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閑話 聖邪の神々③

他作品と被る場所が、所々見られたので可能な限り修正しました。


魔神 → 邪神

光神 → 聖神


などに変更しました。


もし、まだ被りがあるならば指摘ください。できる限り修正するようどりょくしますので。



「ここは、僕の子供が運営している国じゃないか。何だって勇者召喚を?クフフ」

「いや、その前にダンジョンマスターが勇者を召喚っておかしいでしょう。・・・チッ」

「いやいや、神々のルールブックにはダンジョンマスターが勇者を召喚しては駄目って書いてないよ?」

「そうですけど。というか、この国だけ妙に要請多いんですよね。別に危機が迫っている訳じゃないのに」


 まあ、別に問題は起こしていないので構わないか。少なくともエルザム神聖国よりはマシ、と聖神は考えた。聖神は、チョークのような物を取り出し、手慣れた手付きで魔法陣を描く。書き終わると、勇者召喚用の呪文を唱え始めた。


「我、ここに世界の救い手なる勇者を」

「お、いつもの呪文?」

「・・・チっ、いつものは余計です。大人しく待っていなさい。コホン、ふーっ」


 邪神がニヤニヤしながら見ているなか、呪文を邪魔された聖神は、ゆっくりと呼吸を整える。そして、もう一度唱えた。


「我、ここに世界の救い手なる勇者を召喚せし者。我が前に顕現せよ。そして、世界の邪悪を取り除き給え!」


 すると、魔法陣が金色に輝きだす。輝きはあまりに眩しく、神である以前に仮面をしている邪神すらも「眩しっ!」と言ってしまう程に。

 しばらくすると輝きは収まる。そして、魔法陣の真ん中には二人の人間が立っていた。


(二人?私は一人用の呪文を唱えたはず。・・・あ)


 二人の人間を訝しげに見ていた聖神は、一回呪文を邪魔されたことを思い出す。まさかと思い邪神の方を向くと、案の定邪神は腹を抱えながら笑いを堪えていた。それを見て聖神は、邪神が何らかの細工を施したことを知る。


(チッ、余計なことを!)


 だが、召喚してはしてしまったからにはどうしようもない。いつも通りにいこう。聖神は、戸惑っている二人の人間に語りかける


「初めまして。私は惑星カーオスにおける神の一柱、聖神。唐突ですが二人には、異世界である惑星カーオスに勇者として行ってほしいのです」


 異世界、その言葉を聞いた二人は驚愕の表情を浮かべた。二人の人間は、片方は男、もう片方は女である。二人とも、年齢は十代後半ぐらいか。すると、男の人間が


「あ、あの質問いいですか?」

「はいどうぞ」

「そ、その勇者になるなら、ま、魔王を倒さなきゃ駄目なんですか?」


 この質問に聖神は、答えたらいいのか迷う。基本的に魔王と呼ばれているのは、ダンジョンマスターの大魔王派閥に属するダンジョンマスターのみ。その数は、百を越える。聖神は悩み口を開いた。


「今惑星カーオスには、モンスターを始めとしダンジョンマスター等で溢れています。それ等の討伐をお願いしたいのです」

「え?あの、魔王は?」

「魔王の正体はここでは明かせません。しかし、勇者として成長していけば魔王討伐は果たせるでしょう」

「は、はい」


 男の方は、納得したみたいだ。


「そちらの女性の方は?何かございませんか?」

「アタシ?じゃあ・・・チートスキルとかあるの?」

「お、おい!失礼だろうが!」

「いや、兄貴。アタシらはさぁ。今から殺し合いの世界に行かされるんだぜ?このくらい要求してもいいじゃん?」


 どうやら兄妹らしい。たが、妹の方が立場は上のようだ。


「チートスキルかどうかは分かりませんが、今からこちらの《権能の箱》からあなた方の主要スキルを三つ取って頂きます」


 聖神の手には、光輝く箱が存在していた。これが、《権能の箱》なのだろう。


「お、じゃあアタシから」


 妹の方から箱に手をいれる。そして、箱から手を引き抜く。すると、妹の手には三つの光が握られていた。


「これは?」

「ふむ、《剣術》に《光魔法》、《俊足》ですか。素早さ重視の魔法剣士ですかね」

「おお!何か格好いいな!」

「では、男性の方もどうぞ」

「は、はい!」


 男の方も、《権能の箱》に手を入れる。そして引き抜くと、これまた三つの光が現れた。


「ほう、《魔法一式》と《魔力視》、《鑑定》ですか。完全後方型ですね」

「おお!よかったじゃん兄貴!お互い魔法使えるぜ!」

「あ、あの魔法一式というのは」

「はい。《魔法一式》とは、魔法の名前と使い方、魔力があれば全属性の魔法が使えるスキルです」

「す、凄い!」


 その後二人は、聖神から異世界の簡単な説明を受けた。その中で、レベルやランク、冒険者ギルドがあることに二人は興味深々だった。


「説明は以上です。・・・さあ、これからあなた方を惑星カーオスに送ります。あなた方に幸あらんことを」

「は、はい!」

「ありがとな聖神様!」

「ふふ、では」


 そう言うと、聖神は二人の足元に魔法陣を出現させ、二人を転送した。


「・・・珍しく何もしなかったですね。明日は隕石でも降るのでしょうか?」

「ふっふっふ、聖神ちゃん。見た?あの男の方の顔を。完全に自分が、チート身につけたと思ってるよ。他にも持ってる奴いるのにさぁ!」

「そこはどうでもいいです。それよりも、大丈夫でしょうね?貴方の子供が治める国は」

「大丈夫、大丈夫。実績あるしね!それにしてもこの鬼畜め〜!さらっと彼奴等の標的に子供達入れたろ!鬼!悪魔!聖神!」


 そんな邪神の罵倒に聖神は、聞き流しながらモニターを開く。そこには、二人を召喚した国の名前が書かれていた。


(チェッ、無視かよ〜。まあいいか。ああ、どんな面白いことになるんだろう。楽しみだなぁ~~)


 邪神は、そんな思いを抱きながらモニターに書かれている国の名前を見ていた。












 《セブンス帝国》の名前を。



次回からは、本編に戻ります。

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