「分岐」中編 2
お疲れ様です^^明日から仕事なので中途半端になってしまいましたが、優しい目で読んでくれると嬉しいです!
心の痛み、いや、痛みという一言で表現できる物ではない。とてつもなく、息苦しく、悲しみに耐えるのがやっとの思いだ。こんな気持ちを誰かは経験したのか。
静かに泣く事しか逃げ場がない。
だってもういないのだ。会いに行く手段も方法も、人物も存在してるかすら分からないのだ。
その心に響く重たい感情のまま、いまよぎった思考に考えを巡らす。
おかしい 誰のことだ?
おかしい、おかしいのだ。俺にはまったく記憶がないのに、何故か一瞬自動的に情報が入ってくる、いつも断片的でなんの役にも立たない。なのに心の痛みだけが何故か、入ってくる。
俺には何があったんだ 入ってくるのは記憶なのか じゃあ なんでないんだ
自分が何も知らない事に何故か血の気の引く思いだ。背筋に嫌な感覚が流れる、ある種の気持ち悪さと恐怖が合わさったような感情だ。
なんなんだ。辛い。辛すぎる。
「落ち着いて!どうしたの?なにがあったんですか?先ほどまで冷静だったのに……」
「やぁ……やぁめろぉ……喋らないでくれ 声聞くだけで辛いんだよ……なんで優しいんだよぉ……なんでちがうこえなんだよぉ」
意味がわからない、誰の声と俺は比べてんだよ。本当はこんなことするべきじゃないし、したくないけど、無理だ。堪えられ物じゃない。
「……何があったの?話してもらえる?何がそんなに辛かったの?」
「わかねぇんだよ……どうすりゃぁ…いいんだ……よ」
喪失感でもない、そもそも存在してるか分からないというフレーズが、重くのし掛かる。俺はそいつを知らないのに。
重いと感じる。やり場がなく床をみて俯く。
優しい声をかけられて、安心すると思いきや、怖くなるとは……
訳がわからない。何が起きたのか、逆におれが知りたいよ。今すぐにでも……
俯きそのまま啜り泣き、大泣きしてはの繰り返しだ。
彼女の言葉も後にしたい。きっと答えられない。希望がもてない、彼女に何が分かるのか、この気持ちが。さっきの映像が。
まだ俯き一人で大泣きへと変わろうとしていた。
そんな時だ 彼女は
彼女はいつのまにか、俺を抱きしめてくれていた、俺の顔を肩に寄せて、ギュッと抱きしめてくれている。
涙でスーツが濡れてしまう。それなのに、受け止めてくれてる。
泣いていいよって……
片方の手で俺の背中を優しく……
肩に顔を被せて気づいたら大泣きしていた
スーツが涙で濡れて、布の独特な匂いが、余計に心に響いてとても寂しくて、つらくて。
情けないくらい震えてないてしまった。
止んでは泣き、泣いては止んで、少し長い時間が過ぎた。それでもまだ、外は明るく、空間を照らしていた。外の景色を見る気分ではなかったが、抱きしめられる安心感が、景色に美しいと感じる余白を作ってくれたのか
「ちょっとは落ち着いた?」
子供が怪我をして問いかけるお母さんのような優しい声で、そう語りかけてくれる。
まだ、落ち着いてはいないけれど……
抱きしめられると凄く落ち着く、心の行き場を用意してくれてるんだ、だから凄く安心して泣けてしまう。
だから言葉が漏れてしまう。
「頭の中に映像が流れてきたんです……いきなりでした、それでも何が何だか分からない映像で。僕の妄想かもしれないんですが、鮮明すぎて」
「……うん そっか 良いよ ゆっくり話して……」
彼女は俺を抱きしめたまま、そう言ってくれた。
そんな声にまた、安心させられる。
心の行き場を与えてくれる。ここに全部ぶつけて良いんだ。そんなふうに思わせてくれる、それはとてと悲しくて優しくて安心して、また涙が出てくる。
そんな彼女になら、解決できるかもしれない、あの映像のことがわからなくても解決しなくても、心のつらさは軽くできるのではないか。また希望が持てるのではないか。
そう思うとホッとして、スラスラと言葉が出てくる。
「まず始めに…出てきたのが…誰かの声だったんです。 その声は誰かを呼んでいて、とても、切ない感じがしました。その時はまだ、今のように辛くはなかったんですが、切なさは強く感じました。」
「うん……いいよ……続けて…」
「それで…その誰かの声が頭に消えたと同時に、映像がでてきた。出てきたそれも訳がわからなくて、丸い大きな球体が何個も集まっていて、球体の中に宇宙があるような感じの描写が入ってきたんです。」
「……そっか…」
「球体の映像だって何を意味するのか全くわからないんです。もしかしたら本当に全てが妄想なのかもかもしれません……」
あ……まただ。心が苦しくなる。そのせいで言葉が途切れる。
「いいよ。ゆっくり話してね」
思い出すたびに、寂しさが広がる。
