学歴を比べて馬鹿にする社会人に反抗してみた2
マウント男達の名前の漢字変えました。
翡翠→日水
瑪瑙→目能
青石→青尹
一瞬ぽかんとした彼だが、奏介の軽蔑するような眼差しにゆっくりと顔を赤くしていった。
「んだと、クソガキ!」
奏介、呆れ顔。
「そっちから絡んで来て、逆ギレしないで下さいよ。ていうか、大学卒業した方って頭悪いんですね。こんなところで酒飲んで酔っ払って。高校生に絡みにくるのヤバいと思います。セクハラなんで、特にうちの女子には絡まないでくださいね、おじさん」
「んな!?」
「いやいや、そこのおっさん! 菅谷くんにも絡まないでよね、男女関係なく未成年へのセクハラだからさ」
ヒナがすかさず援護する。詩音やわかば達もヒソヒソと小声で言い合っている。
「このガキどもが」
「おいっ」
見浪が奏介を庇うように前に立つ。
「目能、いい加減にしろよ。飲みすぎだ」
目能というらしい男が舌打ちをした。
「うるせえよ。底辺が」
「生意気なガキ庇っていい気になってんの受けるなー」
目能の隣に並んだのは如何にもプライドが高そうな眼鏡の男。
「日水……目能を止めてくれよ」
「うっせ、高卒野郎。ボウリングなんて下らない遊びに付き合ってほしいとか言うからオレ達が付き合ってやってんだろ。なのになんだ、その態度は」
見浪はぐっと言葉に詰まる。
「……去年までは皆でよく行ってたから、久しぶりに行かないかって誘っただけだ」
日水という男は鼻で笑う。
「工場勤務は時間があって羨ましいぜ。なあ、目能?」
「ああ、大学を無事卒業したオレら三人とまだ同じ立場だと思ってんのが頭花畑だよな」
ぎゃははと笑う。
奏介、再び呆れ顔。
「いや、くっだらないマウントだな。時間があって羨ましいって、一緒に遊びに来てる時点で同じ時間に遊んでるんじゃねーか。自動車メーカーって一輪車か?」
奏介のタメ口煽りに目能と日水の顔が引きつった。
「ガキが口出してくるんじゃねえよ、殺すぞ。一輪車だと? そんな役に立たないものを作ってる会社なわけねえだろ」
奏介はピクッと眉を動かして、
「絡んできたの、そっちだよなぁ? それに、一輪車作ってる人に失礼だろうが。お前よりも断然役に立つわ。その年でボケてんのか? ああ?」
「さっきから、失礼なクソガキめ。桃華学園だな? 電話してクレーム入れてやるから覚悟しろよ」
目能が指をさして来る。今日はもちろん私服だが奏介が持っていた学校指定のカバンに気づいたらしい。
「やれるものならやってみろよ」
奏介は他メンバーの方をちらっと見る。皆手にスマホを持っている。
(俺も録音してるしな)
「もう良いわ。最底辺の工場勤務が知り合いとか恥だし。帰ろうぜ」
日水が馬鹿にするように言う。見浪は悲しそうにうつむいた。
「なんだよ、それ。なんでいきなり、底辺とか高卒とか。友達だと思ってたのに」
目能と日水は嘲笑を浮かべる。
「ばーか。工場で作業着着て臭い仕事してる奴とスーツでびしっと決めたエリートが一緒の人間なわけないだろ?」
「そうそう。友達とかねえわ」
奏介はため息。
「その下り、何回やるんだ? 昼間っから酒飲んで騒いでるおっさんと、酔っ払いを止めてくれたこちらの見浪さんでは人間の出来が違うでしょ。本当に大卒って低レベルだな」
「うるせえ、ガキが! いちいち絡んできやがって」
「だから、何回言わせるんですかね? 絡んできたのは」
その時、ダンッと机を叩く音がした。
見ると、見浪達の四人目の男性がこちらを睨んでいた。
「オレも悪ふざけしてたから悪かったけどさ、日水と目能、言い過ぎ。見浪の家は父親がいなくて、高校卒業してすぐに働きに出たいって言ってたじゃん。それを馬鹿にするのは違うんじゃねえの?」
「青伊……」
呟く見浪。
思わぬ味方の発言に奏介は鼻を鳴らした。
「事情がある人にそんなこと言ってたのかよ。クソ最低だな、おっさん達」
マウント男達の名前の漢字変えました。
翡翠→日水
瑪瑙→目能
青石→青尹
火曜日中に、奏介が高校教師になった未来、if高校教師の新作を前後編で更新します。前回は短編でしたので、新しい連載作品として上がります。合わせてよろしくお願いします。




