表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/302

盗賊狩りと新たなる戦力


祝、総合200000PV突破!ありがとうございます!


「じゃあ、行ってくる」


 夜。首都ツンドルンへ行く準備が整った俺とミルスは、宿の前でカイとロンドに会っていた。


「くれぐれも慎重に事を進めろよ?」

「承知しております」

「ならば良し。行くぞミルス」

「はい!」


 俺達は、カイとロンドに一時的な別れを告げて門に走った。











「おい、門を開けてくれ」

「はい?何を言っているのですか?夜は、モンスターが出るので駄目」

「開けてくれ」

「いや、ですから」

「開けろ」

「え、えっと」

「開・け・ろ」

「で、ですが職務で」


 門に着いたは良いが、門に駐屯している衛兵に止められてしまっていた。そして、上記のような問答が延々と続いている。しばらくして、折れたのは衛兵だった。


「ああもう!分かりましたよ!開ければ良いんでしょう!?ただし、何か起きても私は知りませんからね!?」

「ああ、ありがとう」


 そう言うと衛兵は、門を僅かに開けた。俺達は、スルッと間を抜けて門の外に出る。


「最後に一つ、何故外に?」

「モンスター狩りだ」

「・・・お気をつけて」


 衛兵の質問に即興で答えて、俺達は無事街を出ることに成功した。













 街を出た俺達は、早速【グループフライ】で宙に浮く。


「さて、ミルス。首都ツンドルンへの道を教えてくれ」

「了解しました!」


 俺は、ミルスの案内通りに飛んでいく。すると、一つの山が目に入った。


「おいミルス、あの山見えるか?」

「はい!見えますよ?」

「何か妙にデカイ城があるよな?」

「ありますね!」

「そして、妙に光ってるよな?」

「篝火の光ですね!」

「盗賊かね?」

「おそらく!」


 盗賊の可能性大か。ならば!


「「奇襲して金品奪う!」」


 相手は犯罪者だしね、しょうがないね。それに、俺が転移した当初に見つけた盗賊団見たいに、溜め込んでるかも知れんしなぁ。クックック。俺は、酷く悪い笑みを浮かべながら、盗賊団のアジトと思わしき山城に飛んだ。

















◆盗賊団ボスside



 俺は、非常に混乱していた。何故なら、俺達が宴会中に根城にしていた城が攻撃を受けたからだ。

 初めは、この国の国軍が動き出したかと思ったのだが実際は敵の姿はなく、ただただ攻撃を受けている。攻撃は正体不明で、何もされていないはずのうちの構成員が半数近くやられてしまった。


「お、お頭!どうしましょう!」

「このままじゃあ、俺達までやられちまう!」


 ああ、順風満帆だった筈なのに。何故こうなった?












 カゲマサが見つけた山城に居たのは、フリン公国内じゃあ負け無しの強豪盗賊団だ。構成員の数も百を越えて、好き勝手に暴れていた。


 手当たり次第に村を襲い、滅ぼしてきた。

 商人の商隊を見つけては襲い、根こそぎ奪っていった。

 男は、殺すか捕まえて奴隷として売り払った。

 女は、捕まえて構成員達が遊んだ後に奴隷として売り払った。

 子供も殺すか奴隷として売り払い、老人は殺していった。

 一番厄介な冒険者や軍の兵士は、少数なら襲い大人数なら逃げる。これを繰り返してきた。

 しまいには、国の上層部に賄賂を送り自分達の行動を見逃してもらった。

 そして、今ではアジトである山城の大広間じゃあ部下達が酒を飲みながら遊び回っていた。


「ひっひっひ、今回は豊作だなぁ」

「ああ、思った以上に女がいたからなぁ!」


 盗賊達は、ギャハハハハハと汚い声で笑い、酒をクイッと飲む。すると、一つの扉が開き中から一人の大男が出てきた。ズルズルと何かを引きずって。


「あ、お頭。ソレどうでした?」

「ふん、駄目だな。二、三回で使いもんにならなくなったぜ」


 頭領と呼ばれた大男が、ソレを投げ捨てる。ソレは、人間の女だった。


「あ~あ、やっぱり獣人の女の方が耐久力あるんすかねぇ」

「どうでもいい!さっさと始末しろ!それでは奴隷として売れん!」


 命令を受けた部下は、剣を抜き女の喉を切り裂いた。そして、手慣れた感じで死体に火をつけて穴に放り込む。


「チッ!」

「まあまあお頭、酒でも飲んで気を紛らわしましょうや」

「ああ、そうだ」

「た、大変だァァァ!!」


 酒に手を伸ばそうとした頭は、突然の大声に手を止める。


「何だぁぁ!!こんなときに!!」

「そ、それが!仲間が次々に倒れていってるんだよお!!もう半数ぐらいやられてちまった!」

「何だと!?」


 そして、先程の場面に戻る。












 盗賊達は、見えない攻撃に恐怖していた。敵はいない。それなのに味方はドンドン倒れていく。血も流さず、途端に倒れるのだから恐怖するのも当然だった。


「ひ、く、来るなぁぁああぁぁ!!」


 中には、半狂乱になり剣を振り回し始める者もいた。場は混沌となっており、収集がつかない。


「お、お頭ぁぁ」

「ええい!一先ず逃げるぞ!」

「ど、奴隷共は!」

「放っておけ!死にたいのか!」

「へ、へい!」

「良し!ならば逃げ・・る・・ぞ・・・?」


 そして、盗賊のボスは気を失った。







 残った盗賊団員が全て倒れたのを見届けた俺とミルスは、山城に侵入した。


 何故俺達が盗賊達に見つからず、なおかつ無力化出来たのか。理由は簡単、見付からなかったのは以前手に入れた《暗殺者》というスキルに含まれる隠密効果である。無力化出来たのは、魔法書に書かれていた【ショックミスト】と呼ばれる魔法だ。効果は、無色の霧を生み出し霧を吸った生物の気を強制的に失わせるというなんとも都合の良い魔法である。


