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見た目いじめられっ子の俺は喧嘩売られたので反抗してみた  作者: たかしろひと
第3章 続・だらだら日常編(波乱あり)
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学校で賭け事をしている女子に反抗してみた1

 目を開けると、隣に誰かが寝ていた。すやすやと規則正しい寝息を立てているのは、

「ユウキ、また俺のベッドに」

 津倉橋人は額を押さえながら体を起こした。

「うーん。……あ、お兄ちゃんおはよー。あれ? 部屋まちがっちゃった?」

 妹、津倉ユウキもパジャマ姿で起き上がった。

「わざとだろう?」

「あはは。最近寒いから、人恋しくなっちゃうの。それより、早く支度しないと学校に遅れちゃうよ?」

 小首を傾げるユウキ。いつまでも兄離れをしないのは少し心配だが、仲が良いのは悪いことではないだろう。

 いつものように母親に急かされながら身支度をし、朝食を食べ、家を出る。

 腕を組みながら歩いていると、視線が痛い。

「……ユウキ、少し離れてくれ」

「えー? 良いじゃん」

「変な目で見られるだろう」

「カップルに見られてるだけだよ。それより、さっきの話、菅谷奏介君、だっけ?」

「ああ。ユウキもクラスが違ったから話したことないだろう」

「でも知ってるよ? いじめられてた子でしょ?」

「ああ、同じ学校だったんだ。先日の土岐先生とのことだが、暴行を受けたのが彼でな」

「へえ~」

「まあ、土岐先生が暴力をふるったというより、彼が挑発したんだがな」

 ユウキは不思議そうに目を瞬かせた。

「挑発? そのいじめられてた子が?」

「ああ、挑発してわざと殴られたらしい」

「ええ? それってどういう意味があるの?」

「結果的に土岐先生が逮捕されただろ?」

「嘘でしょ? それを狙ったってこと?」

 ユウキが顔を引きつらせている。

「いや、さすがにそんなことしないんじゃない? 危なすぎるし」

「普通なら、そうだな」

 風紀委員室での会話を聞いてしまっているので、そう思えない自分がいる。

「まあ、忠告はしておいた。少しは自分の行動を見直すだろう」

「ふーん?」




 兄の橋人と分かれた後、ユウキは考え事をしていた。

(いじめられっ子の菅谷奏介君、ねえ)

 教室に入って席に座ると、すぐにスマホが振動した。メッセージの着信だ。

(はあ?)

 ユウキは心の中で舌打ちした。

 現在、賭けの対象になっている都祭ハヤからの連絡だった。好きな漫画家にアタックさせて、結末を予想させるという簡単な遊びだ。『逮捕』の倍率が凄いことになっていたのでその方向へ持っていければ盛り上がるだろうと予想していたが。

(今更止めるって何? こっちは客の金かかってんのよ)

 なるべく優しい言葉で続けるよう促すが、何があったのか、中断の意思が固いらしい。

(あっそ。なら良いわ。新しい賭け対象探すから。あ)

 ふと、先ほどまで考えていたいじめられっ子のことを思い出す。

(何か利用できないかなー)




 放課後。授業が終わって一時間後。

 ユウキは特別教室がある校舎の廊下の曲がり角で待機していた。

(とりあえず仲よくなって、探ってみようかな)

 もうすぐ風紀委員の見回りをしている菅谷奏介が歩いてくるはずだ。

 賭け遊びに利用出来そうなら、したいところだ。

 待っていると、

(うっわー。近くで見るとやっぱめっちゃオタク)

 正面からまじまじと見ると、気弱そうな男子だった。土岐に挑発したという話だったが、外見からはまったく想像できない。

(ないわ。これはないわ。お兄ちゃんの勘違いでしょ)

 見回りペアの女子と会話しながら歩いてくるので、そこへ飛び出す。

「!」

「あっ」

「きゃっ!?」

「わっ」

 奏介を巻き込む形で床へと倒れ込んだ。

 ずるい手だが、彼を下敷きにすればどこもぶつけないだろう。

「え、ちょっ、大丈夫?」

 ペアの風紀委員女子がおろおろしている。

「ううー、すみません。ちょっと忘れ物をして急いでて……」

 ユウキはそう言って頭を押さえながら下敷きにした奏介にまたがったまま彼を見る。

「大丈夫ですか?」

 心配している風に彼に問う。

「え、ああ。そっちこそ」

「わたしは大丈夫です。……あっ」

 奏介の上に乗っていたことに気づいて恥ずかしくなる演技をしつつ、

「ご、ごめんなさいっ、あの、急いでるので、今度お詫びしますっ」

 立ち上がったユウキは勢いよく頭を下げて、その場を走り去った。

(きっかけとしてはこんな感じね。ちょろそうだし)

 後日、お詫びをしたいと言って近づけば良いのだ。




 走り去って行くユウキの背中を見ながら、わかばがぽかんとしている。

「え、もしかしてあれがあんたが言ってた賭け事してるっていう?」

「ああ、みたいだな」

 奏介はゆっくりと立ち上がった。

 まさか向こうから接触してくるとは思わなかった。好都合だ。

 それにしてもである。

「!」

 わかばが奏介の様子に顔を引きつらせる。奏介は物凄い形相でひびの入ったスマホケースを握りしめていたのだ。

「檜森、喜嶋含めて絡み方がワンパターンなんだよ。いい加減にしろよ」

 その瞬間、パキンと音がして、スマホケースの破片が飛び散った。

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― 新着の感想 ―
[一言] スマホケースさんが何をしたって言うんだ!!買い換えるのにお金がかかるだけだぞ!!なんて関係の無いことを考えてみたり(笑)
[一言] ワンパターンなのは作者の表(続きがない。どうやら消されたようだ)
[一言] アリがアリ地獄にIN! おらわくわくしてきだぞ!
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