アンデッドの戦力③
『マスター、モンスター討伐部隊“虎”を全滅させました』
『え?早くない?いくら情報があったとしてもここまであっさり?』
シロから、ダンジョン機能による連絡で俺は、奇襲作戦の成功を知る。というか、開始して十分も立っていない。
『一応聞くが冒険者には鉢合わせていないな?』
『ご安心ください。周囲に冒険者の反応はありませんでした』
『そうか。ならばいい』
俺は、ダンジョン機能による連絡を切り巨大猪のステーキを平らげると、代金の払って酒場を出た。
「主君、もしかして上手くいったのか?」
「おう、今からダンジョンに行ってくる。マヤの周辺頼むぞ?」
「わかった。気を付けてな」
「おう!」
ナタリアが、了承の意を示したのを見て俺は頷き、ダンジョンに潜った。さて、一仕事一仕事。
「おー、かなりいたんだな」
俺の目の前には、モンスター討伐部隊“虎”の死体が山のように積まれていた。本当に多いな。
「マスター、彼等の武器や兵器は別に保管してあります」
「そっか、シロ。じゃあ始めよう。指揮官はどいつだ?」
その質問には、“虎”の面々の約半数を一人で殺ったワーキャットが答える。
「確かそいつだよ~。総隊長って呼ばれてたし」
そう言って、総隊長の死体を指差す。その死体は、肩から腰にかけて深い切り裂き跡が出来ていた。
「貴方、マスターに対してその口の聞き方は何かしら?」
「別にいいじゃん。私はこれでも敬意を払ってるんだよ?」
何やら言い争いが起ころうとしているが、俺は無視して魔石を道具創造で生み出す。大きいやつだとDPを大量に消費するので小さい魔石を使用した。そしてスキル《アンデッド創造》を死体に施す。
「・・・・む、うう?あ、あれ?俺は死んだはずじゃあ」
やがて魔法陣が士消失し、暫くしてから死体が次々と起き上がる。しかし、起き上がらない死体もあった。
「うん、やっぱり欠損がひどい死体は無理か」
「そのようですね。死体は吸収しますか?」
「頼んだ」
俺は、起き上がらない死体をさっさとダンジョンに吸収させて起き上がったアンデッド達に話し掛ける。
「さて、君達。俺の声が聞こえるかな?」
「お前は?」
突然話しかけてきた俺を怪しむモンスター討伐部隊“虎”の面々。俺は、丁寧に自己紹介しながらこれまでの説明を行った。
「なるほどな。俺達は一度死んで、アンデッドとなったか」
「そうゆうこと。だから君達は、今後彼の指揮下に入ってもらおう」
「は?彼っていったい」
俺が後ろを指差し、アンデッドとなった兵士はつられて後ろを向くと、そこにはカイ・ザーバンスと暗殺者四名が総隊長達に向かって手を降っていた。
「ッ!?カイ・ザーバンス!?」
「やあ、確か“虎”の隊長のロンドだったよね?これからよろしくね」
「あ、ああ、よろしく。って何で“犬”までいやがる!?」
「よお!久しぶりだなあ、ロンド!」
どうやらお知り合いだったようだ。そうだ。ついでに《鑑定》するか。
名前 ロンド・ペリークス
種族 エルダーゾンビ
職業 カゲマサの僕
レベル 1
ランク C+
スキル 剣術 指揮 剛力
名前 ミルス・ドウガー
種族 エルダーゾンビ
職業 カゲマサの僕
レベル 1
ランク B-
スキル 俊足 短剣術 暗殺 隠密
フム、モンスター討伐部隊の総隊長がロンド、暗殺者の女リーダーがミルスか。そして、アンデッドとなった兵士およそ200名ね。中々の戦力だ。
「まあ、これからよろしくな。カイ、ミルス、ロンド」
「はっ!」
こうして俺は、強力なアンデッド部隊を手に入れた。良し良し。
次回は、招待状の予定です。
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