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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは真っ黒な騎士爵

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コリピサ王国の捕虜貴族たち

レオが魔法の袋の調達などをしている頃、宰相や第1公子はコリピサ王国との交渉を行っていた。

捕虜にした司令官や指揮官たちの身代金、戦争の賠償金などの要求である。しかし、密偵の情報の通りコリピサ王国には実情としてそのような金銭は残っていなかった。かといって領土分割を受けたところで、それほど旨味のない領土が増えても管理費がかさむだけなのと、結局コリピサ王国が再度侵攻してくるであろう場所になるだけで、その際の防衛範囲内にコリピサ王国に寝返る可能性がある支配地が増えるのは怖いだけである。


国家財政は破綻していたが、その戦続きで私腹を肥やした武器商人、その商人に繋がっていた軍人たちは私財をため込んでいたため、そのような軍人たちはそこから身代金を捻出して帰国して行った。結局残ったのは商人と結託してしなかった貴族1人であった。それだけ貴族、軍人たちには腐敗が進んでおり、そのような連中だけが手柄を狙っての出陣しているのだと思われる。

その残った伯爵に話を聞くと、国王とはまた従兄弟つまり祖父同士が兄弟という王族の端のような貴族であった。今回の侵攻は公国の第2側室たちとつながった後ろめたい話ということも認識していたという。しかし、貴族であるので出陣する必要があっただけでなく、実はクーデターを計画しているメンバに祭り上げられる予定であり、戦地にも行かない神輿では欠点になると周囲の説得で出陣したらしい。


「クーデター!?」

「はい、コリピサ王国もルングーザ公国と同様に、領地持ち貴族は居ない王政であり、中央集権が進んでいるため貴族がそれなりの規模の私設軍を持つのは難しいので、今までクーデターが起きた事例はありません」

「ならばなぜ?」

「それだけコリピサ王国は限界であり、新しい国王、体制を望んでいる者が多く、賛同者が多いということでしょうな」


第1公子と宰相は公爵と限られた者だけで密談をする。

「さすがにコリピサ王国の現体制には退いて貰いたい。だが、一国を攻め取るというのは容易ではない。いくら今の国王に不満があっても、他国に支配されるのには国民の反発が強く、逆にますます現国王へ力が集中するかもしれない。それが今の常時戦争という政治路線なのであろう」

「おっしゃる通りです。ただこのままではコリピサ王国が疲弊するだけでなく、ルングーザ公国も疲弊してしまいます。そこで、クーデターに乗っかってしまうのはいかがでしょうか?」

「どういうことだ?」

「コリピサ王国の外部からの支配は国民反発があります。ですので、コリピサ王国内での新体制確立に協力するのです。公国の国土を広げたり属国にしたりすることはなくても、隣国が友好関係になるだけでも公国の利益になります」

「そんなにうまくいくだろうか?」

「今の国王にあまり近い王族では国民感情的に失敗するでしょうが、適度に遠い王族を神輿に考えている彼らであれば成功の可能性は高いでしょう。万が一失敗しても、コリピサ王国の国力が減り、公国への侵攻力が減ることは期待できますし」

「では、まずは更なる情報収集を命ずる。それと、残った捕虜であるその伯爵が神輿にふさわしいか、一度食事をすることにしよう」

そうして、公爵と捕虜になったコリピサ王国伯爵のスクゥーレ・マストヴァとの会食が設定され、マストヴァ伯爵が常識人であることを認識した公爵は、その方向で進める判断をする。



その意向を受けて、第1公子は第3公女の屋敷を訪れる。公女マルテッラの指示で応接室に、当然に黒ローブと黒仮面は無で同席しているレオ。

「マルテッラ、その少年を貸して欲しい」

「レオを?」

「そうだ。黒ローブと黒仮面を外した知名度が無い姿のままコリピサ王国に行って欲しいのだ」

「兄上、何のことですか?」

「そういうのはもう良い。レオ・ダン・コグリモ準男爵という側面を隠して、実力を隠し持っていても見た目は単なる少年が欲しいのだ」

「どういうことですか?」

やはり第1公子には、公女の使用人レオナルドと冒険者レオ・ダン・コグリモ準男爵が同一人物であることは知られていたこと、そしてコリピサ王国のマストヴァ伯爵の使用人の振りをして王国にてクーデターの手伝いをして欲しいことなどを説明される。

マストヴァ伯爵の支援者がなけなしのお金をかき集めて身代金にしたので、王国に戻れることになった、公国で雇い入れた使用人と一緒に帰国する、という話にするとのこと。元スラム街住民の2人も黒ローブと黒仮面を無くして使用人として一緒に行っても良い、とそちらの2人のことも第1公子には把握されていた。


「レオ、あなたはどうしたいの?」

「マルテッラ様の護衛はどうなりますか?」

「そうだな、この前に第2側室イルヴィアと第4公女タージニアを拘束したから、次はコリピサ王国の現王政をどうにかしたら、マルテッラはかなり安全になるはずだな。それに、王国に行っている間の代わりの護衛は俺が用意しておいてやろう」

「仲間たちと相談させてください」

「レオの好きにしたら良いからね」


レオはベラ、フィラと同居する屋敷に戻り、まず自分の正体を説明する。黒ローブと黒仮面を外し、他国の港町シラクイラ出身で、公女の使用人が冒険者として活動するときの姿であったことを話す。その上で、コリピサ王国に行く要請を受けていることを相談する。

ベラは、戦争時での公女との会話から関係性も想像していた範囲であること、コリピサ王国へは判断に従うという。フィロは、スラム街でハイオークを暴れさせた相手で、この前の戦争のときのハイオークキングをけしかけたのもきっと同じ相手で、そいつに仕返しできるなら、と言うので、皆で行くことに決定する。


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