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夜会の始まり①


「・・・デカイな」


 山のように大きい城を見て俺は、それしか言えなかった。黒を基調とした城の前には、これまたデカイ扉がある。一体何十メートルあるんだ、これ?


「おや?カゲマサじゃないゲロか」

「ん?あ、ゲローロか」


 後ろから声をかけてきたのは、俺のダンジョンの横の山にダンジョンを構える先輩マスターのゲローロだった。いまじゃあ、気軽に話せる友達である。


「これが夜会の会場なのか?」

「そうらしいゲロ。だけど会場は毎回変わるゲロ。去年は確か火山の中で行われたゲロ。いや〜、あの時は熱くて大変だったゲロよ」

「そうなのか。・・・え?火山?」

「そうゲロ。さあ、中にいくゲロ」


 そう言ってゲローロは、城の中に入っていく。俺もそれに続いた。火山の中で行われた夜会に戦々恐々しながら。











 中に入るとそこは、赤い絨毯が敷かれた大部屋だった。中には、巨大なドラゴン、ユニコーン、巨人、ハーピー、オーガなどといったモンスターがウヨウヨいるではないか。これ全てがダンジョンマスターなのか。


「・・・こいつら全員ダンジョンマスターなんだな」

「そうゲロ。じゃあ私は友人と話してくるゲロ。自分の席は予め決められてるゲロから、カゲマサも自分の名前のついた席を見つけておくといいゲロ」

「ああ、分かった」


 そう言ってゲローロは、他のダンジョンマスターの元に歩いていった。因みに、ゲローロが話していた相手は、巨大な浮かぶクラゲだった。クラゲって、浮くんだな。


「さてと、自分の席を探すとするか」


 俺は、自分の席を探すべく円卓状になっているテーブルに並べられている椅子に近く。その時。


「オオ」


 場の空気が変わった。そして、扉の奥から異常な存在感を出す存在が歩いてきたではないか。

 おいおい、この感じは覚えがあるぞ。前にナナさんに初めてあった時と同じだ。おそらく、ナナさんと同格のダンジョンマスターなんだろう。え?もう一人いるのか?ヤバくね?


「ヤバイなあいつ。さっさと席に着いとこ。・・・・お、あったあった」


 俺は、自分の席を見つけて座ることにした。ん?何か異常なまでの存在が近付いてきているような。俺は、ゆっくりと後ろを向くとそこには、あの異常なまでの存在感を出すダンジョンマスターが目の前にいるではないか。見た目は、壮年の男性で黒いローブを身に纏っている。頭には、二本の角が生えていた。


「あ、あの~、何かご用で?」

「・・・ほう」


 ・・・え!?何だよ、ほうって!?何納得したように頷いているんだよ!?


「貴様、今年生まれた新人だな?」

「え?あ、はい」

「新人にしては、我の威圧に容易に耐えているな。相当の修練を積んでおる。良いことだ」

「は、はあ」

「・・・よし、決めたぞ。貴様、我の派閥に来い」


 はあ、面倒くせぇな。それに何か回りから嫉妬まみれの視線を感じるぞ?特にあのサキュバス?みたいなやつからな。不味い、目立ちたくない俺にとっては非常に不味い!


「どうした?何を躊躇っている」

「あ、いや~」


 俺が答えに困っていると、外から助け舟が出された。


「あらあら、何勝手なことをしているのかしら。ロワン?」


 扉が開き、俺の取引相手であり実質上の後ろ楯のナナさんが若干の殺気を出しながら会場に入ってきた。


「む、ナナか。今我は勧誘に忙しいのだが」

「ふふふ、それは残念ね。そのマスターは既に私の派閥に属しているのよ」

「・・・なんだと」


 うわ、何かロワンと呼ばれたマスターから異常な魔力が溢れ出ているのだが。ちょっと、俺の近くで喧嘩なんてやめてくれ!


「だが、こいつは我の誘いを断らなかったのだ」

「あらあら、それは貴方が強引だったからでなくって?これだから頑固爺は嫌ね」

「ふん、それを言うなら貴様こそ同じであろう。おそらく、適当にDPをばら撒き懐柔したのであろう。この若作り年増婆めが」

「ふふふ、耄碌した爺が何かほざいているわね」

「ふん、若作り婆が何か喚いとるわ」


 しばらく言い争っていた二人だが、飽きたのか言い争いをやめた。良かった良かった。


「おい、そこの新人よ」

「あ、はい」

「名は何と言う?」

「あ、えっと、カゲマサです」

「カゲマサ・・・か。フム、覚えたぞ」


 出来れば覚えないでいただきたい。離れていくロワンと呼ばれたダンジョンマスターを見ながら俺は、内心そう願い席に着く。


「うふふ、ロワンには気を付けるのですよ?あの爺は頑固でしつこいですから」

「あ、分かりました」


 ナナさんは、そう言い残し自分の席に向かっていった。

 あー、緊張した。心臓破けるかと思ったよ。でもなー。何か気になる。何って、あのサキュバス?みたいなマスターがずっと睨み付けてくるんだもの。見た目は、二十代後半の女性かな。ピンク色の髪で右目が隠れている。扇情的な服をきているな。大先輩のマスターに絡まれていた俺に嫉妬、ていうかんじかな。

 俺がそう考えていると、突如として円卓状のテーブルの中央にモニターが現れた。


『はーーい!!みんな待たせたね!!みんな大好き邪神君だよ!!』


 あの、俺を異世界に転移させた張本人がハイテンションな状態で映っていた。


 というか、開幕それかよ。クソうぜぇな。


 俺は、内心悪態をつきながらモニターに映る異世界に転移させた張本人である邪神を見た。


次回は、夜会の始まり②の予定です。

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