彼女のおかげで感情に余白が生まれたが、その余白を息苦しい寂しさはじわじわと埋め尽くそうとする。
まるで甘え過ぎだと言うように。
泣きすぎたせいで、鼻水でスーツがめちゃくちゃになっていた。流石に嫌だよな。なんて、感情の波に飲まれるまえの短い時間に呑気なことを考えるものだ。辛さを舐めてるとしか言いようがない。
今の俺の思考もそうだろう。
スーツにつく鼻水を気にして、彼女の顔を伺ったが、美しい茶髪の髪と横顔の輪郭しか見えなかった。
その姿が今涙をさそう、一つの要因になるのだった。その見えない横顔が美しく切なく見えて。
それでまた、泣いてしまう。
本当にガキのようだ。
泣いてる最中に優しく語りかける声が聞こえた、彼女の声だ。
「あなたが見たのはね それは妄想なんかじゃありませんよ その球体はね この世界の点がいっぱい詰まった場所のこと 宇宙がペラペラ漫画のようにそこに詰まってるんだよ なんで あなたがそれを頭の中で 見せられたのかは分からないけど 実際にあるの だから 妄想じゃないからね 安心して」
「誰の声かはわからないけど その声の特徴分かる?……なんて言ってたか分かる?」
情けない声が口から出るのを抑えるの必死で、答えに時間がかかった。
喉につっかえる痰が咳を誘う。
「コホッコホッ……ぐ……スッ…スッ」
そんな俺に背中を優しくぽんぽんと叩く彼女の手触りに泣きそうになりながらなんとか必死に堪えて、。
「ルノン……って 話が長くなるけど……許してくださいって言うような事を言っていました….」
「………」
それを伝えた瞬間、彼女の抱き締める力が強くなった、そして抱き締める片方の手が頭に触れる
「ごめんね…私のせいです……あなたに負担をかけちゃいましたね……ごめんね…あんな痛みをもう一度経験させて。私は……貴方にこうして……私は本当に大馬鹿です。」
「へ?いや違いますよ。貴方ではなくて俺の頭のせいですよ?」
「……違うんですよ。貴方が見た映像は私の頭の中のものなんです、貴方は普通の人より少しだけ、見えないものに敏感な体質でこちらに召喚されました…その副作用のようなもので……人の思考や感情を受け取る感受性の範囲が広範囲なんです…それを私は知っていたのに……ごめんね……そりゃね、泣きますよ……」
「貴方はこんなに辛い状態で生きてるんですか……」
信じられない、毎日こんな感情が続いて生きているのか?俺なら死んでると思うこんなのがずっと続いて生きてるなんて、生きてる方が拷問じゃないか。あり得ないだろ。
「違いますよ 最初だけです 貴方が経験したのは、私の記憶を通じて過去の「点」とリンクした感覚。ですから、その頃の痛みを直に感じたんです。」
「……」
「あ、ごめんね……大丈夫?まだ辛いよね?大丈夫だからね」
俺の無言に勘づいた彼女は、俺の頭をゆっくりと撫でる。相変わらず優しい手つきだ。
はぁ。彼女に聞きたいことが増えたな、
けどもう今日は疲れた、このまま寝てしまいたい、でも、もう明日にはきっと彼女には会えない気がする。
あの老人の元に戻るのだろうか。
疲れた感情で、寝てしまいたい欲に負けそうになってるとはな。
欲に忠実じゃないか。もう少し我慢できないのだろうか、俺は。
少し安心して余白ができると甘える癖はどうなのだろうか。自分に対する羞恥心と嫌悪感が入り混じる、これも余白ができたからだ。本当に甘えてるとは。
俺にそんな余裕があったとはな。
「明日も貴方に会えますか?」
嫌悪感を感じながら、そんなことをよく聞けたものだ。
本当に俺には呆れるな
疲れた心に眠気が勝るなんて。
もう立派な大人なずはのに………
彼女の返事を聞けずに意識がおちた。
小さな体に力が抜けてもたれかかる彼。
こんな彼を見るのは初めてで新鮮ですね。
悪どい考えが自分に湧いてちょっと驚いたけど、小さくなっても頼りないところもあんまり変わりませんね。夕日が、彼の体と顔を少し照らす。
もう、結構時間が経ってたんですね。
小さくなったら彼を抱き抱え窓の方の椅子向かった、そこでの景色は夕日にあたって影を作る雲が独特な雰囲気を出していて、自分好みな風景、その風景を見ながら、残された時間が少ない事を思い巡らす。
ゆっくりしてくださいね……ルノン……
ですが、あまり時間がありません。
伝えなければいけないことがあります。
夢の中でお話しする事にします。
それまで、ゆっくり休んで下さい
そうして自分のせいで疲れてしまった彼の頬を撫でて。抱き寄せた
ルノン……貴方を苦労させる道に進ませてしまって申し訳ありません。
本当にお疲れ様です^^
お読みいただきありがとうございます!
感想もいっぱい参考にしたいので、ぜひ書いて下さいね




