インナー・シュピーゲル 発生 「記憶」
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この小説のページを見てくれて本当にありがとうございます!
是非読んでいって下さい!
この小説で何かの糧になる事を祈っております^^
その後、しばらく沈黙が続いた
けれど彼女はこちら向きに横になって、黄緑色に光る小さな芝を見て微笑んでいる。
本当に不思議な女性だ……
自分の方を向いて横になる彼女に、少し緊張する
景色の方…向かないかな……
なんて思うけれど、自分勝手だな……
彼女はただ、よこになってるだけだ、あっちをむけだなんて思うべきだろうか
僕は気にせずに空を眺めていれば済むことじゃないか。
そう思って暗くなりかけの空をみる
いつもなら綺麗に見えて夢中になるはずだけど……
「……」
気にしないようにすればするほど、気になる
彼女を見ないように意識すると、自分の隣に違和感を感じてしまう。
我慢しろ…我慢してたらそのうちに気にしなくなるはず。
そして彼女の方見てしまう……
「あ……見ちゃった…まぁいいか…」
「……」
彼女を見てしまったが、その目に映したのは彼女のよこ顔だった。
なんだ、もう見てなかったんだ。
ちょっとだけ胸に針がさされたような痛みがおそう。けどいつものように、そんな気持ちを押し殺し、今度は純粋に彼女をみる、風に靡く髪そして、常に穏やかな優しさを感じさせる、彼女の雰囲気……
「……凄いな この人……」
なんだろうか、言葉に表しにくいこの感情は
愛とだとか恋、いや、そんなものではない、でも、彼女にしか感じたことのないこの感覚。
それは彼女から放たれている雰囲気がそうさせる
そんな不思議な感情に引き込まれるように、自分の目は彼女を離せなかった。
何故こんなに切なく寂しく美しいのか、とても美しいのに、何でこんなに切ないのか、切ないのに何故引き込まれるのか。
「よぉ?お楽しみの中悪いんだけどさ……」
声が聞こえて来たのは、僕のちょうど上方からだ。その声の調子から何か面倒なことが起きたって事がなんとなくわかってしまう、ドシッと体が重くなる、まさか自分が何かしたんじゃないのだろうかと……
横になっている姿勢を崩し、礼儀よくその男の前に立った。
「どうたんですか?」
「いや……あいつがさ……資料無くしちゃって……探すの手伝ってくれない?」
この男は僕の同僚だ、深海に新たに発見された生物の危険性だとかを調べてる学者だ。僕と同じ研究をしてる。
あいつとはきっと、生意気なあいつだ。有能なところはあるのに、こういうミスを良くする。
行きたくないけど、大事にかかわることだ……
待てよ。別に行かなくてもいいのかも……どんな資料かわかれば行かなくたってよくなる…かも
良くないの分かるけれど……今は彼女といたい
「どんな資料なんですか?」
「まあ、あの生物に対する新たな知見って奴、あの分厚いページの4枚が消えたんだと……そのうち1枚見つかったけど、まだ3枚ある。ただのまとめだけど、上が言うには重要らしいといってた。結構ヤバいしサボってたお前もヤバい。俺もな…」
「や、やるな、やばいじゃねーか」
軽い口調で返したけど、心中めんどくささが増大してる。
マジで言ってんのかよ。
まとめなんだから、大したことなのにな、あのハゲもハゲでおかしいんじゃないか
「だから行ってほしいけど、大丈夫か? 俺はちょっと違う用事があって無理だけど頼める?」
「ああ……いいよ……」
ちょっとまってくれ、というと、僕とあの人で探すのか、無謀なんじゃないのかな……
長くなりそうだな…彼女が帰る前にここに来れるだろうか……でも2人なのか……
「他に候補…探してる人はいないの?」
「今ちょっと忙しい時期なんだと思う。みんな他の仕事があるから、いないな。だから、あいつとお前で探すことになるけど……」
「そうか……でも…厳しくないか…あれと僕とでは、無理なんじゃないかな?」
