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夢オチ 法律のない世界で物理的反抗してみた4

305部も同時更新します!

 成すすべもなく床に崩れ落ちる阿佐美。

「うぐ……ぐぐ。何す、ぐはっ」

 奏介は、背中を踏みつけたのだ。

「堅野君達を無視するとかどういうこと? ってなんだよ。いちいち反応しなきゃならないのか? ああん?」

 グリグリと背中を踏みつけ、体重をかける。

「ちょっ、待っ……や、やめて、菅谷君」

「なんだ、情けない声出して。石田と堅野に取り入ったからって調子に乗り過ぎなんだよ」

「ちょ、調子に乗ってたわけじゃ! てか、あいつらに言われてやっただけで」

「……」

 奏介は阿佐美の背中に馬乗りになって、彼の顎に後ろから手をかけた。

ゆっくりと手前へ引いていく。

 阿佐美は反り返る形になる。

「しゅ、しゅがや君!? いひゃいいひゃい!(す、菅谷君!? 痛い痛い)」

「やめてほしかったら、裏切ったことを土下座で謝罪しろ。クズ野郎に笑われてたかと思うと、気分が悪いからな」

「しまひゅ! しましゅからやふぇて(します、しますからやめて)」

 奏介は阿佐美から降りると、掃除用具を開けてモップを持った。

 背中を押さえて体を起こした阿佐美の顔の前に先端を向ける。

「お前、反撃しようなんて考えたらどうなるか分かってんだろうな? コロすぞ」

「ひ、ひうっ」

 阿佐美は慌てて正座をし、頭を下げた。

「申し訳ありませんでした!!!」

「おー、情けないこと。お前プライドとかないの?」

 奏介はモップで阿佐美の頭を軽くつつく。

「口だけ達者で堅野達の悪口言ってたくせに寝返って、良い気になって、本当楽しそうだな」

 と、キラリと阿佐美の目が光った気がした。

「うおおおおっ」

 阿佐美は隙をついたつもりか、奏介に飛びかかり。モップをかすめとった。

「へへ、これで、形勢逆転」

 モップを構える阿佐美に、奏介、すかさず、ビンタ。

「ぶわふっ」

 モップが床に落ちたので、彼の胸ぐらを掴む。

「反撃すんなっつってんだろ。奪った瞬間に殴らなきゃ意味ねぇんだよ」

「ひ……ひぃっ、ゆ、許してぇ」

「情緒不安定過ぎだろ」

「ま、待っ、そうだ、僕が石田や堅野の弱味を調べてきてあげるよ! ね、スパイみたいにさ、ぐっ!?」

 奏介が膝で股間を蹴り上げたのだ。

「ぐぐぐぅっ」

 倒れ込む阿佐美を軽く蹴る。

「いやもう、シんでくれよ。うぜぇわ。いじめっ子に取り入ったからって、無視するならともかく、絡んできた上にマウントとるとかドクズじゃん」

 頭を抱えて泣き出してしまう。

「ううううっ」

「はいはい。便器に顔突っ込まれた俺に泣き落としはきかねぇから。泣きたいのはこっちだわ。やり返されて泣くとか、本当に腹立つんだよ」

 奏介は唾を吐いて、そのままトイレを出た。


 はっとして目を開けた。

 ぼんやりとした暗闇。自室の天井が見えた。

 夢だ。

 あの場面だけを切り取ったとしたら、奏介が阿佐美をいじめているようにしか見えなかっただろう。

 きっと阿佐美を擁護する奴も出てくる。


「ここまでやらなくても良いだろ!」


(向こうは容赦ないのに、こっちは手加減しないといけないとか、狂ってるな)

 奏介はもう一度目を閉じて、寝返りをうった。

305部も同時更新します!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 夢の前半は残念ですが、阿佐美にたいしてやり返せたのは良かったです。 [気になる点] ふ〜む。『どんな感想を書こう』かと迷っていたら、なんと、夢だと自覚して 夢の中で行動できましたよ。 と…
[一言] 夢の中とはいえ奏介的にはあんまりスッキリはしてなさそうですが心配しなくてもブタ箱から出てきてからの阿佐美の人生はこの夢以上に悲惨になると思いますね。
[良い点] 夢世界の続き、ありがとうございます。 「……あ、これは夢だな」と自覚した時点で、こちらの勝利は確定なのですよ? 「主様の庭(夢)を荒らすのはキサマだな!!許さぬ!!」と、自動反撃する東方無…
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