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再編成と暗殺者アンデッド


「・・・理由を聞こうかしら?」

「あ、勢いで言っちまった。・・・えっと、面倒くさいから?」

「面倒?」

「あ、はい。派閥があるっていうなら、いろいろな諍いがありますよね?その諍いに巻き込まれるのは御免です」


 あちゃ~、言ってしまった。死んだかも俺。絶対機嫌損ねてるよ。

 俺は、殺されると思いビクビクしていたが、ナナが口にしたのは想定外の提案だった。


「じゃあ、取引をしましょう」

「取引?」

「ええ、貴方異世界人でしょう?」

「!?」


 は!?まさか最初からバレてたのか!?あ、ゲローロが言ってたな。勇者は、大抵黒髪黒目だと。それでバレたというのか!?


「まあ、異世界人のダンジョンマスターなんて聞いたこと無いけど。お父様の考えだろうから文句は無いわ。それで本題だけど、貴方が私に異世界の物などを提供なさい。その代わり、私が貴方にダンジョンに関するアドバイスをあげる。そして、貴方が何かに巻き込まれた時は後ろ楯になってあげるわ」


 後ろ楯か。確かにうれしいが、ナナさんの意思に沿わなかったら即切り捨てられるな。この幼女からは、そんな冷徹な雰囲気を感じる。


「う、う~ん」

「異世界の物を買い取る時は、DPで払いましょう」

「・・・何故そこまで?」

「私は新しい物が好きなのよ」


 俺=物ってか。・・・ここまで提示されて承諾しなかったら潰されそうな気がする。この人なら、一瞬で俺のコアを潰すぐらい造作もない筈だ。


「・・・分かりましたよ」

「分かってくれて助かるわ。他の愚か者なら、私の存在を仄めかし威張り出すけど貴方は違うわよね?」


 ナナさんの言い方だと、過去にいたな。その愚か者が。まったく馬鹿な奴だソイツ。


「分かってます。そんなことをしたら貴女に潰される」

「フフフフ、そうね。なら早速何か飲み物をいただけないかしら」

「では、メロンソーダなんてどうですか?」

「メロンソーダ?」


 俺は、道具創造でメロンソーダを造り出す。これ美味しいんだよな。


「へえ~、緑色で綺麗ね。では一口」


 ナナさんは、付いていたストローでメロンソーダを飲む。そして、炭酸で少し顔をビクッとさせながらもメロンソーダを堪能していた。


「・・・刺激的な味ね。これは・・・果実かしら?」

「そうですね。俺の世界じゃあメロンという果実です。その刺激的な感覚は、炭酸という物ですね」

「なるほどね。これ、あと三つ貰えない?DPは30万なんてどう?」

「30万!?」

「私にとっては、はした金よ」

「・・・分かりました、どうぞ」


 俺は、三つのメロンソーダを作りナナさんに渡した。ナナさんは、メロンソーダを受けとると何やら黒い空間に収納した。


「それじゃあね。いくわよロロ」

「はっ」


 ナナさんは、お付きの執事服を着た美少年をつれて帰っていった。

 ナナさんが帰ったあと、俺はロウガ、ヨロイ、ドーロの死体の前で黙祷していた。


「マスター・・・」

「ん?シロか。どうした?」

「いえ、お邪魔でしたか?」

「いや、そんなことは無い。・・・・ロウガ達の後釜、というかダンジョンの再編は済んだのか?」

「はい。こちらになります」


 すると、側に控えていた下級魔人であるカレンが一枚の紙を持ってくる。


「こちらです」

「ありがとさん。そういえばカレン。お前はいつからシロの部下になったんだ?」

「はい、ダンジョン総司令の仕事を手伝っていく内に納まっていました」


 いつの間にかなっていたのか。何て言うか、うん。努力したことがありありと伝わってくるぜ。


「出世したな」

「はい、ありがとうございます」


そう言いながら俺は、受け取った紙をみると、



〈トップ 〉 黒木影正


〈最高幹部〉 シロ クロ ゴブイチ


〈幹部〉 カレン。他は選定中。


〈兵隊〉    大多数



「随分とシンプルにしたな」

「はい、最高幹部は古参のモンスターです。幹部は我々以降に生まれたモンスターの中から、強さ、知性を念頭に選定中です」

「なるほどね。選定は急いでくれ。兵隊やお前達の強化も忘れるな?もう仲間を失う体験は懲り懲りだ」

「お任せを」


 そう言いながら俺は、ロウガ達の死体をダンジョンに吸収した。


「よろしいのですか?」

「しっかり心に焼き付けた」


 【アンデッド創造】ならば生き返らせることも出来るかもしれない。だが、そうすると心に慢心が生まれて致命的なミスを生むかもしれない。・・・・私情ありありだな。・・はあ。

 俺は、シロに通常業務に戻るよう告げ、今まで放置していたカイ・ザーバンスの元に向かった。









「よう」

「あ、マスター。お待ちしてましたよ」

「すまないな。二回も置き去りにして」

「構いませんよ。それで今回の用件は?」

「ああ、お前に部下を付ける」

「部下ですか?」


 俺は、【ボックス】からあの暗殺者達の死体を出した。


「あ、まさか」

「その通りだ」


 俺は、道具創造でソフトボール並の魔石を作り出した。その魔石を死体に乗せ、アンデッド創造を発動させる。魔石が死体にズブズブと入っていき完全に入ると、4人の死体は目を覚まし、一人は目を確認できなかった。


「一人だけ顔無いからな」

「マスターが顔を消し飛ばしたからですね」


 あちゃ~一人だけ失敗か。

 結局一人だけ失敗し、他の4名がアンデッドとなった。


「あ、あれ?」

「俺達死んだはずじゃあ」

「どうなってんだ?」

「・・・・」


 やっぱり言葉を話すな。魔力を込めるとこうなるのかな。それとも俺の《アンデッド創造》が特殊なのか?


「君達、少しいいかな?」


俺は、戸惑う彼らに話しかけることにした。そして、戦力として取り込むために。


次回は、アンデッド兵団の予定です。

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