更なる戦争へ
投稿遅れました。申し訳ございません。
もしかしたら、このままペースが乱れるかもしれません。ご了承ください。
◆フリン公国首都ツンドルン ヤーレラ城
「どういうことかこれはァァ!!!」
カゲマサ一派とプーリ侯爵軍が進軍準備をしている頃、ヤーレラ城謁見の間では公王ハマルが怒り狂っていた。
「戦場からおめおめと逃げてきた挙げ句、戦に負けるとはな!!オカロ・ハーギン伯爵!」
公王ハマルは、王座の前で震えながら土下座している肥満中年貴族オカロ・ハーギンに怒鳴り散らす。
「お、王よ。私は」
「言い訳は許さぬ!宮廷魔導士ジメイよ!この愚か者を余の前から消し去れ!」
「御意」
公王ハマルは、部下である魔導士ジメイに命令する。すると魔導士ジメイは、ハーギン伯爵の前に立ち杖を向ける。
「ひっ!」
「ふん、大人しく我が魔法に掛かり消えろ。【アイスロック】」
ジメイが魔法を使用すると、たちまちハーギン伯爵は氷像と化した。そしてジメイは、氷像に向けて手をかざす。
「【クリムゾンランス】。・・・跡形もなく消え去るがいい」
深紅の炎槍を放つ。深紅の炎槍が氷像に突き刺さった瞬間、氷像は木っ端微塵となった。
「ところで我等が王よ。反逆者の軍は、恐らく首都ツンドルンの陥落を目指しているかと思われます。いかがいたしましょう」
「貴様が対処しろ!余は寝る!」
公王ハマルは、そう言うやいなや寝室に引きこもってしまった。
「では、そのように」
ジメイは深々と頭を下げながら了承した。
◆魔導士ジメイの秘密研究室
公王ハマルへの謁見を終えたジメイは、公国軍の被害についての報告書を読んでいた。
「・・・ふむ。悪くて引き分けと思っていたが、まさか負けるとは。やはり雑兵が主体の軍では、無理だったようだな」
ジメイは、溜め息をつくと同時に笑みを浮かべる。
「だが、雑兵もたまには役立つ物だな。あの方に捧げるエネルギーの源になってくれたのだから」
ジメイは、研究室に置かれた装置を見る。幾本ものチューブに繋がれている透明なケース。中には、黒い液体が入っている。
「・・・万以上の人間が死んでやっと11%増加、計64%か」
ジメイは、感慨深そうに言うと報告書に目を戻す。
「・・・ふむ。ドラヌス将軍、騎士ホルトが捕虜か。ドラヌス将軍は傭兵に捕まり、騎士ホルトは侯爵軍の将によって捕縛。全く使えない奴等だ。死んでエネルギーになれば良いものを」
ジメイは、若干イラつきを覚えながらも報告書を読んでいく。
「・・・っ!?黒い竜巻?兵士達がアンデッドとなり甦った?化け物が十体程現れた、だと?」
ジメイは、その報告書を見て驚く。
「くっ、敵には強力な戦力があるのか!・・・いや、落ち着け。魔法ならば、私の弟子である宮廷魔導士団の合成魔法で対処すれば良いんだ。化け物には、近衛騎士団を差し向ける。公王の敵と言えば、即座に動くだろう。ムカつく連中だが連携すると、レベルとランク以上の強さを発揮するから大丈夫、な筈」
ジメイは、ブツブツと言葉を吐きながら思考を固める。
「それでも打ち破られたならば、私が出るしかあるまい」
その後もジメイは一人、来るべき戦争に備えて思考を重ねていった。そして、夜が明ける。
◆プーリ侯爵領 平原
戦争から一夜が明けて、プーリ侯爵軍は領都の前に集結していた。兵士達は、朝日を眩しそうにしているが疲れは見せていない。すると、兵士達の前に軍の大将であるフィナロムス・フリンと補佐役のカリウス・プーリとその娘カナベール・プーリが現れる。そして、フィナロムスは高らかに演説を始めた。
「聞きなさい。我等は、いよいよ現公王ハマル・フリンに反旗を翻ししました」
演説が始まり兵士達が演説を聞いている中、ある一角では戦争についての話し合いを行う傭兵達がいた。プーリ侯爵軍、いや革命軍の最高戦力でありフィナロムス・フリンの悩みの種。カゲマサ一派と呼ばれる傭兵達である。
「なあ、カゲマサよぉ。本当に居るんだろうな?強い奴がよう」
そう言うのは、半巨人という亜人と人間のハーフから魔人となったギオ・ウォーマン。
「大丈夫だって。居るよ、多分」
そう答えたのは、カゲマサ一派の首領。カゲマサである。
「・・・・」
地面にて静かに瞑想しているのは、魔族から魔人となりカゲマサに忠誠を誓った女、ジ・キラー。
「まあアタシは、楽に終わらせて実験がしたいねぇ」
牢獄にて歳をとるだけだった老婆だったが、魔人化によって若返った魔女、ミレンダ。
他にも、元フリン公国の将軍であり現公王に暗殺され、今はエルダーアンデッドとなったカイ・ザーバンス。元フリン公国所属の密偵兼暗殺者であるミルス・ドウガー。カイと同じくエルダーアンデッドである。フリン公国にてモンスター討伐部隊“虎”を総隊長として率いていたロンド・ペリークス。エルダーアンデッドである。
彼等三人は、ここには居ない。今は、フィナロムス・フリンの元で彼女を護衛しているだろう。彼等の部下を空間魔法【ゲート】でダンジョンから呼び寄せたので、人手は十分だ。すると、兵士達から拍手が聞こえてくる。どうやら、演説が終わったみたいだ。
「よしみんな、さっさと終わらせよう」
カゲマサもとい俺は、仲間達に告げる。
さあ、生き残って仕事を完遂しよう。そして今度こそ、ダンジョンに引きこもってやる!!
良かったと思ってくれたなら高評価、ブックマーク登録お願いいたします。励みになりますので。
後、コロナが猛威を振るっていますね。皆様もお気お付けください。




