サブダンジョン作成
※サブダンジョン作成②と統合しました。
光が収まり、目を開けると自分のダンジョンの中だった。
「・・・戻ったか。というか唐突すぎるだろ」
俺は、強制的に転移させた邪神に苦言を言うと、ダンジョンの面々を集めるためダンジョン機能を使った。
「・・・といった訳よ」
ダンジョンの主な面々が集まったところで俺は、[魔の夜会]での出来事を話す。今いるメンバーは、シロ、クロ、ゴブイチ、カレン、マヤ、ナタリアとなっている・・・はずだった。俺の後ろにもう一人、何故かいるナナ・セブンス。
「あの~、ナナさん。何故いるのです?」
「あら?先輩が後輩の面倒を見てはいけないと?」
「あ、いや」
「今回のダンジョンバトルは、あの忌々しい魔王派閥の者ですからね。下手に負けると厄介なことになりますから」
「はあ」
「・・・負けたら、わかっていますね?」
「・・やるだけやってみます」
「よろしい」
一瞬、ナナさんの背後にどす黒い何かが見えたが気のせいだろう。・・・気のせいだろう!
「コホン、というわけでサブダンジョンを作りたいんだが、皆は何処がいいと思う?」
場所については、ナナさんの縄張りの中を使わせてもらえるらしい。
「どこって言われてもな。どんなダンジョンにするかによるんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。作る土地の状態や何かにも気を配らないと」
ナタリアが意見を出し、カレンが賛成する。
「マスター」
「ん?」
「マスターは、一体どんなダンジョンをお作りになるのですか?」
黙って聞いていたシロが質問してくる。俺が作るとしたらか。う~ん、戦争用のダンジョンね~。
「敵は恐らく物量で攻めてくると思う。あっちには、ダンジョンマスターがユラを合わせて12人いるからな。敵も大軍を送り込んでくるだろう。ならば、その大軍の動きを制限してしまえばいい」
「動きを制限ですか?」
「そうだ。簡単に言えば、相手を自由に動き回らせないことだ。例えば、道の回りにマグマやら毒沼やらを仕掛けたら軍は上手く動けない。一歩入ったら致命傷、最悪死ぬからな」
「なるほど」
「だが、これはあくまで地上なら、だ。空を飛べるやつには通用しない。ならばどうするか。やつらの有利な点である高さを無くすことだ」
なんか、戦略家のように言ってるけどよくわかってないんだよな。ん?ちょっと待て?通路を狭くするだけでも案外効果あるかも。
「ナナさん、サブダンジョンの構想が纏まりました」
「そう、じゃあ作る場所は?」
ナナさんは、帝国領の地図を持ち出し俺に促す。俺は、構想と合致する場所を探し、指を指し示した。シロ達は、俺の指し示す場所を見て目を見開く。
「え?マスター?」
俺の指し示す場所は、大きな沼だった。
「そう、ナナさん曰く、最もでかい毒沼だ。ここにダンジョンを作ろうと思う」
「はあ~、何故毒沼なのです?」
ナナさんは、若干あきれたように理由を聞く。
「はい。毒沼は、陸上の生物はほとんどが死にます。また、毒沼から発生したガスを流せば敵に対する妨害になります」
「・・・あのですね。毒沼は、人間やゴブリンなどといった生身の生物しか効かないのですよ?」
「わかっています。ですが、奴等の中に幽霊やアンデッドの類いはいませんでした。それに毒沼が破られても、地力で切り抜いて見せます」
ナナは、額に指を当て考え込む。こっちとしては、ダメならダメといってほしい。新たに考えるだけだからな。
「・・・いいでしょう。やってみなさい」
どうやら、好きにさせてもらえるようだ。やったぜ。
「ありがとうございます」
「ただし、やるからには私が納得する結果を出しなさい。いいわね?」
「承知しました」
こうして、俺のサブダンジョン計画は認可された。後六日なのでサクサクいこう。
俺は、ナナさんの【ディメンションムーヴ】で例の毒沼の前に来ていた。
「ここですか」
「ええ、気を付けなさい。火をつけると、何故か爆発しますから」
爆発?もしかして、ガスが出てるのか?ガスはガスでも可燃性ガスかもしれんが。
「それで、どうするのです?」
「はい、とりあえずダンジョンを作りますよ。手動で掘っても時間が掛かりすぎますので、勿体無いですがDPで掘ります」
俺は、早速ダンジョンを作るためダンジョンメニューを開いた。
六日後、毒沼の前に一つの洞窟もといダンジョンが完成した。構成は以下の通り。
●第一階層
地表から汲み上げた毒沼を流した階層。因みに汲み上げる際、アンデッド部隊を使った。主なモンスターは無し。その代わり、毒沼の特性で毒ガスが蔓延している。ガスは、可燃性ガスで火をつけると爆発する。
●第二階層
三フロアに分かれており、それぞれのフロアにはフロアボスがいる。罠も張り巡らされており、巧妙に隠されている。モンスターは、大体がゴブイチの配下である。足止め用の階層。
●第三階層、第四階層
ひたすら狭い一本道。ただし、上り坂になっていて地表からガスを流し込んでいる。後、秘密兵器有り。
●第五階層
ボス部屋。ここで俺が迎え撃つ階層である。第二階層のモンスターを足止めから撤退させた後、ここに集結する手筈だ。
「とりあえずはこんな感じです」
「まあ何て殺人的なダンジョンでしょう」
ナナさんから採点してもらったが、何とか合格らしい。
「ところで、第三、第四階層の秘密兵器とは何かしら?」
「えっと、ウチのダンジョンで産まれた突然変異モンスターですね」
「へえ」
ナナさんは、興味深そうに答えた。
「勝てると思う?」
「さあ?善戦はできるとは思っていますが、相手の手の内がまだ不明ですからね。下手に勝利を確信するのは危険ですし」
「そう」
そして、ダンジョンバトルの開始直前、俺は邪神が作ったと思わしき白い空間にいた。他にも、アルカ、リューゼ、ユラ、ユラの手下のダンジョンマスター達も集結していた。しばらくすると、モニターが表示され邪神が映し出された。
『さあ、いよいよダンジョンバトルだね!皆、準備いいかい?』
「もちろんです。お父様」
「もちろんだ父上!」
「俺なりに頑張りましたよ、父さん」
「もちろんですわお父様!」
アルカ、リューゼ、俺、ユラが答え、ユラの手下も同様に答えた。
『フフフ、皆気合い十分だね!さて、今回はダンジョンバトルに観戦者がいるよ!』
邪神が、パチンと指をならすと四人のダンジョンマスターが現れる。
一人は、魔王派閥の長であり邪神によって始めに生み出されたダンジョンマスターのロワン。傍らには、何故かパンドラッチが控えていた。やはりアワアワしている。
次にセブンス帝国の影の支配者であり、邪神によって七番目に生み出されたダンジョンマスターのナナ・セブンス。
最後に、リューゼの派閥の長で邪神によって、三番目に生み出されたダンジョンマスターのリザン。
この三名だった。
『フフ、さあ早速だけど始めようか!各々をマスタールームに送るよ!バトルは今から一分後だ!』
邪神が高らかに宣言し、俺達は光に飲み込まれた。
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