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母に攻撃する小姑と娘に反抗してみた2

 奏介と姫は安友子と入れ替わりで、買い物に出かけ、すぐに戻ってきた。ごろごろしながらスマホでゲームをしていたマミカの前にお菓子を置く。

「これで良い?」

 姫が不機嫌そうに言う。

「結構早いじゃん。あの無能おばさんはご飯作ってるみたいだけど、期待できないからさぁ」

「あのね! なんであんたにうちのお母さんを馬鹿にされなきゃならないの? あんたになんにもしてないでしょ」

「何キレてんの? またあのボケババアに言ってあげよっか? ママにもいじめられたっていうけど?」

 姫が黙る。

 それにしても、里子のことも馬鹿にしているらしい。

 奏介は目を細めた。

「そういう態度を里ばあちゃんが見たら、どう思うか考えたほうがいいんじゃないか?」

「あー、うるっさ。さすがあの無能とボケババアの血縁て感じ。時々うざい説教してくるけど、小学生のあたしとおばさん&キモオタクの発言だったらあたしの勝ちなんだからさぁ」

(お前も血縁だろ)

 母親以外、まんべんなく大人を馬鹿にしているらしい。

「ねえ、おばさんは馬になって、キモオタは肩揉んでくれない? それくらいやってよ」

 奏介と姫はポケットの中でスマホを操作し目くばせをした。


 一時間後。

 食卓には奏介、姫、安友子とマミカが並んでいた。市子は友人らしき人と通話中でまだ来ていない。

「まあ、安友子さん、雑炊にしてくれたの? おかゆに飽きてたからうれしいわぁ」

「お義母さん、部屋まで持って行ったのに。大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。一人で食べてると寂しくなっちゃうから。マスクもしてるし、一緒に食べさせて?」

「安友子おばさん、雑炊って誰でも作れると思うんだけど、おかずなし?」

 マミカが無邪気な感じで声をかける。

「あーごめんなさいね。お義母さんに合わせたから。それに時間がなくって」

 どうやら市子に三十分で作れとか命令されたらしい。それでもなんとか鮭入りのおいしそうな雑炊に仕上がった。安友子は料理は、得意だと奏介は認識している。それはそれとして、市子にも何か言われそうである。

「時間がないかー。おばさん、どんくさいもんね」

「……ご、ごめんね、マミカちゃん」

 姫がその様子を見て、にっこりと笑った。テレビのリモコンを手に取る。

「おばあちゃん、テレビつけても良い?」

「ん? 良いわよ。この時間はニュースしかやってないと思うのだけど」

「じゃなくて、ちょっと見てほしいものがあるの」

「あら、何かしら」

 頬に手を当てて、不思議そうにする。

 テレビのスイッチオン。


 映ったのは、奏介、姫とマミカだった。

 マミカはきょとんとする。

 画面の中で奏介と姫が買ってきたおかしをマミカの前に置いた。先ほどの光景だ。

 安友子、里子共に目を瞬かせる。


『これで良い?』

『結構早いじゃん。あの無能おばさんはご飯作ってるみたいだけど、期待できないからさぁ』

『あのね! なんであんたにうちのお母さんを馬鹿にされなきゃならないの? あんたになんにもしてないでしょ』

『何キレてんの? またあのボケババアに言ってあげよっか? ママにもいじめられたっていうけど?』

『そういう態度を里ばあちゃんが見たら、どう思うか考えたほうがいいんじゃないか?』

『あー、うるっさ。さすがあの無能とボケババアの血縁て感じ。時々うざい説教してくるけど、小学生のあたしとおばさん&キモオタクの発言だったらあたしの勝ちなんだからさぁ』

『ねえ、おばさんは馬になって、キモオタは肩揉んでくれない? それくらいやってよ』

 その後の映像はマミカに言われるまま、姫と奏介が言われた通りにしていて、暴言を吐きまくりだった。

 

