125部 おまけ ifルート 想定通りの結末
※残酷描写あり
※125部で津倉ユウキが奏介に声をかけられず、小泉の車に乗っていたら? というifルートになっております。
車内から小泉が言う。
「家まで送りますよ。『カフェルル』の件についても少し話しましょう」
「はいっ」
ユウキは小泉の誘いで黒塗りの車に乗り込んだ。彼と二人きり、向い合わせである。ふわふわの座席に少し感動していると、スーツ姿の小泉が足を組みながら、にこにこと笑っている。
「君が無事でよかったです。実は何人か捕まってしまっていてですね」
「! やっぱりお店にいたお客さんと店員さんですか?」
「ええ」
小泉はゆっくりと頷いて、
「店のPCのデータなどは遠隔操作で消してありますし、足はつかないと思います。名簿なども完全消去出来るようにしてありましたしね」
ユウキはほっと胸を撫で下ろす。
「よかった。これ以上捕まらなければ良いですね」
「ええ、そう願いたいものです」
数十分後、車が停車した。
「あれ?」
ユウキは思わず、窓の外を見やる。そこはユウキの自宅前などではなく、木々が生い茂る林、または森のような場所らしかった。
「えっと、ここは」
「見せたいものがあるんです」
小泉の笑顔は変わらない。
車を下ろされ、そこで初めて不安になった。車道はあったが、細い道だ。普通、こんな場所で下ろされるだろうか? 徒歩で帰宅出来るのだろうか?
「あ、あの、これは」
車から降りてきた小泉は笑顔を崩さない。
「津倉さん、実はですね」
「は、はい」
次の瞬間、後頭部にとんでもない衝撃が走った。
「あ、ぐぅ……?」
体が硬直し、落ち葉の地面に倒れ込む。
「小泉さん、こんな原始的なやり方でいいんですか?」
運転手らしき男の手には何やら長い棒のようなものが握られている。
「ああ、見つかった時にこいつだとサツが勘繰るだろ。……さっさと埋めろ」
「はいっ」
小泉がユウキの鞄に手を伸ばした。スマホを取り出すと、着信が鳴り出す。
(あ……お兄ちゃんからの着信音……)
しかし、小泉はその電話には出ず、着信音が消えるのを待つと、何やらメッセージをうち始めた。
「お兄さんには、今日は遅くなると連絡を入れておきますね」
横向きの視界がゆっくりと赤く染まってきた。息苦しい。頭がぼうっとする。
「用意出来ました」
「落とせ」
ユウキの体が運ばれたのは、二メートル近くある穴の前。
そして、
「今まで役に立ってくれてありがとうございました。それでは」
小泉に蹴られた痛みを最後に、ユウキの意識がブラックアウトした。




