人造魔族①
また遅くなってしまいました。申し訳ございません。m(_ _)m
◆首都ツンドルンへの道 道中
演説を終え進軍を開始したプーリ侯爵軍。最低限の守備兵を残して民衆から義勇兵や投降した兵士を組み込んだお陰か、総勢二万の軍勢となっていた。そして今現在、フリン公国の首都ツンドルンに進軍するプーリ侯爵軍の一角にて、ある一部隊を率いるカゲマサ一派の姿があった。
「・・・なあ、ミレンダ」
「・・・なんだいカゲマサ様?」
カゲマサこと俺は、馬に乗る魔女ミレンダに声を掛ける。
「俺達は、確か遊撃として動くはずだったよな」
「まあ、そうだね」
「・・・・・だったら、何でこんなに数がいるんだよ」
そう言って俺は、後ろに振り向く。そこには、ギオやキラーを始め死霊魔人と配下の死霊混合人十体。そして、先の戦争における投降した兵士達がいた。死霊混合人達は、黒いフードやマントで姿を隠している。因みに数は、凡そ千名程。
「そう申されるなカゲマサ殿。我等は敗者。勝者であるフィナロムス殿下からの指示に従うのが道理であるがゆえ」
「・・・チッ」
そう答えたのは、戦争でギオに敗れ捕虜となったドラヌス・ローベッジ将軍だった。何故彼がここにいるかというと、捕らえられ地下牢に入れられた際、フィナロムス等に説得を受けたからだ。当初は渋っていたドラヌスだったが、国を救う為にも協力してくれ、とフィナロムスが頭を下げながら乞うたため協力を受諾した。
「よくもまあ、割り切れるな。俺達と貴様等は敵だったんだぞ?」
「はっはっは、カゲマサ殿。軍人とは、私情を挟んではいかんのだよ。我等は軍人、軍に組み込まれたなら尚更だ。例え目の前に私を倒した巨漢がいたとしても」
「何だ!殺るか!?」
ドラヌスの言葉にギオが反応する。すると、ドラヌスの後ろにいた若い騎士がドラヌスに話しかける。
「ドラヌス将軍、私情が漏れています。やりづらいのは分かりますが、我慢してください」
「おっと、すまないな騎士ホルトよ」
ドラヌスに話しかけたのは、公国軍側の騎士として部隊を率いていたホルト・ベルーフである。彼もドラヌスと同じ経緯でカゲマサ一派の指揮下に配属された。
「・・・はあ、まあいいや。だが、ツンドルンまでもう少しだ。気を引き締めておいてくれ」
「了解した」
◆首都ツンドルン ヤーレラ城 作戦会議室
「・・・それは本当か?魔導士ジメイ」
「はい、ようやく満足のいく仕上がりになりまして。今回の戦争にて投入する予定ですぞ」
ヤーレラ城の作戦会議室。そこでは、フリン公国近衛騎士団団長ゴウエン・フィーゾムとフリン公国宮廷筆頭魔導士ジメイが話し合っていた。
「だが、このツンドルンで行うだと?万が一不備があれば」
「そうなったら、軍の方で対処させますよ。何のために軍があるのですか」
「・・・・破られ、城まで侵入されたらどうするのだ」
「その場合の策も準備してます。貴方は、安心して陛下をお守りしていればよろしい」
ゴウエンは、しばらく黙り込む。そして、仕方なく首を縦に振った。
「・・・分かった。しくじるなよ」
「・・・ふふっ、解ればいいのです」
「最後に聞かせろ。その策は、陛下の安全を確実に守れるのだな?」
「・・・ええ、陛下の身には一切の傷は付きませんとも。陛下の身にはね」
「・・・ならいい。貴様の秘密兵器とやらを見せて貰おう」
そう言ってゴウエンは、作戦会議室から出ていった。
「・・・良し、仕込みは万全。戦力は整えた。策もうった。後は、臨機応変に動くのみ」
そこでジメイは、ニヤリと嗤う。
「ふっふっふ、楽しみだ。果たしてどのような結果になるか。結果次第では、“王”の目的達成に大きく近づくだろう。おっと、戦力の確認に行かなければ」
そう言ってジメイは、作戦会議室を退出した。
◆三日後 ツンドルン前
プーリ侯爵領を出た侯爵軍は、首都ツンドルンから離れた所に布陣していた。陣内では、プーリ侯爵軍の主要人物達が会議をしている。一方のカゲマサ一派はというと。
「・・・はあ、何でこうも厄介事がやってくるのか」
「弱いな!だが、少しタフだぜコイツ等!」
カゲマサとギオは、足元に転がる異形の人間を見る。数は二人。
一人は、熊の腕をもつ人間。襲い掛かってきた際、殴り掛かってきたがギオの力には敵わず敗北した。もう一人は、姿形は人間であった。だが、舌が何枚もあり、しかも複数の舌を伸ばしムチのように打ち付けようとしていた。
正体を探るためスキル《鑑定》を行う。
名前 ドンチ
種族 人造魔族
職業 下級兵士
レベル 10
ランク C-
スキル 剛力
名前 ボンマ
種族 人造魔族
職業 下級兵士
レベル 10
ランク C-
スキル 多舌
人造魔族、ねぇ。はあ、きな臭くなってきたなぁ。ダンジョン帰りたい。
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更新また乱れるかも。ご了承ください。申し訳ございません。




