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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは故郷に錦を飾る

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南門の攻防

 レオが南門の外側の上空に到着して改めて確認すると、全体としてはルングーザ公国の方が優勢ではあるが、ムッチーノの街から攻め込んだバルバリス達が劣勢であることが分かる。

 挟撃とは言いつつ、街から飛び出した騎馬隊の戦力が少ない事実を踏まえるとそれも仕方ない。


 遠目に見たときには混戦に見えたが、上空から見ると、真ん中のフィウーノ軍と西から来た公子たちの騎馬隊には、まだ戦闘状態に入っていない者が多い。

 逆にバルバリスたち330騎兵の方を取り囲んでいるフィウーノ軍はほぼ交戦状態であり、バルバリスたちの苦境が分かる。

「今までは突撃して離脱するのを上手くやっていたのに、逃げ場を失ったみたいだな。足を止められた騎馬隊というのか……」

 レオは、第一優先はバルバリスの救出であると理解する。


「グエン様は回復魔法を、アクティムとファリトンは味方に当たらない少し離れたところに攻撃魔法をお願い」

 天使と悪魔たちへ指示をしたレオ自身は、バルバリスたちから少し離れたところにいる騎乗した指揮官らしき人物に対する≪夜霧≫と≪爆炎≫をここでも行う。

 移動する気配があったわけではないが、バルバリスたちだけでなくフルジエロたちの軍勢それぞれへの迎撃を難しくさせるには、指揮命令系統を混乱させた方が良いと西の陣営でよく実感したからである。


 当然に明るい昼間の空を≪飛翔≫して魔法攻撃をしているので目立つ。それだけ地上から矢が飛んでくるが、レオが回避するとその矢の放物線の先はフィウーノ軍自体であることから、すぐに停止するよう命令する怒声も聞こえてくる。

 その後は、放物線の先が戦闘区域の外になるような場所からしか矢が飛んでこないので、回避するのは容易い。

「あれは、もしや」

「はい、コグリモ準男爵かと」

「魔法使いは遠くから攻撃する卑怯者という表現はあれには当てはまらないか……今のうちに包囲を破るぞ。北に一時撤退!」

「は!」

「食い残しを追うな!またすぐ来る!」

「はは!」

 バルバリスは自分たちの置かれている状況もよく理解していたので、まずはフィウーノ軍の包囲から逃れ、いつもの接近・離脱の勝ちパターンを取り戻すことに専念するように、興奮している部下たちを指揮する。


「ふぅ、いったんは大丈夫かな。じゃあ次は」

 レオもその様子を確認すると、フィウーノ軍の中心に≪爆炎≫などを魔力が残っている分だけ発動してから、魔力回復ポーションを飲みながら西に移動する。



「あ!こっちも大変」

 ムッチーノの街を取り囲むフィウーノ軍を時計回りに一周してきたレオは、ルングーザ公国の陣地と交戦しているフィウーノ軍を確認する。

 最初に≪夜霧≫などでの嫌がらせをしたはずの、西門の側に陣取っていたフィウーノ王国軍の本体が南下して来たのである。

 もちろんフルジエロたちも全軍を南門方向に送り込んだわけではなく、陣を防衛する部隊もそれなりにいるので、蹂躙されるまで酷いことにはなっていない。また、フィウーノ軍も速度を重視したことから騎兵隊が主で歩兵隊はまだ到着して来ていない。


「グエン様、アクティム、ファリトン。またお願いね」

 再び天使と悪魔に手伝ってもらい、まずは陣の馬房柵の外側にいるフィウーノ軍の騎兵隊に対して≪爆炎≫などの火魔法を発動していく。そこで怯んだ隙に、≪石壁≫を発動していく。高さは不要なので馬房柵と同じ高さほどのまま、横に長くなるように作っていく。中から突撃するための隙間も必要なので、馬房柵に合わせた形である。

 敵が騎兵隊ばかりなので動きを止めて混乱させた後は、さらに≪炎壁≫を≪石壁≫の外側に敵軍に重なるように発動していく。


「皆さん、大丈夫でしょうか?」

「コグリモ準男爵?」

 防衛隊からもあまり知名度がないことを知っているレオは、中心部に降り立つ。

 流石にそこでは何度か来たこともありフルジエロの側近や幹部たちはレオと認識してくれるようである。

「今のうちに重傷者たちの治療をしたいのですが」

「でしたら、こんな中心ではなくあの辺りに!案内します!」

 過去にマルテッラたちと一緒に治療行為をしていたことを知っているのだと思われる人物が、前線から後退させて集められた怪我人のエリアへ案内してくれる。


 神官たちが同行していないので、手持ちの通常回復薬を用いて治療を開始したところだったようである。

「重傷者から治療します!」

 姿を消した天使グエンと手分けしながら、まず重傷者の治療を行う。敵の勢いが強かったので、軽傷者はここにはおらず戦闘を継続しているようである。命の危険がありそうな者たちを治療した後は再び≪飛翔≫で陣の北側に向かう。



 まだフィウーノ軍は騎兵しかいないようだが、≪石壁≫≪炎壁≫が急に現れたことを踏まえて、少し北方に後退したようである。

 その隙をついて、今度はルングーザ公国の騎兵隊が飛び出していき敵軍に突撃している。

 そのあたりの駆け引きについてレオは良し悪しが分からないので、彼我の戦力差を踏まえたときに無謀なことを、と思ってしまう。そのため、その味方の騎兵隊の支援のためフィウーノ軍の北の方に≪爆炎≫を発動しにいく。

 結果的には、それが飛び出して来た味方の騎兵隊への追撃を抑止することとなり、味方は損害が少ないまま陣地に戻ったのが見える。


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