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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは真っ黒な騎士爵

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魔法回復薬の品質向上

また、レオは先日≪乾燥≫を習得したので、回復薬の調合の品質をあげることを考える。


魔法回復薬の調合の手順は、簡単に言うと、洗浄、乾燥、粉砕、分離、溶解、励起であり、基本的には不純物の混入を防ぐことで品質があがる。

≪簡易結界≫で外部からの不純物の混入を防ぐことができ、≪洗浄≫と≪水生成≫によりさらに品質が向上できるようになっていた上に、≪乾燥≫も魔法で出来れば、次は粉砕と分離をいかに上手くできるかがポイントになる。

例えば薬草の葉を素材にする際にもできるだけ、枝についていた葉柄の部分や葉脈をきちんと切り分ける必要がある。今は薬研(やげん)で粉砕した上で、(ふるい)で分離しているのを、いかに魔法で実現できるか、である。


閲覧費用を払わずに済む公国魔術師団の図書室にまず行ってみる。団長や団員に聞いても、魔法回復薬を調合するメンバは居ないようだが、思い当たる物として土魔法の初級≪粉砕≫の魔導書を出して来た。

主には岩の粉砕などを目的に使われるようであるが、習得してみると、乾燥させた薬草の粉砕にも問題なく使用できた。


続いて費用がかかることは覚悟の上で、冒険者ギルドの魔術師委員会の本棚を探してみると、風魔法の初級≪風篩≫を見つけることができた。その場に居た委員に聞いても、なぜこの魔導書がここにあるのかは不明とのこと。

閲覧費用を払って読み込むと、穀物のもみ殻の分離などに、風を使って重みで振り分ける魔法であり、習得して試してみても、回復薬の調合にも十分に適用できた。


結果として≪粉砕≫≪風篩≫も使用して調合した魔法回復薬は中級上位にはなったので、もう少し慣れれば高級になる期待も出てきた。特に励起のところで、ベラとフィロに差が出たように、レオ自身も励起の精度向上は今後の注力ポイントと考える。

本当は、錬金術師など高級以上の魔法回復薬を製作している人を探し出して教えを請いたいが、貴重な知見を教えて貰えるか疑問であるだけでなく、そのような人物がこの公都に居るという話も聞かないため、自分で研究、研鑽をするしかないと諦めている。



また、新たに閲覧できた≪粉砕≫≪風篩≫の魔導書それぞれ写本を作り、自作魔導書にまとめる際に古代魔導書の記述を確認すると、≪粉砕≫は記載があったが≪風篩≫は無かった。たまたま載っていなかっただけなのか、その時代には無かった魔法を後代の魔法使いが開発したのか。

もし魔法を自ら開発することができるのであれば色々と夢が膨らむ。

天使グエンに魔法の開発に聞いてみると、開発は可能であるとのこと。


新たな魔法の開発において、発動後のやりたいことのイメージが一番大事であり、それにより魔力を変換する先の属性を確定させる。もし別の属性を選んだ場合には効果が下がったり魔力効率が悪くなったりしてしまう。それも踏まえて必要な魔力量を確定させる。それだけで魔法はできる。ただ、魔術語や魔法陣も相応しいものが無いままであると、毎回の効果がバラバラになったり魔力効率が悪いままになったりするので、膨大にある魔術語の字典から相応しいものを探したり古代遺跡から新たに見つけたり試行錯誤して、魔法に命名してはじめて他者も使える魔法開発になる。さらに詠唱呪文もあった方が普及しやすくなる。

今、皆が使えている魔法は、先人たちの過去からの試行錯誤と淘汰の結果、便利で効率が良いものが伝わっている成果であり、先達に感謝を忘れてはならない、と付け加えられる。また淘汰の途中の非効率かもしれないが今には無い魔法が古代遺跡などから見つかることもあるとのことであった。


グエンに聞いたこれらの内容も自作魔導書に追記しておく。



神官トンマンドに教わった当初は中級品とは言うものの下位であったが、いろいろな魔法を駆使することで中級品でも上位のものを製作できるようになった。これらは≪簡易鑑定≫でも確認できている。

その上達した成果である魔法回復薬をトンマンドのところに納品に行くと、品質が分かるようで驚かれる。

「レオ様、さすがですね。上達されていますね」

「トンマンド様のご指導を頂いたのがきっかけですので、すべてはトンマンド様のお陰です」

「言葉も上達されていますね。それはさておき、これ以上の品質の物は神殿でも数を揃えるのは経済的に難しいです」

「奉納でも良いのですが」

「嬉しいお話ですが、限度があります。高級品は神殿では1瓶10銀貨で購入させて頂くことになりますが、一般商店ではもっと高値をつけてくれるでしょう。希少ですので。騎士団などでも欲しがると思います。いくつかは継続して分けて頂けるとありがたいですが、ご自身たちの生活も大事になさってください」

「かしこまりました」


「トンマンド様、本日はもう一つご相談がありまして」

製作できるようになった初級魔法のスクロールのうち、回復魔法の≪治癒≫をいくつか持参していたのである。

「これは!魔法回復薬に比べて魔力を使用するので使い手を選びますが、飲み過ぎでお腹が膨れたり、瓶が割れたりする心配もなく重量も軽いので、スクロールも需要があります。神殿では1枚1銀貨で購入させて頂きます。ただ、こちらも一般商店などではもっと高値になるかもしれません。中級魔法以上になれば特に。無理を申せませんが、いくらかは神殿にも分けて頂けますと幸いです」


レオとしては指導を受けたお礼もあり、神殿への納品を継続するつもりであったが、ベラやフィロの労力に報いるためにも、すべてを神殿ではなく、商店などにも卸すことを考える。スクロールの納品も踏まえると、足元を見られない相応しい商店を探すことを考える。


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