければならない。

 と言っても、日常生活で常に行える訳ではない。実際肉鍋屋の時は本当の顔を晒している。

 ただ、せめて店を開いている間は“歳を取った父親”として在りたかった。


「ん? そういう使い方が出来るんやったら、他のヤツにも化けられるんか?」


 興味が出てきたのか、思い付いたように問うた。

 染吾郎の発言に軽く顎を弄りながら考え込む。誰かに化ける。人に化けるのは鬼の常套手段だが、別人になるというのはやったことがない。そういう使い方が出来るなら案外と面白いかもしれない。


「そうだな……」


 早速試しに<空言> を発動する。手近にいた染吾郎の顔立ちをしっかりと記憶し、自分自身に幻影を重ねる。

 記憶を体に映し込む感覚だ。体の動きに合わせて幻影も動かさねばならぬ為、かなり繊細な運用が必要になってくる。ゆっくりとゆっくりと、慎重に創り出された幻影を纏う。

 そうして、どうだと言わんばかりに見回せば、二人はそれぞれ声を上げる。


「気持ち悪っ! 顔が僕やのに体が筋肉質すぎる!」

「父様、上と下が合ってないよ……」


 そこには非常に不気味な、背丈六尺近い筋肉質な秋津染吾郎がいた。


「む……。<空言>は幻影を創り出す<力>。元あるものに幻影を“重ねる”ことはできても“消す”ことは出来ん。これは失敗だな。……或いは<隠行>で自身の姿を消してから幻影を重ねれば。いや、<力>の同時行使は負担が大きすぎる。私では別人に化けることは無理そうだ」


 周囲の反応に失敗を悟り、ぶつぶつと弁明の言葉を連ねる。それがなんとなく滑稽で、染吾郎はからからと笑った。


「まぁ、そうゆうんは狐か狸に任せとけってことやね」


 残念だ、と呟きながら<空言>を解く。

 見慣れた青年の姿に戻れば、安堵した様子で野茉莉は息を漏らした。


「やっぱり父様はその姿が一番だね」

「これが普通だからな。さて、そろそろ昼食にしよう」

「うん、今準備するね。秋津さんも食べていきます?」


 目配せをすれば、「お、悪いなぁ」とゆっくり頷く。

 染吾郎は結婚しておらず、平吉は料理を作れない。なんだかんだ彼や平吉はここで食事を取っていくことが多い。いい加減慣れてきたのか、野茉莉も聞く前からそこを踏まえて献立を考えるようになっていた。

 親娘水入らず、ではないが騒がしくも暖かい食卓。

 こういうのも団欒というのだろうと、甚夜は小さく笑みを落した。


 夜が訪れなければいい。

 過った弱音には気付かないふりをした。







 五月の夜。

 抜ける風は生暖かい。どこか粘ついたような肌触り、その気色悪さに身震いする。

違う。本当は、夜が気色悪いのではなく、胸中で蠢くなにかだ。

 あれから長い長い歳月が過ぎた。流れ着き、いつしか故郷となった地で過ごした水泡の日々も弾けて消えて、僅かに名残を匂わせるのみ。

 忘れ得ぬ原初の想いも積み重ねた記憶に少しずつ薄れていった。


 

 それでも思い返せば、暖かな何かが心に灯る。


 

