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ダンジョンバトル・カゲマサ陣営①

※ダンジョンバトル・カゲマサ陣営①と②を統合しました。



 また少し時を遡る。


◆敵ダンジョンマスターチーム



 ユラのダンジョンの一角に三体のダンジョンマスターが集結していた。


「で?俺らが攻めるのは、新人二位のダンジョンマスターカゲマサで間違いないのか?」

「ええ、ユラからそんな指令がきたの。それが何か?」

「いや、無理に従わなくてもいいんじゃないかってな。だってよ」

「ヒヒン、お前も理解したか筋肉ダルマ。奴のダンジョンから強力な気配がいくつもあることを」

「筋肉ダルマと言うな!この馬面が!」


 そんなやり取りが行われていた。種族は、オーガ、アルラウネ、馬といったものである。


「はいはい、喧嘩はよしなさいな。これ以上グダグダしていたら、怠け者のユラから急かされるわよ?」

「けっ!あんな兵力だけを頼りにしている奴なんざ、どうだっていいんだよ!急かしてきたら自分が行けって言ってやる!」

「止せ。ユラには万を越える兵力がある。ぶつかって勝てるかも知れんが、こちらも被害が甚大だ。ヒヒン・・・・気に食わないのは同感だが」


 この言葉からわかる通り、この三体はユラを密かに軽蔑している。兵力に頼り、自身をあまり鍛えようとしない怠け者と。

 余談だがユラは、ロワンの修行では最低限のことしか学んでいなかった。派閥作りに邁進していた故に。


「じゃあ、ダンジョンにモンスターを送り込むわよ。偵察隊の準備はいいかしら馬?」

「馬言うな。ヒヒン・・・あんたと筋肉ダルマから預かった兵隊で編成しといたぜ」

「よろしい。では、偵察隊を突入させなさい」

















◆カゲマサのサブダンジョン



「さて、シロ。三フロアにいるモンスターの準備は?」

「はい、ゴブイチの部下から選抜しました。いざというときに為の脱出口も確保しています」

「なるほど、四階層のアイツは大丈夫だよな?」

「ええ、ちゃんと待機しております」

「まあ、あくまでも足止めのモンスターだからな。成功したらもうけものだ」

「マスター、ご相談が」

「ん?」

「何故、何故エルフと獣人を側に置いているのでしょうか?」


 今回のダンジョンバトルにはナタリアとマヤにも来てもらっている。この二人も俺の部下という立ち位置だし別にいいんじゃない?


「ナタリアには、モンスターの知識を。マヤには、ナタリアの補佐だ」

「そうですか・・・チッ」


 シロはとりあえず納得した様子だった。後から聞こえた舌打ちは、聞かなかったことにしよう。


「な、なあ主君。私がここにいても良いのだろうか」

「はい?」

「そ、その・・・シロ殿とカレン殿の目線が痛いのだが」


 あ~、まあ自分達の側にまだ信頼できない奴がいたら安心できないか。そう考えれば、先程のシロの舌打ちも理解できる。


「・・・まあ耐えろ」

「耐えろって」

「マスター、敵モンスターが侵入しました」

「お、来たか」


 俺は、モニターを確認する。そこには、小さい馬に騎乗したゴブリン、そして何やら小さく丸い物体だった。


「ジャガイモ・・・・?」


 小さく丸い物体、それはジャガイモだった。だが、そのジャガイモは走っていたいのだ。側面から生えた蔦を上手く使って、馬に並走していたのだ。


「走るジャガイモ?」

「主君、あれはポテトランナーと呼ばれる植物系モンスターだ。私の故郷にもいたぞ」


 ポテトランナー?ジャガイモの走者?なんじゃそりゃ。俺は、久しぶりに《鑑定》をしてみる。



名前

種族 ポテトランナー

職業

レベル 1

ランク E-

スキル 俊足



 ランク自体は低いな。只、速度は早い。並のE-よりも遥かに速いぞ?あ、毒沼ゾーンに入っていく。

 毒沼ゾーンに入っていくモンスター達は、入った瞬間次々と倒れていった。


「ゴブリンと馬に効くことは判っていたが、ジャガイモに効くのは意外だったな」

「ああ、恐らくポテトランナーには呼吸する構造があるのだろう」

「ふ~ん、そうなのか。しかし、これでうちの毒沼のギミックが相手に知られたな。シロ!」

「はいマスター。・・・第二階層のモンスターに迎撃準備を伝えておきました」

「ならば良し。攻撃部隊の様子は?」

「いつでも出撃できます」


 良し、敵の攻勢が収まったら反撃しよう。それまでは、守備に徹するのだ。














◆敵ダンジョンマスターチーム



「おいアルラウネ。偵察隊が全滅したぞ」

「原因は?」

「ヒヒン、沼のような所に入ったらいきなり倒れた。たぶん毒霧のようなギミックがある」

「毒霧!?そんなものがあったら、ゴブリン供が進めねぇぞ!?」

「なら、私が召喚できる植物に毒を吸収できる植物があるわ。沼は、スライムを召喚して吸収させましょう。幸い、まだDPはあるし」

「それが良さそうだな」


 そして、アルラウネは目的のモンスターを召喚し始めた。













「ん?なあ、あの植物はなんだ?」


 敵の偵察隊を全滅させた後、再び敵の部隊が入ってきた。面子はいつも通りだが、ゴブリンに関しては妙な植物を持っていたのだ。


「あの植物は・・ッ!?主君!あれは、辺りの毒素を吸収してしまう植物だぞ!このままでは、大気にある毒素が無力化される!」

「ファッ!?そんな都合のいい物あるのかよ!」


 なんてこった。何かしらの対策は取ってくるとは思ったが、まさか毒ガス自体を消しにかかるとは!


