奴隷購入と魔石屋発見
奴隷編大半です。
その二人の女性の亜人を見て、俺は無感情だった。普通なら吐いてもいい光景なのに無感情だった自分に俺は驚いていた。まあ、その驚きも直ぐに引いたけども。
「失礼、あれは?」
「ああ、あの奴隷は呪い付きでですね」
「呪い付き?」
「はい。あの二人は、牛の獣人とエルフで獣人は庶民、エルフは冒険者だったらしいです」
「はぁ、ではあの姿は?」
「はい。あれはモンスターの呪いなんですよ。それも相当強い呪いで、高位の神官による解呪の魔法でも払われなかったんです。そのせいで奴隷としての価値が下がってしまいました」
「フム、モンスターの呪いなら冒険者が受けるのは分かる。だが、庶民である牛の獣人がなぜ呪いを受けている?」
「あの呪いが伝染したのですよ。偶々隣の性奴隷用の獣人にね。それからというもの、伝染しないように隔離しているのです」
あの牢屋の周りだけ他の牢屋が一つもなかったのはその為か。しかし、伝染する呪いってえげつないな。俺は、改めて二人の女性の亜人を見て鑑定をかけてみる。
名前 牛
種族 牛獣人 溶解の呪い
職業 奴隷
レベル 3
ランク E
スキル 料理
名前が牛ってなんだよ!ネーミング適当だな!?それよりも溶解の呪いって、おそらく体が溶解する呪いなんだろうな。まあ良い。お次はエルフだ。
名前 ナタリア・エルーデン
種族 エルフ 溶解の呪い
職業 奴隷 元冒険者 元エリーフ王国近衛騎士
レベル 45
ランク C
スキル 剣術 弓術 護身術 風魔法 礼儀作法 気配察知
・・・何だこれは?かなりハイスペックじゃないか!?元エリーフ王国近衛騎士!?近衛騎士って、王族を守る最精鋭だろ?凄い掘り出し物じゃないか!
「いかがなされましたか?」
「おい」
「は、はい」
「この二人を買う。手続きを頼む」
「え!?」
店員の男性は、こいつ正気かと言うような顔で俺を見ている。
「あ、あのお客様!?この二人の呪いは、高位神官でも解呪出来なかったんですよ!?もしお客様が呪いを受けたら!」
「そこは自己責任だ」
「・・・な、なぜこの二人なのでしょうか。確かにナタリアは戦闘力は期待できましょう。牛も性奴隷としてはなかなかの一品です。呪いという激物がなければですが」
「あんたには価値が無いかもしれないが、俺にはあるんだよ。俺にはな」
男性はしばらく考え込み、頷いた。
「分かりました。ただし、お客様が呪いを受けても当商会は一切責任を負いません。いいですね?」
「ああ、それで良い」
俺が頷くと、男性は一枚の紙を取り出しそこにスラスラと何かを書き込むと俺に渡した。
「こちらが契約書になります。ここに血判を。後、代金として銀貨96枚頂きます」
「分かった」
俺は、指を切り紙に押し当てた。男性は、俺の血判の付いた契約書を突然燃やし始めた。すると、燃やされた契約書が灰に代わり、二人の奴隷についている首輪に流れていった。そして全て流れ切る。次に俺は、銀貨96枚を払った。
「はい。これで契約完了です。これからこの二人はお客様の奴隷ですぞ」
「そうか。じゃあ少し人払いしてくれ。目立つのは嫌なのでね」
「は、はあ」
男性は、少し戸惑いながらもその場から離れた。俺は、誰もいないことを確認して牢屋の中に入った。扉を開けて奴隷の元に歩いていく。
「よう、俺が今日からお前たちの主人になった者だ。話せる?」
「・・・はい、話せます。これから、貴方様にご奉仕させて頂きます。ご主人様」
「・・・よろしくお願いします」
フム、話せるが目は完全に死んでるな。光がない。呪いが解けなくて絶望している感じか。
「あの、一つよろしいですか?」
「何だ?ナタリア」
「・・・何故私達を買われたのですか?」
「フム、何故とは?」
