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公国出発②



◆俺達は、現在フリン公国を目指して山を登っていた。


「フム、中々険しいなこの山は」

「そうですね。しかし、我々なら問題ないでしょう」


 俺が、山を登りながら呟くと、カイ・ザーバンスは問題ないと答えた。


「確かにそうかも知れんが、ッ!?総員止まれ!」


 俺は、全員に指示すると、カイやミルス、ロンドは止まって辺りを警戒する。


「GYAAAOOOOOO!!!!」


 すると、上から大きな鳴き声が聞こえてくるではないか。全員が空に目を向けると、巨大な翼竜がこちらに迫ってくる。鑑定してみると、



名前

種族 ワイバーン

職業 下っ端

レベル 25

ランク D

スキル 飛翔



 フム、鑑定結果を見るに大したことは無さそうだが、下っ端ってあるし近くに巣でもあるのか?・・・あ、コイツで新魔法試してみるか。


「お前ら、少し下がってな」

「「「はっ」」」


 エルダーゾンビ三人組がその場から離れると、俺は邪神からもらった魔法書の内容を思い出しながら、魔法を発動させる。


「死ねぃ!【デス】!」


 すると、突然ワイバーンは力を失ったように降下、いや落下を開始。そして、俺の目の前に落ちてピクリとも動かなくなった。


「よし、もういいぞ」

「・・・カゲマサ様、今のは」

「ん?即死魔法の【デス】という魔法だ。即死魔法という名前の通り、相手を即死させる魔法だが欠点もある。相手が、即死魔法に耐性があったり、お前達のようなアンデッドには効かないとかな。あまり使えない」

「いや、十分使えますよ」


 カイが、呆れたように言うが俺は無視して、ワイバーンから魔石を抜き取る。


「よし、これでワイバーンの召喚が可能だな」


 俺は、魔石を【ボックス】に入れる。そして、三人組に振り返って口を開く。


「急ぐぞ。コイツの仲間が来たら面倒だ」


 そう言って走り出し、三人組も後に続いた。

 しばらく走り続けて、俺達はやっと山を越えることが出来た。二日かかったぜ。


「やっと、山を越えたな。まずは、適当な街にいって情報を集めるか」

「そうですね・・・・おや?カゲマサ様、あれを」

「ん?」


 カイが、何かを見つけたので、そちらに目を向けると、一台の馬車が複数の盗賊に襲われていた。


「いかがいたしましょうか?」

「フム」


 俺は、少し考える。最初は、見捨てようかと考えた。善意に善意が返ってくるとは限らないからな。それに、下手に目立ったら目をつけられるかも知れんし。


「あ・・・・」

「ん?どうしたミルス」

「あの馬車が掲げてる旗、あれ公王家の物です」


 え?公王家?それって公国の王家だよな?何でここに?


「う~ん、では余計に助けたくないぞ?」

「い、いえ、あの糞公王は全然城から出ないんですよ。だから、あれは別の人物になります!」

「じゃあ、誰だよ」

「現公王の妹君、フィナロムス・フリン殿下だけです!」


 ふーん、妹ねぇ。・・・・あ、コイツなら革命のリーダーに出来るか?でも、現公王に似た性格だったら嫌だな。助けてみなきゃ分からないか。


「そうか、ならば恩を売るには最適だ。助けるぞ」

「了解です!」










 馬車の中では、二人の女性と一人の男性が座っていた。一人は、美しい金髪の現公王の妹フィナロムス・フリン。もう一人は、赤いショートヘアを持ち、フィナロムスの叔母であり、親友のカナベール・プーリ。最後は、筋肉隆々のフィナロムスの護衛役のダッチム・トーパー。

