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ダンジョンバトル・アルカ陣営①

※旧ダンジョンバトル・アルカ陣営②と統合しました。



 時は少し遡り、アルカのサブダンジョンでもモンスターの侵攻が始まっていた。


「アルカ様、敵軍が我々のダンジョンに侵入いたしました」

「判った、召喚魔法でスケルトンを出して応戦開始」

「御意」


 アルカの目の前には、数体の吸血鬼が控えている。実は、彼らはDPによって生み出された訳ではない。

 吸血鬼には、魔人のように下級、中級、上級、王級といった階級が存在する。アルカは、この中で上級に位置している存在だ。下級の吸血鬼は言葉がままならない獣同然で、中級はある程度知性がある。上級、王級は知性があると同時に、自身の眷属を作ることが出来るのだ。上級で眷属を作るとワンランク落ちて中級、王級は上級といった具合である。だが、失敗すると下級になってしまう。命令は聞くのでまだいいが。今アルカの目の前にいるのは、アルカのダンジョンで見込みのある冒険者や騎士を捕らえて、眷属化させた元人間達、中級吸血鬼だ。失敗した下級は、ダンジョンの前線に配置している。

 アルカは、モニターを眺める。攻め手の兵力は、ウルフ、ホーンビートル、コボルトだった。現在、一部吸血鬼たちが召喚魔法を用いて呼び出したスケルトンが応戦しているが、攻撃する前にウルフの牙で、ホーンビートルの角で、コボルトのこん棒で砕かれていった。


「はあ、スケルトンじゃ無理だね。下級吸血鬼部隊を出すか。ガデリオ。君が率いてくれるかい?」

「御意」


 ガデリオと呼ばれた禍々しい黒鎧を着た吸血鬼は、承諾し下級吸血鬼部隊の元へ向かった。















◆敵ダンジョンマスターチーム



「敵が後退するね」

「良し!今のうちに前進だ!」

「ぼ、僕もいく!」


 敵ダンジョンマスターチームのコボルト、ウルフ、ホーンビートルは、敵が後退するのを見て浮き足立っていた。相手は新人一位、すぐにボコボコにされるかと思っていたので、仕方ないのかもしれない。


「あ、でも罠だったらどうする?」

「食い破ればいいだろ!」


 ウルフが、自信満々にいい放つ。どうやら順調に進んでいることに気を良くしているようだ。


「あ、うん。でもさ。行くのは勝手だけど、僕は行かないよ」

「はあ!?何でだよ!?」

「相手は、あの新人一位のアルカなんだよ?正直言って、この戦いは避けたかったからね」


 コボルトは、嫌そうにため息を吐く。その声には、若干の諦観があった。


「そうかよ!俺は行くからな!?行くぞ!」

「ま、待ってよ~」


 ウルフは、ホーンビートルと手勢と共にアルカのダンジョンに向かった。














◆アルカのサブダンジョン



 ガデリオ。人間だった頃は、そこそこ有名な傭兵団の団長だった。しかしある時、興味本意で入った洞窟がまさかのダンジョンだったのだ。ガデリオは、他の団員と共に襲いかかってきたモンスターを凪ぎ払っていったが、突如として現れたのは、

 濃い紫色の髪と紫色の目を持つ、美女だった。ガデリオはその美女に暫し目を奪われた。紫色の髪を持つ美女は、ガデリオに手を差し出しこう告げた。


「眷属にならない?ならないなら殺すけど」


 と。だが、自身と団員の命があるなら眷属でもいいかと思いながら了承した。

 以後は、主のアルカのダンジョンで幹部となり戦っている。アルカ曰く自分は中級の吸血鬼になったらしい。ランクはB-。中々の高ランクだ。

 そんなことをガデリオは考えていると同じく吸血鬼になった傭兵団の団員が待っていてくれた。団員は、無言で頷きガデリオも頷く。そして、中級吸血鬼と下級吸血鬼に向かって叫んだ。