 ぬるま湯のような幸福。

 まだ人であった頃はそれが全てだった。

 鈴音と暮らし、白雪を守る為に刀を振るう。それだけが全てで、それでよかった。

 かつて幼い甚太が守りたいと願った、小さな小さな世界。

 なによりも大事で、本当に大切で。だけど時の流れは速すぎて、いつの間にかあの頃には戻れなくなり、今では思い返すことも少なくなった。

 あれから少しは成長できて、その分だけ視界は広がった。

 多くのものを失くした、けれど触れ合えた暖かさが確かに在って。

 あの頃と比肩するほどに、間違いなく今を幸福と呼べる。



 ───なのに、どうしてこの憎しみだけが消えてくれないのか。



『旦那様』

「どうした」

『いえ、随分と固くなっているようなので』


 兼臣の声に心は泥濘から引き上げられた。

 刀に表情などないが、その響きに心配しているのだと分かる。憎しみは消せない、しかし長く生きれば感情を隠す術には長ける。次の瞬間にはいつも通りの無表情に戻っていた。


「固くもなるさ。ようやく会えるんだ」

『それほどまでに会いたいと願う女性……妬けますね』


 わざとらしいおどけた物言いはこちらを気遣ってのもの。

 ほんの僅か心が穏やかになる。私は出会いに恵まれた、心底そう思う。


「なに、妻の前で浮気はせん」


 返す冗談は感謝故に。それを感じ取ったのか、刀は静かに微笑む。

 本当に、恵まれている。始まりは憎悪しかなかった。それでも積み重ねた歳月に価値はあったと断言できる。

 月も星も朧に滲む。薄墨のような雲に覆われた夜空。

軽くなった歩みで三条通を抜け、東山へ向かう。

 程無くして山の斜面に沿って作られた庭園、そして既に廃墟と化した屋敷が見えてくる。

 かつて東京が江戸と呼ばれている頃、京に保養地や山荘を有する武士は多かった。ここもとある武士が隠居の為に造営した屋敷であった。

 しかし明治になり、武士はいなくなった。元々の主を失くした屋敷は廃墟となり時代に取り残され、今では誰も住んでいない筈だ。

 ゆきのなごりの噂を手繰り、辿り着いた廃墟。ここで酒など造れよう筈もない。

 やはりゆきのなごりは方便。単なる誘い文句でしかったのだろう。

 

 庭園に足を踏み入れ竹林の道を行くと、石段の上に門が見えてくる。

 潜り更に進めば屋敷の玄関。二階建ての立派な造りではあるが、手入れはされておらず、所々朽ちた部分が見受けられる。

 玄関の前には、宵闇に浮かぶ人影が。

 栗色の髪をした娘。肩までかかった髪は柔らかく波打っている。年齢は見た所八つか九つといったところだろう。

 大きな黒い瞳。まだ幼く見える背格好に反してほっそりとした顔の輪郭は、可愛らしさよりも綺麗という印象が強かった。


「いらっしゃいませ、おじさま」


 夜に咲く、向日葵の微笑み。

 驚きはない。そもそも此処は端からその為に用意された場所。偽物のゆきのなごりは単なる餌。屋敷は甚夜を呼び出す舞台に過ぎなかった。


「夜分の訪問恐れ入る。家主はおられるか」

「むぅ。おじさま、固いです。もっと砕けてくれた方が嬉しいのですけど」

「すまない。今は出来そうになくてな」


 感情の乗らない声。頬を膨らませた向日葵は、それも仕方ないと溜息を吐き、気を取り直して花のような笑顔を再び咲かせた。


「では、さっそくご案内します。母の所へ」


 薄暗い廊下はまるで己の心のようだ。

先を見通せない、何があるのかも分からない。

 だけどようやくだ、と思った。

 強くなりたいと願い、彼女を止める為に、長い長い歳月を越えてきた。





『人よ、何故刀を振るう』





 いつかの問い。

 何を斬るべきか、今も答えは出せないままに、しかしようやくあの娘に逢える。

 胸に感じた熱さは高揚か、それとも結局消せなかった憎悪だったのか。

 考えないようにして、向日葵の後について長く続く廊下を歩く。

 そうして辿り着いた一室。


「どうぞ」


 向日葵が襖を開け、誘われるままに座敷へ足を踏み入れれば、そこには横座りで虚空に視線をさ迷わせる女が。

 年の頃は十六、七といったところか。

 波打つ眩いばかりの金紗の髪。幼げな容貌に反した、女の体つき。

 まるで瘴気をそのまま衣に仕立て直したような、淀んだ黒衣を纏った鬼女は気怠げにゆっくりと顔を上げる。

 うっすらと瞳が開いた。

 赤い。

 細い眉と鋭い目付きが冷たい印象を抱かせる、刃物の鋭利さを秘めた美しい女。

 その姿に膨れ上がる憎悪。

 ああ、ようやっと会えた。




「久しいな……鈴音」




 実に四十三年。

 長く短い歳月を越えて、愛しく憎い妹は再び甚夜の前に姿を現した。





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