「拒絶」
それよりか……
「そんなんすね。ところで、インナー・シュピーゲルってなんですか?」
そっちの方が気になるという、なんか変だな俺も、少しは話に合わせたらどうなんだよ…
「インナー…シュピーゲル…なんだそれは、聞いたことないな…」
ん?そうなのか?名前を間違えているのだろうか。
俺の聞き間違いか?その時の記憶を思い出す、
うむ。だいぶ焦ってたしな。聞き間違えかもしれない、まぁいいか。、
「あの植物状の獣はなんなんですかね?」
苦痛か……苦痛を司る……なぜだろう…何故苦痛を司るのだろうか、そもそも、何故龍はそれ通じているのか…根本的に苦しみとは、何故存在するのか…
そんなことを聞いても、彼は知らないとでもいうのだろうか。
そう獣の正体に疑問を持ちながら、
「天帝」の使いの役割、つまり、俺に与えられたであろう役割について、疑問に思う。
不思議だ、苦痛を司る役割を与えられたと知らさせれても、俺は今も何も感じないままだ、実感がないだけなのだろうか、思考も心も靄がかかっているような感覚だ。
今だけだったりしてな。
「緑の獣……デュアリティか……それも記憶にないのか……とは言っても俺も、何もわからないんだよなー、突然現れた存在だから、いまだに何もわかってないことだらけの生物だからな…」
「……デュアリティなんですね……」
「まぁ、50年くらい前に深海で見つかってな、その時は微生物しか見つかってなかったようだが、デカいのが突然出てきたらしい。」
「……」
「まぁ、何かしら、デュアリティを見つけた研究機関が、何かをしでかしたとか、噂があるが、俺もよくわからんよ。一応、国は否定してて、深海の未到達だった領域に、生物がいたとされる、それは微生物から、より大きな多細胞生物に至るまで、種類は多い、まだ見つかっていな種も多いかもしれないとしている、まだ未発見のものも含めた、その新発見の生物の総称をデュアリティと呼ぶ……大丈夫か?」
「大丈夫です」
なるほどな。デュアリティか、あの老人そんな感じで言ってたっけ?イントネーションがちがう気がするけれど、、そういうこともあるのだろう
きっと俺の、勘違いだ。
だが、デュアリティという生物は、他の生物とは一線を画している。生物の持っているスペックが違いすぎる。
何故あんなにも巨大になれる。地面そのものようだった…
「そうか、続けるが、理解しにくかったらすまんな、その生物は、それだけなら、そこまで、大したものではない、が、問題なのは、人を吸収する…ってとこだ。他の生物は襲わない、人間だけを襲う点だ…そして異様に生物として強すぎる、まるで、神話のそれだ。ああ…神話ってのは、まぁ、聖典だ、名前は存在しないが、昔の人が書いた、神だとか、創世だとかそんなことが書いてある。そこにあるデュアリティって生物と似ててな、名前もそれ由来だ。」
聞くも嫌な話だ、人間だけとはどういうことだ、他の生物はおそわないのに人間だけか…
あと、神話…か……
神話…聖典……
神話という言葉に拒絶反応がでてるのにもかかわらず、脳内に何度も響く。
まさか…あの夢に関連があるのか?
血の気がひく、マジか…あれが、本当にあるのか…いや、そんな、バカな…俺の記憶なわけが無い。
夢の全貌は見れなかったが、あの後味の悪さ、あの苦しみ、彼女…死……あんな悲しみ、二度と経験したく無い……のに
「……ん?おい…おまえ…汗すごいな…暑いか?」
「だ…大丈夫ですよ!ちょっと暑いっすよね 」
そう適当に返し、焚き火を見て考える。
未だに恐怖が治らない……はぁ、いやだ。いやだよ。
縋るように思考を進めた、
でもだ、夢の中のやつは、大人だったはずだ、ガキではなかったってことは……
いや、もしかすると何かしらの原因であるのかもしれない
だが、それは考えすぎだろう。そんなことは万が一だ、現実的に見たら低い可能性だ、
きっと違う、俺の記憶じゃない。
ホッとするが、その感情の裏にある恐怖は勢いを緩めてはくれない。
油断できないのだ。すぐ目の前に押し寄せてくるのだ。
「ふぅ……」
「……押し寄せくるもんだよなー、どうしようもない恐怖、落ち着けるわけないが、そういう時ほど、客観的になりたくなるものだよな…」
「自分のペースで危ない綱を渡りきれば良い」
まるで、俺の心境を見られているよな、妙な安心感を感じた。
そうすれば、大丈夫かもって、そう思ってしまう、一時的な安心感なのだろうけど。
「….お…もうこんな時間か…」
金髪の男は空を仰ぐ
「朝か……なぁ、俺が思うに、昇りかけの朝空が一番綺麗だと思う。」
俺も縋るように、安らぎを期待するように
空を見上げる。
朝日は見えないが、
霧が空に行くせいか、淡く光る空は確かに芸術的だ。
朝の涼しさが余計に清々しさを感じさせて、水色と緑が混ざった色の空に、自然の神聖さを感じさせる、包み込まれるような感覚になり、一時的な前向きさを与えてくれる。
そしてその、広さだ。立体感のある、視覚作用かは知らないがどこまでも続いてるように思わせる。
恐怖で塞ぎ込まれていた心の壁を透き通すような開放感と、心にドッと疲れを 同時に感じさせる。
少し休んで良いだろうか…
「色合いが綺麗なのは水蒸気のせいかな?」
そうやって、呑気に心を奪われていた時
「おいおい、ちょっとまってくれよ……」
「え?なにがです?」
とぼけた言葉発した俺だが、すぐにその言葉の意味を理解した。
まだ、影を作っている樹木の上から顔を覗かせている化け物がいる……
「そりゃねぇだろ……」
つい言葉にしてしまう。
「ずっとそこにいやがったのか?このデカブツは?」
金髪の男が、そんな恐ろしいことを言う、
だがそれはないと思った、焚き火で気づかれているなら、もうとっくに別れを告げているだろう、この場所にも命にも。
なんて言っている場合じゃない
それは異様に不気味な恐怖心を与える、
それはその、無駄というには、まだ、デカすぎるほどの巨大がそう思わせるのだろうか。
それとも、霧が濃く、影が全貌を隠していいて、詳細が見えず、不気味に光る円形の二つの眼光が、こちらを見ているからだろうか。
「きっと全てだ……」
それが、夢の中の最悪な描写に出てきた奴に似ていても。
これは夢どころじゃない。
そう割り切れた、夢の悲しみの恐怖より、
生からの離脱の拒絶が、
本能的な恐怖の感情に分配が大いに上がった。
悲しみを残し、生存本能へと拍車がかかったのだ。
まるで、他の感情を押しのけるような感覚、
心の空間を生存本能が満たすのだ。
決して消えないのだがな
なんて奴だ俺は。
逃げなくては。
「森へはいれ!!!!」
そう金髪の男が叫ぶ
一日お疲れ様でした^^
お読みくださりありがとうございます!!