「私達はこの通り呪い付きです。買ったとしてもご主人様にデメリットしかないと思われます」
確かにな。でも俺には勝算があった。もしその勝算が駄目だったとしても、ダンジョン内に閉じ込めて飯を供給すればDPの足しになる。そう考え俺は、二人に近づいていった。
「ッ!?な、何をするつもりですか!?」
「何って、触るんだが?」
「お、お待ちください!私達には呪いが!」
「黙れ。お前たちはジッとしているだけで良いんだ」
「「ッ!?」」
俺が命令すると、二人は黙ってしまう。俺は黙った二人の皮膚が溶解している箇所に手を当てた。
「【ヒール】!!」
魔力をかなり込めて光魔法の【ヒール】を発動させる。光が収まり俺が手を離すと、皮膚がグチョグチョになっていた部分が綺麗に治っていた。
あれぇ?成功するとは思っていたけどここまで綺麗になるかね?高位の神官でも無理だったんだろ?俺の予定では、このあとに解呪の魔法を放つつもりだったんだが。
俺の困惑を他所に、牛とナタリアはグチョグチョになっていた部分を触る。そして。
「の、呪いが・・・」
「き、消えた?もう無理だって思ってたのに?」
涙を流し喜んた。それはもう、花のような笑顔だった。
二人の姿はというと、牛が牛の獣人らしく牛の尻尾に角、白い肌に白い髪、黒い目を持った美女だった。スタイルも抜群で豊かな胸もあった。確かに性奴隷としては最適だろうな。俺の奴隷になったからにはそんなことはさせないが。そういうのは、好きな人とヤりたいのだ。
ナタリアはというと、金髪で緑色の目を持ち、牛ほどではないがスタイルもいい。エルフの特徴であるとがった耳が金髪から見えかくれしている。
「お前達、今から移動するから準備を」
そこまで言って、二人に振り向くと二人は俺の前に跪いていた。
「はい?」
「ご主人様。この度は私達の呪いを治していただきありがとうございます!」
「これから私達は、ご主人様に誠心誠意お仕えいたします!ですからどうかお見捨てにならないでください!」
呪い解いたぐらいで凄い感謝されたぞ?何か忠誠?を誓われたし。ま、いっか。それぐらいで忠誠を買えるなら安いしな。
俺は二人を連れだって、レード商会から出た。取引の際にいた男性は二人を見て、口を半開きにして驚いた顔をしていた。溶解していた部分が完治していたからだろう。
レード商会から出てしばらくした後、二人に振り向く。
「なあ、牛って名前呼びづらくないか?」
「確かにそうですが、名前をいただくことなど過分な報酬で御座います」
「私は名前があってもいいと思いますが」
「よし。名前をつけるか。実は決めてたんだよね」
俺は、牛に振り向く。
「君の名前は、マヤ何てどうかな?」
この名前にしたのは、只の気まぐれである。咄嗟に思い浮かんだものをそのまま名付けたのだ。
「気に入らないなら、別の・・・え?」
何か無言だったので思わず牛の方に振り向くと、牛、いやマヤは涙を流していた。
「え?え?気に入らなかったか?」
「い、いえ、あ、ありがとうございます!一生大事にします!」
「あ、ああ、はい」
俺は嬉しそうにしているマヤを置いといて、ナタリアに耳打ちする。
「なあ、マヤって奴隷になる前の名前が無いのか?」
「かつてマヤのいた部族は、強者を尊重する部族だったのです。部族の中で一番弱かったマヤは、名前をつけることを許されてなかったようで。牛という名前も奴隷として売られた後に付けられたと言っておりました」
なるほどな。だから初めてマトモな名前に感動してるのか。そんなことを思いつつ歩いていると、一軒の店が目に入った。そこには、こう書かれていた。
[魔石屋]
俺は、その看板を見て全力ダッシュし[魔石屋]と書かれてた建物へ直行した。
次回は、魔石屋とダンジョン帰還の予定です。
出来れば高評価・ブックマーク登録お願いします