安友子と里子が固まる。

そしてマミカが酷く動揺し始めた。

「……へ? ……え!? 何これ!?」

 奏介と姫は冷たい表情でテレビの画面を見ている。

「ねえ奏介、このガキやばくない?」

「ああ、優しい里ばあちゃんにこんなこと言って、自分では料理なんてできない無能の癖にうちの母さん馬鹿にしてるからな。一体何様だよ」

 奏介と姫の鋭い視線に射抜かれて、マミカは言葉に詰まった。

「……あらあら……」

 里子は困ったようにマミカを見る。

「これ、本当なの? マミカちゃん」

「そ、そんなわけないよ! おばあちゃん。これはこの人たちがマミカのこと、悪者にしようとしてるの! えっと、捏造ってやつだよ」

「今日初めて会ったのに、お前の姿や声でフェイク動画作れるわけないだろ」

「そうそう。ただ真実をカメラに移して編集しただけだから、簡単に作れたしね。ついでに字幕入れたから見やすいでしょ? マミカちゃん?」

「ぐ……ぐぐ、卑怯よ!」

 奏介は鼻で笑う。

「姉さんを椅子代わりにして俺に肩揉ませなきゃこんなことになってないないだろ。あ、そうだ。お前の配信サイトアカウントにこの動画張り付けてコメントしといてやったから。モザイクかけてあるから安心しろよ」

「な!?」

 マミカがスマホを見る。どうやら通知が溜まっているようだ。

「ちょっと、炎上しかけてるんだけど!」

 動画と共に添えたコメントは一言。


『女王様キャラ悪くないですね』


「モザイクかけてあるんだから、否定すればいいじゃん。まあ、顔出しして配信してるみたいだから声でバレるかもしれないけど」

「いいんじゃない? ほら、肯定意見も多いし。賛否両論だわ」

 マミカは悔しそうに拳を振るわせている。

「……っ! ママに言いつけてやる! 言っておくけど、ママの彼氏、怖い人なんだから」

 嘘か本当か。ママに泣きつく気満々らしい。

「三人ともやめなさい」

 静かに言ったのは里子だった。

「おばあちゃん! ねえ、この人達、酷いよね!?」

 里子はにっこりと笑って、マミカを見る。

「ふふ、可愛い孫にババアなんて言われるとは思わなかったわ? しかもボケ? マミカちゃんはわたしにシバかれたいのかしら」

 里子がすっと立ち上がって、寝室へ行き、竹刀を持って現れた。

「マミカちゃん」

 すっと、マミカの鼻先に竹刀の先端が向く。

「おばあちゃん、悲しいわぁ。この竹刀、玩具でね、シリコン? で、とっても柔らかくできてるの。お尻ぺんぺんすれば反省するかしら?」

 マミカは青い顔をして口をパクパクさせる。

「ご、……ごめんなさいっ」

 マミカは素早く土下座をする。元々座っていたので、あまりインパクトがないが。

「はあ、だっさ。悪口の証拠ばらされて即ごめんなさいするなんて」

「この歳で大人を馬鹿にしてるからな。ママの彼氏が復讐に来るんだっけ? 待ってるよ」

 奏介と姫は肩をすくめると、手を合わせた。

「いただきまーす」

「いただきます。母さんも里ばあちゃんも食べよう。冷めるし」

「あら、そうね。マミカちゃんも謝ってくれたし、このことは水に流しましょ」

三人の様子に安友子はぐっと唇を噛んだ。

「市子さんの影響よね。なんでここまで」

 奏介は目を瞬かせる。

「母さん?」

 と、その時。居間の戸が開いて、不機嫌そうな市子が入って来た。

「マ、ママーっ」

 抱きつくマミカ。唯一の味方が現れ、また反撃する気のようだ。

「どうしたの?」

「この人たちがマミカのこといじめたっ」

「はあ? 無能の子供はド無能ってわけ? てか、あーあ。やっぱり貧相なメニュー作っちゃって」

 市子は安友子の前にあった雑炊の入ったお椀を持ち上げた。

 そして、ごみ箱へ中身を投下。

「ゴミ食わせる気?」

 安友子は無言で立ち上がった。

「ん? 何よ。文句でも、きゃっ」

 安友子が市子の持つお椀を平手で弾き飛ばしたのだ。襖に当たって、お椀が転がる。

「な、何す」

 安友子がぎろりと睨む。

「うちの子達が、なんですって?」

今年も1年、この小説にお付き合い頂きありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

完結という概念がない作品ですので、緩く続けて行きたいと思っています。

ずっと読んで下さっている方も、時々読みに来て下さる方も、コメントを下さる方も、最近になって読み始めて下さっている方も、読者様には感謝しかありません。

需要がないのは分かっているのですが、定期的に刺激が欲しいので、まだ分かりませんがイラスト付き2巻を作るかもしれません。

流れたらすみません(笑

それでは皆様、良いお年を!!

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