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見た目いじめられっ子の俺は喧嘩売られたので反抗してみた  作者: たかしろひと
第3章 続・だらだら日常編(波乱あり)
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念のため準備とモモの相談

今回2話更新です!すぐに次上がります!

 昼休みの風紀委員室。

 現時点で集合しているのは奏介、真崎、ヒナである。

(セント)ナリア女子学院?」

 奏介が口にした学校名にヒナは首を傾げる。

「そう。知り合いとかいない?」

 ヒナは少し考える素振りをし、

「かなりいるね。付き合いがある家の子もいる。何より、つかさが通ってる」

「野久保が?」

「僧院の知り合いがかなりいるって、超お嬢様学校だな」

 真崎が驚いた様子で言うと、ヒナは頷いた。

「そだね。あそこミッション系で校則が厳しめだよ。いかなる時も清楚であれ、淑女とはなんとか~みたいな標語を掲げてるし」

「制服可愛いよな。見かけるけど、良い意味で浮いてる」

 真崎は腕組みをして頷いた。

「で、それがどしたの?」

 ヒナが不思議そうに首を傾げる。

「ああ、最近喧嘩売ってきそうな奴が通ってるんだ。その時のために調べておこうと思って」

「あの学校に?」

「ああ、なんか頭悪そうだったから、うざ絡みしてきそうでさ。先手を打っておこうと思ってさ」

 奏介はスマホを見た。

 SNSをやっているらしく、本名での検索で一発だったのだ。

「自分に自信があるやつは凄いな」

 プロフィールまで乗せているため、日々の暮らしや動向が手に取るように分かってしまう。

「あー、こういう使い方してる人いるわよね」

「!」

 後ろから覗き込んできたのはわかばだった。

「なんだ、橋間か」

「そういう人って、リア友とメッセージ交換してる感覚なのよね。実際は世界中の人に見られて、さらに個人情報ばらまいてるわけだけど」

 肩をすくめる。隣にはモモが立っていて、目を瞬かせている。

「ふうむ」

 ヒナは顎に手を当てた。

「気になってるなら、ボクが調べてあげるよ。君の読みは当たりそうだしね」

「いや、さすがに任せるのは」

 ヒナは人指し指を立てた。

「代わりにモモの相談に乗ってほしいんだ。それなら良いでしょ? 交換条件」

 交換条件でなくてもモモの相談には乗るが、こう言われると、従うしかなくなる。

「ああ、じゃあ……。悪いな、僧院」

「オッケ、任された」

 ヒナはにひっと笑ってみせる。

 奏介はモモへ視線を向けた。

「それで、相談て」

「あ、ええ。実は」

「ねぇ、詩音と水果も来たから食べながらにしない?」

 わかばの提案に全員定位置へ。

「ああ、モモの相談てあれだろう? この前ちらっと話していた」

 水果が言う。どうやら一足先に聞いていたらしい。

 モモはこくりと頷いた。

「正直、わたしにはどうしようもないことで、菅谷君を巻き込むのは良くないと思ってるんだけど、頼れるのがあなたしかいなくて」

 不安そうに見つめてくるモモ。

「どうしようもないって、須貝自身のことじゃないってこと?」

 二度あることは三度ある、市塚父娘関係かと思っていた。

「ええ。……少し前にお金持ちが集まるパーティに出たの」

「ああ、その話ね。確かに菅谷が良いかも」

 わかばも聞いていたらしい。

「パーティってあの父親に言われて?」

「代理……っていうのかしら。お父様もイリカさんも出られないから、親戚として出席してほしいって言われてしまって」

「そりゃだいぶ難易度が高いミッションだなぁ」

 真崎がぼやく。

「それ、須貝が行かなきゃダメだったの?」

 言ってしまえば愛人の子供だ。どう考えても他に適任はいたのではないだろうか。

「あ、えと。生活費は出してもらってるし」

 それくらいの頼みは聞いてあげたいといったところだろうか。

 ヒナは片目を閉じてみせる。

「代理で家政婦達に行かせるより、親戚って言ってモモに行かせた方が面目立つんだよ。何より、モモは大人っぽいメイクするといい感じだしね!」

 見映えするということだろうか。華やかなドレスを着たモモの姿をなんとなく思い浮かべ、納得してしまった。

「べ、別にそういうことじゃないと思うけど」

「ふふ。でも、縁談の話も来たんだろう? 目立ってたってことじゃないのかい?」

 水果に言われ、モモは顔を赤くする。

「へぇ、そうなの? パーティで見て気に入った人がいたってこと? やるじゃない、モモ」

 わかばが感心したようにいう。

「そ、そういう話じゃなくて。……それで、パーティ主催者の娘さんと仲良くなったんだけど、なんだか私と同じ境遇みたいなの」

 モモの話をまとめるとこうだ。

 仲良くなったというその娘には弟と妹がいて、血が繋がっていない。長女である彼女をパーティー主催者夫婦は養子として引き取ったのだそう。

「もしかして」

 奏介は嫌な予感がして、モモに声をかけた。

「妹や弟とは仲がいいんだけど、両親からは養子だからって酷い扱いを受けてるみたい。あの時のわたしみたいに、我慢するしかないって思い込んでるのよ。……そんなことないのに」

 逃げる方法はきっとある。最悪、警察を利用すれば良いのだ。

「だから、菅谷君」

 じっと見つめられて、奏介は息をついた。

「なるほど、それで相談に乗ってほしいってことか。俺が首を突っ込む問題じゃない気がするけど」

「いや、あんたは首突っ込むのがアイデンティティーでしょ」

「いや、意味が分からない」

「そうか? 橋間の言ってることはなんとなく分かるけどな」

 真崎が半笑いで言ってくる。

「まぁ……わかったよ。話くらいなら聞きに行くよ」

 モモはぱっと表情を明るくした。

「ええ、ありがとう」

「うんうん。じゃあ、今回の付き添いはどうする? さすがにボク、自分ちと繋がりがある家で好き勝手出来ないから行けないけど」

「え、そう、なの?」

 途端にモモが不安そうになる。

「うん。立場上ね」

「おれは問題なく論外だよな。男二人ついてったらヤバイし」

「あ、ごめんなさい。針ケ谷君」

「いや、須貝が謝ることじゃねえって」

 真崎は苦笑気味だ。

「うーん、わかばと水果ちゃんは?」

「あたしはお金持ちと相性悪いの。別にそんなつもりないのにギャルっぽいとか言われるし。そこまでじゃないでしょ」

 モモは、しゅんとしてから、期待の目で水果を見る。

「あたしかい? 今日は近所の子を見る約束してるから悪いね。そこの居眠り娘で良いんじゃないかい?」

 お弁当を広げて、箸を持った状態で、詩音が寝ていた。『フラクタデイズ』の新刊を深夜まで読んでいたとのことだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前の話の感想で丸美が低俗と評したんですけどここまでのバカだと逆に奏介にボコボコにされて欲しいと言ってるようなもんですね。 わかばにもコケにされてますし相当アホなんだなと。
[一言] あら、こっち飛ばして読んでました。 2話更新の時は、2話目の前書きに一言告知していただけると見落としがなくなるので助かります。 ブクマしてると直接最新話にいっちゃうの、なんとかなんないですか…
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