「まぁ……そうだな…でも…とりあえず探すしかないな 面倒なことは嫌だろ?」
それはそうだが、僕にだって事情がある……
サボってたけどね。そんな奴が何言っても信用はないよな、やるしかないか。
「まぁ、そうだけどね。」
「あ!あとさ、弟さんがお前を探してるところみたんだけど、どうしたんだ?」
「ん?そうなの?あいつが僕を探してたの?」
あいつが僕を探すのは日常的に起きてることだ。
「いつものことじゃない?」
「いやまぁ、弟だけなら気にはしなかったけど兄貴も探してたぞ?お前なんかした?」
何かしたとかと聞かれると不安になる。なにかしただろうか、悪いことはちょっとしてるけど、それがヤバいことに繋がるようなことはしてないし、大したことじゃないと思う。
それに今日したことと言えば、仕事をサボりここで横になってただけだ。
だけどなんか不安だ…
「まぁ、あれだな、お前にも事情はあるとは思うけど、仕事優先だぞ?金もらってるからな。」
「でも、気になるな僕を探してたんだろ?ちょっと帰ろうと思ってるんだけど?」
そう言いながら、彼女といたいと言う気持ちが強く話を切り上げようと僕を動かす。
嫌な不安も僕を襲うけれど彼女と今離れるのが嫌だ。キリのいいところで……離れたい。
彼女に悪い印象を与えてしまうのが嫌だ……
自分で見てて呆れるけど、心に嘘はつけない
「そんなの関係ないんじゃない?お前その子といたいだけじゃないか?言うのもなんだが、それは話が違うし開き直るのもどうかと思うな?
まぁ、俺の勘違いかもしれないけど連絡取ってから、決めろよ?行く必要なくないと思うよ?」
「そんなんじゃないよ。それは彼女に迷惑だろ? 早く行けよ?仕事だろ」
「はぁ……図星だな俺からしちゃ……でも人に押し付けるのは違うぞ!行くけどさ!」
そうやって1人車の方に背を向けて走っていく
その背中に夕日が反射して白衣がオレンジ色の白に光る、その背中に後の面倒ごとを思い起こさせられる。
「はぁぁ……」
「おい!!!お前だから言うけどさー!!!」
「ん?おう!!どうした?」
「ちゃんと早めに連絡とれよぉ!その子に夢中なのは分かるけどさ!!後悔しないようにな!」
「んな、大袈裟な……」
いちいち遠くからいうことじゃないって…
わざわざ振り向いてまでさ
「そんなんじゃないよ!!!」
「わるいなー!!」
その一言を最後に彼は車を走らせた。濃いブルーの車だ、寂しげな色だけれど彼にあってるな。呑気なやつだけどね。
そんなにクールなやつじゃないか。
「……」
だが車の方に振り向く前に、最後、彼が口を動かしたのが分かる、何を言っていたのだろうか。
聞こえなかったけれど、このやりとりに大事なようなどないだろう。
あのやり取りのせいなのか、彼の気遣いなのか、少し心がスッキリしたな。まだ、明るい水色の空を見上げてそんなこと思っていた時
「優しいよね」
「え?」
いままでのやりとりの始終を見ながらその輪に入ってこなかった、彼女は、いきなり、そう言葉を紡いだ。
「……優しい?」
「うん!……彼……」
「ぇ…ああ…まぁね……」
「職場ではどんな感じ?」
「……気になるんだ……「おい!!!兄貴ー!」
なんで、こんなタイミングでくるんだよ。
都合良すぎだっての、狙ってやがったのかあのガキ。
落ち着けよ。実の弟なんだぞ。
急な利己的殺意が襲ってきた。なんてやつだ。僕は。
「どうした?ずっと探したらしいけど?」
平然と演技ができる器用さは嫌だけど、助かった。
車に乗る前にあの器用な同僚に言っておかなくては。車に向かう最中彼のことが気がかりになる
今の彼の心は彼女に引っ張られている、その感覚は執着と呼ばれるものだ。あまりに周りが見えなくなる、そのことに気を取られすぎてだ。
だが、彼は器用だ、感情を上手く一掃できるような人物だ。
「まぁ良いか ってな」
だが全てそれで通じるわけじゃない。
「同じことは繰り返すなよ」
俺が言えるのはこれが限界だな……
ご苦労様です^^
本当にありがとうございます!