「いや、本当に都合の良い魔法があったものだな」

「ええ!・・・ッ!!カゲマサ様、あの穴を!」

「?」


 ミルスが、何かを見つけたようで其方に目を向ける。そこには、ポッカリと空いた穴があった。中を覗くと。


「・・・うわ~、酷いな」

「・・・なんてこと!」


 中には、女性と思われる焼死体が山のように積まれていた。辺りには、未だに焦げ臭い匂いが充満している。どうやら、焼いて直ぐだったようだ。


「恐らく、奴等に拐われた人間の成れの果て、または元々あったか、・・・まあ前者だろうね」

「・・・何とか出来ませんか?」

「何とかとは、どういう意味だ?蘇生しろってか?生憎、赤の他人を救う余裕は無い。それに蘇生の魔法はあれど、どれも膨大な代償が伴うらしいからな」


 その言葉にミルスは、口を悔しげに歪める。同じ女性として思うところがあるのだろうか。


「じゃあ、アンデッドとして」

「全員をか?大勢で動いたら見つかりやすくなる。小さいリスクでも避けたい」


 再び口を歪めたミルスを横目にお宝を探そうとして、俺はある考えが思い浮かんだ。人間として、最も最低なことを。俺は、穴に引き返して【ボックス】からデカイ魔石と、大量のモンスターの死体を取り出した。


「あ、あの、カゲマサ様?」

「嫌なら目を背けてろ。人の倫理に反することをするからな」


 俺の足元に散らばっている死体は、主にサキュバスのダンジョンマスター、ユラとのダンジョンバトルで手に入れた死体だった。俺は、死体と魔石を穴のなかに放り込み、魔力を込めながら《アンデッド創造》のスキルを発動させた。


「え!?」

「うん、成功したか。正直、成功して驚きだが」


 そして穴の底には、カゲマサの興味本位の行動によって新たなアンデッドが誕生していた。誕生してしまった。



名前

種族 死霊混合人(アンデッドキメラ)

職業 カゲマサの僕

レベル 1

ランク A

スキル 身体能力超強化 再生 腐敗攻撃 炎耐性 日光耐性



「GOOOOAAAAAAAAAAAAAA!!!!」


 穴の底からこの世への怨嗟にまみれた声が、聞こえた。そして、穴からソレが這い出てきた。


 ソレ、死霊混合人(アンデッドキメラ)の姿は、まさしく怪物。五メートルを越す巨体、背中には巨大な羽、顔は人間の女の物だったが白目を剥き、額から二本の黒い角が延びていた。両腕は、オーガのような腕。脚は、馬の脚だった。

 なんというか、某ホラーゲームに出てきそうな奴が出来たな。


「ふむ、予想外の結果だな。良し、ちょうど良いかも」


 俺は、後ろで倒れている盗賊達を指差す。


「お前に眠る女性達の怨念、今ここではらせ」


 命令を下すと、死霊混合人は盗賊達を見ると、



「AAAAAAAAA!!!!YUUUURUUUUUSAAAAANAAAAAIIIIIIII!!!!!!」


 そう奇声をあげて盗賊達に突進していった。


「おお、ありゃ相当恨み残していたな。さて、宝探すぞミルス」

「は、はい!」


 後ろから聞こえる肉が潰れ、裂かれ、喰われる音を耳に入れながら山城の部屋の中を探索し始めた。












 数十分探索して得られたのは、金貨や銀貨の山、高級そうな武具、モンスターの魔石等々。因みにモンスターの魔石は、どれも手に入れている物だった。


「これぐらいか、おいミルス!そっちはどうってうお!」


 ミルスを呼ぼうとして後ろを振り返り、死霊混合人がいたので腰を抜かしかけた。


「え~っと、盗賊は全滅させたのか?」


 試しに質問すると、死霊混合人は首を縦に振った。


「そうか、よくやった。暫くここで待機しておけ。他に侵入者が来ないか見張れ」


 そして再び命令を下すと、死霊混合人はその場でいつでも動ける態勢で停止した。


「カゲマサ様!奥の部屋に何十人もの人間が!」

「盗賊の生き残りか?」

「いえ、奴隷です!」


 ふむ、奴隷か。もしかしたら、あの死体の山は奴隷の物かもしれんな。


「連れていけ」

「はい!」











 ミルスに連れられやって来たのは、檻に閉じ込められている何十人の人間だった。檻は全部で三部屋、俺から左にある檻には男や子供、真ん中には女性達、右には真ん中と同じ女性達だったが目が虚ろだったのだ。しかも幾人かは妊娠していた。


「恐らく、左と真ん中の牢屋が奴隷として売却、右の牢屋はただの玩具要員ってか」

「どうしますか!?」

「はあ、とりあえずプーリ侯爵領に送るしかないだろう」

「え?どうやって送るんですか!?」

「忘れたか?【グループフライ】だよ」

「ああ!」

「分かったか?ならばミルス。【グループフライ】で送って行くぞ」

「は、はい!」


 話を終えた後、俺とミルスは奴隷達を外に連れ出し【グループフライ】を発動、プーリ侯爵領に飛んだ。そして、プーリ侯爵領に到着し門の衛兵と一悶着あったが、何とか街に入れた。そして、再び【グループフライ】で山城に舞い戻った。


「よし、よく待っていたな」


 そして俺は、山城にて死霊混合人を再び待っている様に命令し、ミルスとツンドルンに飛んだ。


出来れば高評価・ブックマーク登録お願いします。励みになりますので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