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人造魔族②

また、延びてしまった。




◆プーリ侯爵軍 本陣 テント



「人造魔族、だと?」

「ああ、アタシ達のトップが直々に調べたんだ。間違いないねぇ」


 プーリ侯爵軍の本陣にてそう言ったのは、フリン公国の貴族にして侯爵軍の現No.2のカリウス・プーリである。因みにトップは、現公王の妹であるフィナロムス・フリンだ。

 現在カリウスは、テントに入ってきたカゲマサの部下の魔女風の美女ミレンダからカゲマサとギオに襲い掛かってきた人造魔族について報告を受けていた。


「して、その人造魔族とやらはどうしたのだ?」

「辛うじて生きていたから、アタシ達の方で情報を吐かせるつもりだよ」

「ふむ、分かった。フィナロムス殿下には、私から伝えておこう。何か分かったら報告を」

「はいはい」


 そう言ってミレンダは、テントから出ていった。その後ろ姿を見送りながら、カリウスは思考し始める。


(人造魔族か。これは、敵方の新戦力の可能性が高いな。考えられるとしたら、あの魔導士辺りが造ったものだろう。全く、厄介なものを造ってくれたものだ)


 そこまで考えていたカリウスは、別の思考に切り替える。


(カゲマサ一派め。奴等、異常な程の戦力を持っているな。最早一個人の持つ戦力を軽く越えている。報告を聞いた限りは、英雄級の実力者が数人在籍している。おまけに十人程の異形の巨漢もいるのか。フィナロムス殿下が警戒なさるのも分かる。だが、我が国に取り込めばこれ以上無い軍事力を手にできる。何より、我が愛娘のカナベールが奴等を気に入っている。全く気に食わ・・・・ごほん。奴等を我が国に引き入れれば、カナベールも喜ぶだろう)


 その後カリウスは、カゲマサ一派に対し警戒しつつもどうやって彼等を引き入れるか考え始めていた。
















◆カゲマサ一派 夜営地



 ミレンダがカリウスに報告している時、カゲマサ一派がいるスペースでは、血生臭い匂いが漂っていた。


「ゆ、ゆるして・・くれぇぇ」

「いてぇ、いてぇよぉ・・・・」


 そこには、縄でしばられ血塗れになりながらも必死に命乞いをしている人造魔族二人がいた。


「だまれ、貴様等ゴミに生きる価値は無い。今すぐ死ね」


 二人を血塗れにしたのは、金髪の髪から二本の角が生えている女性で元魔族のジ・キラーである。キラーは、二人をゴミを見るかのような目で見ている。そんなキラーの後ろで作業をしているのは、キラーの上司カゲマサであった。カゲマサは、二人から引き出した情報を整理していた。


(なるほど、何処からか持ってきた人間を洗脳。そして、モンスターのパーツなんかを移植。最後に魔力を注ぎ込むことで人造魔族となるのか。強さは個人の素質による、ねぇ)


 下級兵士だからか、曖昧な情報しか手に入らなかったことに俺は、ため息を吐く。


(そういえば、キラーの奴必要以上に痛め付けてないか?)


 俺は、未だに人造魔族二人を蹴ったり殴ったりしているキラーを見る。


(ああ、あれが関係しているのかな?)


 実は、キラーを魔人にした折り、カゲマサはキラーに戦争に参戦した理由を聞いたことがあったのだ。答えはというと。


『このフリン公国に魔族を侮辱した魔導士がいる』


 そう言っていたのだ。その魔導士が何をしたのかは今まで謎だったが、キラーの様子を見る限り勝手に魔族のパチモンを造られて、憤慨している感じか。


「キラー、情報まとまったしそろそろ殺していいぞ」


 俺がそう言うと、キラーはニタリと笑いナイフを取り出す。それを見て人造魔族二人は、再び命乞いを始める。


「ま、待て!いや、待ってください!殺すなら俺じゃなくて舌野郎を殺してください!」

「なっ!?てめぇ!!」

「俺は、貴方様に従います!!忠誠を誓います!!だから、だからどうか命だけはぁぁ!!」


 うわ~、信用できねぇ~。簡単に仲間売る奴は特に。


「キラー、殺せ。肉は、そこらのモンスターの餌にする」

「お任せを!」

「ヒィィ!!や、ヤメロォォォォ!!」


 こうして、二人の人造魔族は始末された。
















◆フリン公国 ヤーレラ城 宮廷魔導士団執務室



 フリン公国ヤーレラ城では、魔導士ジメイが水晶玉を見ながら思考を重ねていた。


(ふん、少しは情報を取れるとは考えていたが、甘かったか)


 水晶玉には、殺された二人の人造魔族が映し出されている。


(所詮人造魔族兵の中では下層の奴等だ。幾ら失っても痛くない。成果と言えば、死んでエネルギーとなったことか)


 ジメイは、水晶玉の映像を消すと椅子にもたれ掛かる。


(ふむ。戦力の運用は、下級兵士の人造魔族を囮に中級兵士の人造魔族を裏手から進軍させるか)


 その後もジメイは、目的のために思考を続けていった。



 そして、夜が明ける。

 いよいよ、プーリ侯爵軍による首都ツンドルン攻略の開始である。


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更新延びてしまってすいません。

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