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閑話 ハイサキュバスのハイサ

ハイサキュバスのハイサ回です。短いです。


 時はカゲマサが死霊公を倒した時に遡る。


「何よこれは!?」


 そう叫んだのは、死霊公に取引を持ちかけレッドドラゴンの死体を提供したハイサキュバスのハイサである。


「六千のアンデッドは全滅し、本隊の四千のアンデッドも全滅。おまけにドラゴンゾンビと死霊公は謎の存在によって消滅・・・糞!」


 当初の目論見とまるで違うことにハイサは、苛立ちを隠せない。ハイサ、いやハイサの主の目的は、ドミニク辺境伯領の財や魔石などを奪うことだ。死霊公には、お零れを貰うといった話をしていたが守る気など更々なかった。死霊公の起こす事変に便乗しこっそり奪取する予定だったのだ。が、予定外の出来事つまり死霊公の消滅で計画が狂ってしまう。オマケに、死霊公の軍団に潜ませていた手勢のインプが全て消え去ったことも計画遂行を困難にしてしまったのだ。


「そういえば、死霊公を倒した人間とはどんな人間なんでしょうか?」

「それは気になるわね」

「ッ!?」


 振り向くと、一体のハイサキュバスが立っていた。ハイサは、そのハイサキュバスを見るなり平伏する。


「いらしていたなら、言ってくださいませ」

「ごめんごめん。気を付けるわ」

「そうしてください。マスター」

「でもどうするの?謎の人間は」

「一回インプを偵察に出してみます」

「わかったわ」


 そう言って、ハイサの主は立ち去る。ハイサは、立ち去ったのを見届けると、両頬を叩いて気合を入れ直す。


「ふ〜、さてと」


 ハイサは、部下のインプを偵察に出すため準備を始めた。








 次の日、インプがファースの街に着いたので視覚同調を行う。そしてお目当ての人間、茶色のマントに茶色の仮面を被った男を見る。体格は少し細い。次に、魔力視という相手の魔力量を図るスキルを使い、その男を見た。そして。


「オエエエエエエ!?」


 嘔吐してしまった。理由は、あの男の膨大で濃密な魔力に当てられたのだ。ハイサは、その時点で悟った。悟らざるおえなかった。


「見誤ったわ・・・・!あれは、あれは、人の皮を被った化け物!なんであんなのが、辺境にいやがるのよ!寄りにも寄ってこんな時に!」


 ハイサは、気持ち悪い気持ちを抑えて、主の元に向かおうとした。だが、足が動かなかった。膨大すぎる魔力量に恐怖を感じたからである。ハイサは、恐怖が消えるまで待ったが消える気配がない。そこに部下のサキュバス達が入ってきた。


「ハイサ様、失礼しま、ッ!?」

「ハ、ハイサ様!?」

「いかがなされましたか!?」


 部下には、心配ないと言って無理やり立ち上がると再び歩き出した。


「い、行かないと。マスターにこのことをご報告しなければ」


 ハイサは、ブツブツと呟きながら主の元へ歩いていった。


次回は、ファースの街の予定です。

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