「勝つぞオオオオーーーーー!!!」

「オオオオオオオオーーーーー!!!」


 吸血鬼達の雄叫びが、ダンジョンに響き渡った。







 ガデリオ達が雄叫びをあげながら敵のダンジョンに突っ込んでいくのをモニターで確認して、アルカは次の手を打つ。


「バートン、ガデリオ達に混じってダンジョンの構造を洗ってくれないかい?僕達の戦ってるダンジョンじゃなくて、総大将のユラが引きこもってる方をさ」

「御意」


 バートンと呼ばれた吸血鬼は、返事するなりその場から消えた。


「さて、戦況はどうなっているかな?」












 一方のガデリオ達は、敵軍と衝突していた。


「押せ押せ!」


 ガデリオが声をあげる度、他の中級吸血鬼は雄叫びをあげながら前進、下級吸血鬼は獣の如き咆哮をあげてただただ進軍するだけだった。敵のモンスターも果敢に応戦したが、スケルトンと吸血鬼では力が違う。下級吸血鬼は、たとえ腕が引きちぎられようとも襲いかかって来る上に、並のアンデッドより力が強い。一言で言うなら、身体能力が強化されたゾンビだろうか。


「うむ、下級でも中々やりますね。さて、ご命令を果たしにいきますか」


 その戦闘を見ていた中級吸血鬼のバートンは、敵のダンジョンに走り去った。しかし、誰もその姿に気づくことはなかった。

 やがて、自分達のダンジョンに侵入したモンスターを殲滅したガデリオ達は、敵のダンジョンに侵入した。


「良し!野郎共!突っ込むぞ!」


 その声を聞いた吸血鬼達は、雄叫びをあげながら敵のダンジョンに突入を開始した。


















◆敵ダンジョンマスター



「ッ!!もう突っ込んで来るのかよ!」

「ま、不味いよ!」

「落ち着きな。戦力はまだある」


 敵のダンジョンマスターの拠点では、ウルフとホーンビートルが慌てまくり、コボルトは落ち着いていた。


「落ち着きなってなんだよ!もうこちらの戦力は、あと五百程しか」

「僕らには、あれがある。護身用に生み出したアレがね」


 コボルトは、自信たっぷりに言う。


「た、確かにDPの大半を割いて進化させたけどさ。大丈夫かなぁ?」

「大丈夫だよ。アレならどんなやつが相手だって負けないさ」


 ホーンビートルは、本当に大丈夫かなぁ?と思ってしまう。確かに、アレはランクも高く戦力として期待できるだろう。だが、忘れてはならない。相手のモンスターにも、高ランクのモンスターがいることを。というか、吸血鬼自体高ランクのモンスターである。そんなのが大量に来たらいくらあれでも無理があるのではないかと考えてしまう。


「まあ、そんな不安もわかるよ。念のために、光魔法を覚えさせとくか。それでいいよね?」

「う、うん」


 アンデッドにとって、光魔法は弱点である。それならいいかとホーンビートルは納得することにした。

 一方のガデリオ達は、ダンジョンを順調に攻略していた。先頭には、召喚魔法で呼び出したスケルトンを用いて、罠を避けながら進軍していた。やがて、一行は、一つの大部屋にたどり着く。


「なんだここは?」

「広いですね」


 その大部屋は、とにかく広かった。日本で言うなら、学校の体育の授業でよく使う体育館並の広さだ。ガデリオ達が、辺りを見渡していると。


カッ!!


「なっ!?」


 突然、ガデリオ一向を強烈な光が襲う。

 しばらくして、光が収まりガデリオが目を開けると、部下の大半が灰になり消えていた。


「な、なんだと!?何が起こった!?」


 ガデリオが、あまりの事態に困惑していると、ダンジョンの後ろから、足音が聞こえてくる。


 振り向くとそこには、綺麗な白い毛並みを持つ巨大な、狼がいた。


次回は、ダンジョンバトル・アルカ陣営②の予定です。

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