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化け物軍団進撃



◆プーリ侯爵領 平原



 公国軍とプーリ侯爵軍の戦争。その最前線では、未だに戦闘が行われていた。鉄と鉄が打ち合い、絶叫や怒号が響き渡る地獄絵図。だがプーリ侯爵軍の兵士達は、手を止めることはない。目の前の敵を倒すまで武器を振ることを止めない。自分達が生き残る為に。

 一方公国軍の兵士達は、敵の気迫に飲まれ腰が引けていた。そのせいか、公国軍は徐々に後退を始める。その事実に部隊長を勤めている青年騎士ホルト・ベルーフは、頭を抱えていた。


(くっ、まさか侯爵軍がこれ程の錬度を誇るとは・・・・。いや、我々の軍の兵士は大半が農民から徴兵したからな。錬度が劣って当然か)


 ホルトは、押されている自分の部隊を見て自らの部隊の敗北を悟る。今さら何かしらの指示をしたところで離反者が出てきてしまうかもしれない。


「ベルーフ卿ッ!!」


 そこにホルトの副官が、馬に乗りこちらに駆けてくる。


「どうしたのだ」

「はっ!報告であります!精鋭部隊“竜”と“鷹”が全滅っ!ドラヌス将軍が捕虜となりました!また、“狐”が敵本陣に潜入しましたが全滅したとの報告が!」


 その報告は、公国軍にとって最悪な報告だった。精鋭部隊が、僅かの間に全滅するなど悪夢でしかない。公王ハマルに聞かせたらどんな反応をするか。


「そうか、ドラヌス将軍が」

「はっ!ベルーフ卿、ここにいたら貴方の命が危ない。急いで避難」

「出来ない。私は、部隊長として騎士として兵士を見捨てることなどできない。逃げるのなら貴様一人だけ逃げるがいい」


 その言葉に副官は、一瞬驚いた顔をすると直後に呆れたような顔になり、馬に乗ってさっさと行ってしまった。

 ホルトは、副官が駆けていった方向を見て鼻で笑うと、侯爵軍の方に向いた。

















 ホルトの副官は、馬に股がり必死に平原を駆け抜けていた。


「糞っ!わからず屋のベルーフめっ!命あっての人間だろ!?」


 すると、吐き捨てる様に叫ぶ副官の背後を影が覆う。副官は、何事かと後ろを振り替えるとそこには、黒い角を生やした怪物。そして、十体の更なる怪物が副官に手を伸ばす。


「ヒッ・・・・!!たす」


 副官は恐怖に顔を引きつらせたが、抵抗する暇なく副官の首はへし折られた。


「む、敵、違う?」


 怪物こと死霊魔人は、副官の亡骸を見て疑問を覚えたが、特に気にしなかった。


「良し、皆、行こう」

「OOOOoooOOOooooOOOOOOO!!!!!!!!」


 そうして怪物軍団は、進軍を続ける。主の役に立つ為に。













◆プーリ侯爵領 平原 公国軍右翼



 公国軍右翼。ここには、公国によって雇われた傭兵団五千と公国軍五千が布陣している。全体の大将である貴族は、恐怖に震えていた。


「な、なんなのだ?なんなのだあの化け物共は!?」


 貴族の目の前に映っていたのは、たった十一体のモンスターらしき存在に一万の軍が蹴散らされている光景だった。


 狼の頭を持つ怪物は、その牙で兵士や傭兵達を噛み砕き、腕が八本ある怪物は、それぞれの腕に持つ武器を使い兵士達を屠っていく。黒い角を生やした怪物は、羽を使い空を飛びながら兵士を怪力で殺していった。

 他の怪物達も恐ろしい力で兵士達を屠っていく。更に恐ろしいのが、死んだ兵士がアンデッドとなり他の兵士達にも襲いかかっていることだ。兵士からみたら、死んだらアンデッドの仲間入りなのが堪えたらしく、士気が下がりに下がった。


「糞ぉ!!付き合ってられるか!俺は逃げ」


 一人の傭兵が、逃げようとして走り出したが黒い角を生やした怪物にぶん殴られ、ピクリとも動かなくなった。


「人間、起きろ、戦え」


 黒い角の怪物が、そう呟くと死体が起き上がり戦っている傭兵に向かっていった。


「む、敵、大将」


 黒い角の怪物は、次の獲物を見つけ飛んだ。行き先は、大将である貴族のいる陣だ。


「ひ、ひょおおおお!?!?!?!?」


 悲鳴を挙げた貴族は椅子から転げ落ち、服が土で汚れたことなどお構い無しに護衛の騎士達に命令する。


「お、お前達!わ、私を守れ!守りきれたら報奨をやるぞ!どんなものでもな!」


 騎士達は、その声に反応してこちらに飛んでくる化け物に剣を向ける。そして、化け物が降り立つと。


「死ね!化け物が!」


 一人の騎士が、化け物に突撃。剣を突き立てようとする。しかし。


「む、騎士、邪魔」


 化け物は、目にも止まらぬ速さで腕を振るい、突撃してきた騎士の上半身を消し飛ばした。


「な、あ、こ、殺せぇぇ!!!!」


 他の騎士達も化け物に襲いかかったが、ことごとく防がれ殺された。そして、騎士が全滅して残るは貴族のみ。


「人間、大将、殺す」

「ヒッ!」


 ハッキリと告げられた殺害宣言。貴族は、恐怖の余り失禁してしまった。


「ま、待て!き、貴様、私をこの場から逃がしてくれたら恩賞をやろう!何でも叶えてやる!」


 だが、腐っても貴族。命だけは助かるべく、命乞いを始める。しかし、目の前の怪物には通じない。


「む、恩賞、いらない」


 そうして怪物死霊魔人は、貴族の体を踏み潰した。その後、貴族は体に穴を開けたまま下級アンデッドであるゾンビとして生まれた。そして、外で戦うアンデッド達に加わっていった。


「ふふ、私、頑張った」


 因みに死霊魔人は、自分の仕事ぶりに手応えを感じていた。


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