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お疲れ様です^^


お疲れの中、興味持っていただけて嬉しいです!


是非読んでいって下さいね!

 金髪の男の掛け声と同時なのか、それとも、動き出した瞬間に言い出したのか。

 掛け声の間に、その巨体が動く、それに対する恐怖と掛け声の切迫感、生存本能に身を任せ、一直線に森へ入った。


 その出来事はほんの数秒なはずなのに、やけに長く感じたな。


 なぜこうなったのか、を脳内で処理しながら、逃げる。


 見えない後ろに狭まる距離を感じながら。


 その見えない恐怖と追われている恐怖が合わさる切迫感、その恐怖に更に追い風を与えるような音が背後からきこえてくる。その音は不気味に地面と空間に響く。

 低くも高くもない音だ。あの生物が音源なのかは分からないが、きっと、そうなのだろう。


 その恐怖は上がる体温を感じさせない。


「なんでこうなるんだ!」


 必死になりながらはしる俺は、その辛さからか隣からの声が耳障りに聞こえる。

 金髪の男からだ。

 

 その声は焦りも相まってるからか、多少なりと迫力を感じる、今の追い詰めらてる俺には響かないが、普段の俺を圧倒するには充分な声だと思う。


 今も流れる思考は、この状況には必要がないことだ、恐怖の割に、無駄なことを考えられる余裕があるとはな、油断以外の何者でもないんだろう


 嫌な予感がする。


 この思考が止まる時は、死を間近にした時とは察しがつくが、そうなってはもう終わりなのだ、

  

 運に任せるしかない状況など、死んだも同然だから。



「はぁ…はぁ…はぁ」


「っ!!」



 森の中だから当然な話だが。



「ちくしょっ、なんでこんな邪魔してん来るんだよ!」


 平らな道がいつまでも続くとは限らない


 木の根も有れば草もある、坂もあれば、

 段差もある。


 当たり前の話なのは分かるが、それが誰かの意図があってなのかと、殺意が走るのは、俺の悪いとこだろうな。


 地面にある木の根を飛び越えながら、そんなことを思う。


 一本一本の根が逞しく、大きい、この体で飛び越えるには、多少なりともよじ登っていかなくてはいけないものも先に見える、そして今ぎりぎり、手をついて、素早く前に進めたが、

 その状態がいつまで続くだろうか


 この先に見える根を越えるのに、今のスピードを維持できるだろうか。


 淡い期待が心に滲む。


 そんな自分を否定しそうになるが、

 恐怖に身を任せて、思考を後にする



「飛び越えるぞ!!」


「ッ!!」


 飛び越えるなんて、無茶言うなよ!


 お前はそれで、先に逃げれるかもしれないが、こっちは訳が違うんだよ!


 俺のことも考えろよ。


 置いてかれるかもしれないじゃないか


 置いてかれたら、俺が1人になってしまう


 それは嫌だ


 いつも通り俺はクズだな。彼に対する自己中心的極まりない「怒り」は収まらず、殺意になりりつつあるが、考えないようにしなければ


 暗い感情を理性で制御する。


 だが、理性など、必要はなかった。

 迫り来る、死の恐怖が、意識に自覚をさせるからだ。


 案の定行手を阻むように、鎮座している根とその後の段差に、無駄な時間を費やす。


 無駄な動きが顕著にクローズアップされる、

 自分の不器用さをこの時初めて、まじめに恨む。 


 普段から、練習をしておけばよかったと


 何をなのかは、今考えられない。


 早くしなければ。


 今は目の前のことに集中しろ。いいな。


 生きるんだ。、死にたくない。


 登りにくい、大きな木の根だ、掴む場所は点々としているが、登るのに適したものはなく、ほとんど意味がないものばかりだが、必死の運動神経で、登っていく。無駄な時間をかけているのかもしれないが、やるしか、最善が思い浮かべられない。


「はぁ……はぁ……」


 自分の呼吸の音が、普段より大きく感じられる。

 体力はどれくらいもつだろうか。


 木の根をよじのぼっている最中に考えるのは、登るのにかけている時間と、脅威の距離だ、

 体温が下がるのを感じる、


 俺には、自制心なんてかけらもないんだ。

 死の間際でさえ、無駄だとわかっていても、

 非効率だとわかっていても、。


 後ろを振り向いてしまう。


「やばくねぇか……?」


 なんとも微妙な距離だ、ここから見えるその、大きさは、最初のそれよりも小さく見えるが、

 やつの追ってくるスピードは分からない訳で……


 結局油断はできないし、逃げるしかないんじゃないか。



「くそぉ……もう……やめてくれよ…」



 なんとか根をよじのぼり、段差を超え、

 離れてしまった、金髪の男の方へと走る。


「はぁ……やっぱり…あんたも」


 俺より先に走る男の姿が、やけに滑稽に見えた。

 


 自分のことしか考えないタイプかよ。

  

 俺の言えた事じゃないけどな。


 なんてな、アイツがどう思ってるかなんて分からないのにもかかわらず、よく言えたものだ。


 あの男が今どんな顔をしているのか、拝んでみたい気持ちがある、期待するように男の後ろ姿を凝視しながら、ただただ、恐れ慄き走る。


「ん……何をしてんだ?あの金髪……」


 金髪の男は一瞬不可解な動きをした。

 不自然に腕を平行に胸前にもっていき、手首の辺りを視認した動作だ。なんだあれは?


