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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは人付き合いが苦手

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角兎へのリベンジ

次の休みには再度街の門のところでレオ、ルネ、ガスの3人が揃って待合わせをして、角兎(ホーンラビット)の狩りに向かう。

レオは片手剣と盾の訓練を冒険者ギルドで教わっていないが、ギルド職員の指導を怖がるのであろうことはガスも分かっていて、簡単なところは自分が実戦で教えるということで、この狩り決行となった。


今回も途中の森で簡単な薬草採取はしつつ草原に着くが、小川に向かうのも含めて、迷いも悩みも無くなった分、かなり最短経路で向かえるようになっている。体力がついて歩くのも早くなったのもあるかもしれない。前回の怪我のことを踏まえて、3人とも武器の扱いだけでなく筋力トレーニングや走り込みなどの体力向上も意識していたのである。


到着すると、まずは1羽、ルネが矢を当てて呼び寄せたホーンラビットに、手持ち武器にする必要が無くなったレオが短剣を2本とも投擲する。慌てて雑になったのか1本しか当たらなかったが、少しは弱って接近して来た兎に対して、ガスが盾の使い方の見本、片手剣の見本を丁寧に説明する。説明のために、当てられる片手剣の攻撃も当てずに、である。兎も自分の攻撃があたらず何度も盾に防がれているうちに体力が無くなったのか動きが悪くなったところで、レオに割り込ませて盾で防ぎながらのショートソードでの切りつけを体験させる。動きが悪くなった兎相手であり、思い通りにとどめをさすことができた。

やはり投擲メインの短剣より片手剣の方がかなり大きいので、それだけ自分の右手と敵との距離が確保できて安全を感じられることと、一撃で与えられるダメージが違うことも体感する。また、盾の陰から武器を突き出すのも切りかかるのも、重さを除けば短剣のときより非常に楽であった。

数回同様のことを繰り返すと、最初から兎の突進をレオが受けるのも練習するようになり、最終的にはレオのみで1羽を相手することも出来るようになった。


矢を射った後はすることが無くなっていたルネが我慢できなくなり、

「そろそろ2羽に再チャレンジしようよ。リベンジよ」

と誘ってくる。いつまでも1羽ずつというわけに行かないので、2人も覚悟を決めて頷く。

ただ結果としては心配するほどのことは無く、ルネの矢も基本的に外すことは無く、レオの短剣投擲も1本は当てた上で待ち構えられるようになったのと、ガスだけでなくレオも盾をある程度使うことで2羽を分散して対応しつつ、レオが片手剣に変えたことによる攻撃力の向上、そして全員の技量向上で空振りがほぼなくなったことにより、かなり安全に素早く2羽とも仕留められるようになっていた。

さらには、呼びよせるのに失敗して、隠れていた3羽目も一緒に来てしまうこともあったが、特に問題なく対処できるようになっていた。

「じゃあ3羽にもチャレンジ!」

と調子に乗るルネに対して、安全をみる2人は「今日はやめておこう」と抑止するのに苦労する。


結果、解体にも苦労するほどしとめることができたが、今までと同様の解体と選別では持ち帰ることができない。魔石、角、心臓と肝臓はまとめやすいので全て持ち帰ることとし、毛皮は傷の少ない物だけ、肉も食べやすく美味しい腿などを優先することで、1人30羽分ずつを持ち帰ることができ、おかげで1人当たり5銀貨以上の現金収入にもなった。


レオも盾と片手剣の組合せに少し自信を持つことができた。両親や師匠にもその顔色でそれは伝わったが、大人たちは余計なことは言わずに温かく見守るのであった。まだ魔法を戦闘に使えるほどになっていないことには悔しい思いはあり、少しずつ生成される水や火の大きさが増えていることを糧に魔法訓練も継続する。



しばらくは休みのたびにホーンラビットを狩りに行くようになった3人は、持ち帰る量を増やすことを考え、台車は途中の森で邪魔になることもあって諦め、荷馬を借りることにした。1日借りると1銀貨になるが、きっとそれ以上の効果になると期待して、である。人慣れしているはずの荷馬であるが、相性の問題か、せっかちなルネにはあまり懐かず、ガスかレオが手綱を引くことになった。体が成長しきっていない3人の背負える量に比べて、荷馬は狩った角兎全てをそのまま持ち帰ることも可能な運搬量であった。ただ、魔物や狼などに襲われた場合の賠償も踏まえると、今の経路以外に足を踏み入れることはなおさら回避することにした。


運搬の懸念も無くなり、3羽ずつの狩りも安定して出来るようになると、確実に収入も増えてくる。レオはガスの革鎧を羨ましく思っていたので、貯まったお金で自分の寸法に合わせた物を購入し、微調整をして貰う。それを見たルネも自分も、と革鎧を装備するようになる。少しだが重量が増えるのと動きにくくはなったが、怪我の危険が減ることを踏まえての導入である。

装備面も含めて初心者から初級者になったと思えるようになった3人は、冒険者ギルドにその上に進むための指導を受けに行く。


「そうね、ひとつ上というとDランク、鉄級冒険者を目標にするのが良いかもね。そうなるとDランク魔物を倒せるレベルとなるから、単に武器を扱える程度だけではなく、例えば武技の一つも覚えるなどその武器の習熟を上げるのが良いかな。罠を覚えたり魔物のことを覚えたり薬草・毒草を覚えたり、総合力で勝負する人も居るけど、君たちの希望はまずは戦闘力の向上なんだよね?」

「そうね、私はもっと上級の毛皮を入手したいから、強い魔物を倒せるようになりたいかな」

「俺も、良い武器を作るためには、もっと強い魔物との経験がしたい」

というルネとガスに比べて、特に強い目標があったわけではなく仲間を作るように言われて冒険者に成ったことを思い出したレオ。ただ今は、さらに習熟できて来た魔法についてもっと知りたい、今までの生活とはもっと違う世界をみたい、と思えている自分に驚く。

「じゃあ武器の習熟訓練を案内するわね。今までの初心者向け無料訓練とは違って有料だから、よろしくね」

と職員ににこやかに言われる。


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