 以上三名である。すると、カナベールが口を開いた。


「ダッチム、まだ追っ手は振り切れないの?」

「はっ、申し訳ありません。如何せんしつこく」

「何がなんでも振り切って!」

「はっ!」


 ダッチムは、馬車の行者に怒鳴り付けて何とかスピードを上げさせる。


「ねぇ、カナ」

「え、何?フィナ」


 今まで黙っていたフィナロムスが、声を発する。


「私が捕まったらどうなるの?」

「・・・おそらく殺されるわね」

「・・そう」


 そして、再び黙った。体は、若干だが震えている。すると、馬車が急に止まったではないか。


「ッ!?まさか!」

「フィナロムス殿下、カナベール侯爵令嬢しばらくお待ちを」


 ダッチムは、剣を構えて馬車の扉を凝視する。次第に足音が聞こえ、扉が開かれる。


「ヌゥゥエェェェイ!!」


 ダッチムは、扉を開けた人間に斬りかかった。


「なっ!?トロが殺られたぞ!」

「元近衛騎士のダッチムだ!殺せ!」


 外からは、十数人の男達の声が聞こえてくる。そして、ダッチムの雄叫びも。


「逃げるわよ!」

「で、でもダッチムが」

「大丈夫!彼なら!」


 そう言うカナベールは、内心ダッチムを諦めていた。ダッチムは、公国最精鋭の近衛騎士団に入隊していた猛者。だが、あの数相手では生存は無理だろう。ダッチムは、それを承知で突っ込んだのだ。カナベールは、ダッチムの覚悟を胸に刻み、反対の扉を開けて、止まってしまった。


「は~い、行き止まり」

「げっへっへ、中々の上玉じゃないの」


 既に、敵が回り込んでいた。カナベールは、護身用の短剣を取り出し、フィナロムスを守るように立ちはだかる。


「カナ・・・」

「フィナ、待っててね。コイツら全員倒すから」


 そう言ってカナベールは、馬車の扉を閉めて行者に行くように命じる。辛うじて生存していた行者は、慌てて馬を走らせた。途中、フィナロムスの声が聞こえたが、無視する。フィナロムスさえ生きていれば、この国を立て直す機会はある!


「チッ、金髪の姉ちゃんは逃がしたか。まあ、いい。こっちの姉ちゃんで楽しむぜ!」


 盗賊達は、私に襲いかかった。










 しばらくして、カナベールとダッチムは盗賊に組伏せられていた。


「チッ、面倒かけさせやがって」

「良いじゃないかお頭。この赤い髪の女で楽しもうぜ」

「男は?」

「大丈夫だ」


 お頭と呼ばれた男は、組伏せられているカナベールを見る。その目は、キッとこちらを睨み付けていた。


「ふん、おい、お前から先にヤっていいぞ。この女の心を折れ」

「ヒヒヒ、やったぜ」


 頭に命令された男は、カナベールを仰向けにして、体にまたがった。


「そう言うこった。精々楽しませてくれよ!」


 そう言いながら、ナイフで服を切り刻む。すると、豊かな胸が表になった。


「おお!着痩せするタイプだったか!いいねいいね!」


 男は、胸を鷲掴みにして揉む。しばらく揉んだ後、自分の下剣に手を当てた。


「こっちも準備完了だな。さあ~、気持ちいい時間だ」


 カナベールは、僅かに恐怖を感じた。覚悟していたが、やはり嫌だ。純潔は、愛する者に捧げたかった。そして、男が下半身の剣を出して、彼女は目を閉じて、


(・・・誰か、誰か助けて!!!!!!)



「ヒヒヒ、いただきま」

「え?」


 カナベールは、恐る恐る目を開ける。そこには、上半身が無くなり、力なく倒れた盗賊の男が。


「な、何が」

「いや~、どうもどうも」


 盗賊達とカナベールは、突然聞こえた声の方に振り向く。


「悪いが、お楽しみパーティーは終了だ。無理矢理は嫌なんだよ、俺はよ」


 そこには、茶色の仮面とローブを着た男が立っていた。


少しめちゃくちゃだったかな?

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