「・・・・まあいい。多少違うが想定の範囲内だ」


 俺は、そう自分に言い聞かせてモニターを見る。そこには、ゴブリンが毒沼の近くに植物を植えていた。すると、植物が辺りの空気を吸いとり始めたのだ。


「フム。ナタリア、あの植物が毒ガスを吸収し終えるまでどのくらい掛かるんだ?」

「正確な時間まではわからない。だが、そう長くはないはずだ」


 そんなに時間は掛からないか。ならば、敵の部隊が止まっている隙に敵ダンジョンに踏み込むか?いや、気づかれたら挟み撃ちにあってしまうぞ。

 そう考えていると、ゴブリンがなにやら木箱を持ち出したではないか。ゴブリンが木箱を開けると、中から青色のアメーバみたいな物体が出てくる。


「なんだ?」


 《鑑定》してみる。



名前

種族 スライム

職業

レベル 1

ランク F

スキル 吸収



「・・・・なんてこったい」


 邪神の知識によるとスライムは、どんなゴミでも吸収してしまう万能掃除機みたいな奴なのだ。つまり、スライムから見れば毒沼なんぞ只の水に過ぎない。


「マスター、毒ガスと毒沼。完全に取り払われてしまいました」


 ・・・早いな。もうちょっと足止めしてくれよ。もう遅いけど。


「判った。そのまま奥に進ませろ。分断するんだ」

「第二階層の情報を渡すことになりますが」

「構わない。あそこは足止め用だし、ある程度敵の足を止めればいい」

「はっ」







◆敵ダンジョンマスターチーム



「ん?おい花女。ここ三つに分かれてるぞ?」

「なんですって?・・・・あら本当。仕方無いわね。部隊を三つに分けましょう」

「いいのか?」

「いいわ。偵察隊の役目は情報をつかむこと。本命の精鋭部隊は、まだ待機しているから」

「わかった、花女」

「花女はやめなさい。殺すわよ?筋肉ダルマ」

「へっ!花女は花女だろうが!」


 若干言い合いになったが、問題なく三つに分けて部隊を進ませた。




◆第一フロア



 モンスター達がフロアに辿り着くと、そこは数々の木々に溢れたフロアだった。このフロアを担当するオーガのダンジョンマスターは、首をかしげる。


「んあ?さっきの毒霧とはまったく違うな」


 まあいいかと、躊躇なくゴブリンを進ませる。その時だった。


「ぬお!?」


 突然、木の根本から根っこが伸びてゴブリンの体を貫いたのだ。そして、次々と根っこが伸びてゴブリンを仕留めていく。


「な、なんじゃこりゃあ!なんのモンスターだ!?」

「ヒヒン、どうしたのだ筋肉ダルマ」

「おい馬!急に木の根っこが伸びて、俺の配下が貫かれたぞ!」

「落ち着け。恐らくトレントだろうよ。部下はまだいるのか?」

「ああ、まだ・・・あ、全滅しちまった」

「ちっ。いや、第一フロアにはトレントがいることがわかったからまだいいのか。ブルルン」


 馬のダンジョンマスターは、自らのモンスターを進行させる。




◆第二フロア



「ここは・・・・湿地か?」


 馬のダンジョンマスターが見たのは、辺り一面湿地に覆われたフロアだ。


「ヒヒン、馬には不向きな地形か?いや、偵察だけなら大丈夫か。良し行け」


 馬は躊躇なく進ませる。すると、湿地の影から何かが飛び出し、馬系モンスターの首を刈り取っていった。


「なっ!?・・・・あれはなんだ?一瞬蛇のように見えたが・・・ッ!?」


 馬はモニターに、何か大きい影を見た。それは、まるで獲物を狙うヘビのような・・・・いや、まんまヘビがこちらを見ていた。側には、馬の首を咥えたヘビもいる。


「でかいヘビ?あれがこのフロアのボスか?ブルルン」


 そう呟く間、馬のモンスターは次々にでかいヘビに喰われていく。だが、こちらからは何もできなかった。


「恐らく《威圧》か何かのスキルだろうな。モンスター達が、まったく動けなかった。まったく忌々しい」


 そう、馬配下のモンスター達はヘビの威圧に怯み動けなかったのだ。


「くそっ、全滅か。まだ主力がいるとはいえ、この数を失ったのは惜しいぞ。安易に突撃させたツケか。ヒヒ〜ン!」






第三フロア



「あら?随分と暗いところね」


 アルラウネのダンジョンマスターは、第三フロアにモンスターを進ませていた。走るジャガイモのポテトランナーを始め、走るニンジンであるキュロットランナー、何やら蔦が人形になって動くプラントマンという新種のモンスターも存在した。


「まあいいわ。さっさと情報を・・・あら?なんで動かないの?」


 アルラウネは、配下に進行命令を出したが全く動かない。


「一体どうゆう・・・ッ!人間!?」


 アルラウネが困惑していると、暗闇の奥から何人もの人間が現れたではないか。ご丁寧にも、しっかり武装しついる。明確な敵だった。


「何故人間が!?今すぐ・・・って。なんで動かないの!?動きなさい!」


 植物系モンスター達は、一向に動くことなく全員撃ち取られてしまった。


「くそっ!ホントになんで動かないの!?」


 アルラウネには、何故植物系モンスター達が動かないのか判らなかった。


偵察隊ことごとく全滅です。

次回は、ダンジョンバトル・カゲマサ陣営②の予定です。

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