夢オチ 法律のない世界で物理的反抗してみた4
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成すすべもなく床に崩れ落ちる阿佐美。
「うぐ……ぐぐ。何す、ぐはっ」
奏介は、背中を踏みつけたのだ。
「堅野君達を無視するとかどういうこと? ってなんだよ。いちいち反応しなきゃならないのか? ああん?」
グリグリと背中を踏みつけ、体重をかける。
「ちょっ、待っ……や、やめて、菅谷君」
「なんだ、情けない声出して。石田と堅野に取り入ったからって調子に乗り過ぎなんだよ」
「ちょ、調子に乗ってたわけじゃ! てか、あいつらに言われてやっただけで」
「……」
奏介は阿佐美の背中に馬乗りになって、彼の顎に後ろから手をかけた。
ゆっくりと手前へ引いていく。
阿佐美は反り返る形になる。
「しゅ、しゅがや君!? いひゃいいひゃい!(す、菅谷君!? 痛い痛い)」
「やめてほしかったら、裏切ったことを土下座で謝罪しろ。クズ野郎に笑われてたかと思うと、気分が悪いからな」
「しまひゅ! しましゅからやふぇて(します、しますからやめて)」
奏介は阿佐美から降りると、掃除用具を開けてモップを持った。
背中を押さえて体を起こした阿佐美の顔の前に先端を向ける。
「お前、反撃しようなんて考えたらどうなるか分かってんだろうな? コロすぞ」
「ひ、ひうっ」
阿佐美は慌てて正座をし、頭を下げた。
「申し訳ありませんでした!!!」
「おー、情けないこと。お前プライドとかないの?」
奏介はモップで阿佐美の頭を軽くつつく。
「口だけ達者で堅野達の悪口言ってたくせに寝返って、良い気になって、本当楽しそうだな」
と、キラリと阿佐美の目が光った気がした。
「うおおおおっ」
阿佐美は隙をついたつもりか、奏介に飛びかかり。モップをかすめとった。
「へへ、これで、形勢逆転」
モップを構える阿佐美に、奏介、すかさず、ビンタ。
「ぶわふっ」
モップが床に落ちたので、彼の胸ぐらを掴む。
「反撃すんなっつってんだろ。奪った瞬間に殴らなきゃ意味ねぇんだよ」
「ひ……ひぃっ、ゆ、許してぇ」
「情緒不安定過ぎだろ」
「ま、待っ、そうだ、僕が石田や堅野の弱味を調べてきてあげるよ! ね、スパイみたいにさ、ぐっ!?」
奏介が膝で股間を蹴り上げたのだ。
「ぐぐぐぅっ」
倒れ込む阿佐美を軽く蹴る。
「いやもう、シんでくれよ。うぜぇわ。いじめっ子に取り入ったからって、無視するならともかく、絡んできた上にマウントとるとかドクズじゃん」
頭を抱えて泣き出してしまう。
「ううううっ」
「はいはい。便器に顔突っ込まれた俺に泣き落としはきかねぇから。泣きたいのはこっちだわ。やり返されて泣くとか、本当に腹立つんだよ」
奏介は唾を吐いて、そのままトイレを出た。
はっとして目を開けた。
ぼんやりとした暗闇。自室の天井が見えた。
夢だ。
あの場面だけを切り取ったとしたら、奏介が阿佐美をいじめているようにしか見えなかっただろう。
きっと阿佐美を擁護する奴も出てくる。
「ここまでやらなくても良いだろ!」
(向こうは容赦ないのに、こっちは手加減しないといけないとか、狂ってるな)
奏介はもう一度目を閉じて、寝返りをうった。
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