 淡い期待が胸に宿るが、そんなことではないだろう。期待しない方が良い


 と思い思考を霧散し、走ることに集中しようとしていた時だ。


 先に走っていたその男は、俺との距離を走りながら、縮めてきた。


 見間違いか、体力の限界なのか のどちらかだと思っていたのだが、あまりに、落ちすぎであり、意図的なものだと分かった、今現時点で…


「大丈夫か?」


「ッ!あ、はい!大丈夫です!」


「お前の様子を見ながらじゃないとな、単独行動が主だったから、それになれちゃってな、すまん」


「あ…いえいえ…はぁはぁ、大丈夫です」


 おっと、ぼーっとしすぎた。外界に意識を集中しなければ。まさか、気づかないとは…


 そっと、後ろから声をかけられたのにはビビった、。


「なぁ?一つ聞いて良いか?」


「なんでしょうか?」


「お前が起きた時間が、11時っていったら、驚くか?」


「そんなに?夜明け早くないですか?」


「……そう…だよな?」


 晴れてきた霧が、奥の視界を封じている。


 それが今になってやっと気づいた。


 霧が発生してるのか…


 一瞬に戸惑う思考は霧の自覚として変換された。 

 

 あまりに早すぎる、夜明けがこんなに早いことなんてあるのか?


 記憶喪失の中に残る違和感が、恐怖を訴える


 なにかがあると、だが、別の思考も浮かぶ、


 錯覚だと、。


 早いも遅いも人の感覚でしかありはしないし、時間が感覚と必ずしも一致しない。


 だが、ずっと起きていられている、この男は不思議だ、11時から、朝までずっと起きて通せるのか?


「あの……」


「俺はあれから寝てないんだが、やけに、眠気が来ない、そして、俺とお前が感じていることは一緒だ。」


「『あまりに早すぎる』お前もそう感じるだよな?」


「え…あ…は、はい…」


 俺がまさに知りたかった事を、正確に述べてくれた、感謝するよ。そのおかげで、冷気が走ったよ、走る分には良いが…


 それは詰みじゃないよな?

 それに答えるように、真面目な声が響いた


「あの化け物一匹だけとは考えにくいな…」


 分かっちゃいたよ、詰んだってことは、反射的に笑っちまった。反射的に聞いてしまった。


「はぁはぁはぁ…どういう…こと…です…か?」



 そんな質問に意味がないことと、答えを俺はしってしまった。空に浮かぶ一瞬の影、見間違えではなかった事が、皮肉にすぐ答え合わせをしてくれる。


 はっきりと見える、その正体


 そしてその数、


 その生物が姿を現したと同時に、地面の揺れを感じた。


 神秘的なその姿、美しい植物と神々しい、緑光を放ち、白い閃光が、ずっと奥から雷光のように、存在を主張している。そしてあらあらしい音が地面を揺らした。焼け野原を知らせるのには、あまりに、分かり易すぎる。


 逃げている方向にそれは現れたが、まったくこちらに気づいてはいないのが救いだ。



「ほほぉ。まじかよ。あいつら、なんで……くそ」



 息を切らしながら、奴らとは正反対の方向に逃げる。


 森のずっと奥を意識して、ずっと走る、ずっと奥に見えるのは、走りにくい立ちが広がっていて、必死の怒りが芽生える、利己的な怒りとはこのことなのだろう


 背後の存在が気になってしまう。大丈夫だろうか。距離は取れているだろうかと。




「はぁはぁ…あいつは追ってきて……」


 背後を見てその存在を視認しようとした時、嫌な推測が頭によぎる。


「これ……あいつらに気づかれないよな」


 そして、改めて彼らを目に映す。瞳孔が開く感覚と息が詰まる感覚が、スローモーションだ。


 口は乾き


 発する声も とても 乾いたものだった



 あ



「やばいです」



 静かにそう伝えた。

 詳細はいえなかった

 余裕がない


「あのやろう、ここにぶち込むのかよ!」


 金髪の声が聞こえたが


 正直



 逃げれるわけがないとおもった



 白い光が眩く光った


 何秒だっただろうか



 聴覚は耳鳴りのみが、支配し、視覚は光に塞がれた。


 あっけない最後だな、まったく楽しい思い出がない人生だ。


 ああ…一体何しに生きてたのか…


 そうは思うが、どうせ最後だ。


 何しに生きてただとか、意味だとか


 もう、どうでもいいじゃないか



「まったく、さわがしいな〜君は」


 

お読みいただきありがとうございました^^

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